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| 珍しく寝坊した。好きでやっているバイクいじりだけれど、しなくて良いのもまた嬉しい。あまりに天気が良いので、ふらっと外に出た。 和束川沿いの道を、トップギアに入れたまま、2〜3000rpmあたりでゆ っくり流してみる。足まわりもエンジンも最高だ。前車に追いついて速度が落ちる。が、それでもまったく不満はない。いや、それどころか、接近したまま走るよりは間隔を空けたほうが良かろう…と、徐々に速度を落とし、車間距離を開ける。 前車が見えなくなったところで、再び、最も気持ちよい速度まで加速してみる。やはり、今日の空気の中でこの道を走るには、トップギアで2〜3000rpmが最高に気持ち良い。 運転者として最低限必要な注意力だけ残し、あとは、マシンからの反 |
| 応を含む、自分を取り巻く雰囲気に身を委ねてみる。脳内がアルファ波で満たされていくかのようだ。 タクトを捨てて、オケが奏でる調べに聴き入る指揮者の気分。完調を取り戻した わがXJ900は、いつだったか雑誌に書いた“ふと手綱を緩めた瞬間には、まるで自動操縦の飛行機のごとく安心で、かつ、どう操ってほしいかをそっと教えてくれるような…”という理想像に、また一歩確実に近づいたのが感じられる。 ゆっくり流しているときに“開けろ、急げ、飛ばせ!”と急きたてることなく、みなぎる力を押し殺したような素振りも見せず、しかし一本調子ではなく表情豊かに、ゆったり走る“だけでも”充実感を味わわせてくれる…。今日の愛車はまさにそれだった。 |