XJ900の爽快チューン
2009年10月24日 - 三栄書房 RACERS 01“'83NS500”発売   
     
10月24日発売の“RACERS Vol.1 '83NS500”。スペンサー対ロバーツの死闘を、マシンを軸に振り返る珍しい構成である。
すべて終わり、気分を一新してバイカーズに取りかかれるはずだった。
 ところが、このあたりでIが音を上げた。P.33までの本文を送り終えて間もなく、 市販RS500Rとelfのペ
ージ(P.80〜83)の原稿も書いてくれませんか…てな話になった。この期に及んで新たに執筆を依頼してくるということは、彼が抱えた他の箇所の進捗具合も推して知るべしだ。
 幸い、RS500Rについては最近に資料をまとめたことがあり、 elfについては細かな技術論を割愛することによって執筆時間を短縮すれば何とかなる。で、まず16日の夕刻までにelfを片づけ、 直後にBS誌“爽快チ
ューン”の執筆にかかり、そのあとでRS500Rに移ることにした。
 ところが、このギリギリのスケジ
ュールで原稿を書いている途中でIからメールが来た。案の定“僕の担当原稿が遅れているために本当に警告灯が点いてしまいました…本文を書いていただいた全ページのキャプションを日曜の夜までにお願いすることはできないでしょうか”などと書いてある。“明日の夜まで”と書かないあたりがしおらしい。
 わかった。やってみようじゃん。Iに写真のデータを送ってくれるように頼み、17日の夜に“爽快チューン”の原稿を書き終えた直後にキャプションに着手。数時間で書き上げた後、RS500Rに移り、Iの希望より半日も早い日曜の昼ごろに、すべての原稿を書き終えた。この時点でIはまだ他のページの原稿を書いていたらしい。もう少し手伝ってやろうにも、今度はこちらが“警告灯が点いた”状態なので、引き続いてBS誌YZ450Fの原稿に取りかかった。
 こうして、最後は薄氷を踏む思いというか、部分的に踏み抜いて水没しながらも、何とか発売日に間に合
ったRACERS第1号。仕上がりはなかなかよかったと思っている。この時期に、いきなり昔のレースの本、それもたった1シーズン・1台のマシンを採り上げるという過去に例のない構成を、1冊の本にうまくまとめたのは、Kの力量という他ない。
 次は“ケニーのYZR500”だそうだから、もっと積極的に誌面づくりに関わりたくなってきた。
“今どきご立派!”な、オートバイレース関係の本。しかも近い将来に定期刊行(隔月刊)化を狙うという無謀とも思える試みを首謀したのはかつて私がレース専門誌のライターをしていたころに世話になり、今は三栄書房に勤める編集担当者だ。
 その編集長の依頼を受け、私に執筆を依頼してきたのも、同じ雑誌で一時期、私の連載ページの編集担当だった、現・フリーの編集者だ。ここでは仮に、編集長をK、フリーの編集者をIとしておく。
 Iから最初の執筆依頼があったのは8月の終わりごろ。1冊丸ごと、1983年にフレディ・スペンサーが乗
ったNS500の本を出すとのこと。
“そんなの売れるわけね〜よ”と思いつつ、Iに頼まれた“1983年のフレディ対ケニーの激しいタイトル争い”についての調査を開始した。マシンやメカニズムに関する記事は私の担当ではなかったので、それらにはあまり深入りせず、ただただ頭の中にあの興奮を再現すべく、1983年の世界GPについて書かれたいろんな書物を読み漁りながら、企画/編集が煮詰まるのを待った。
 ところが、困ったことに、次の連絡が来たのは10月2日。 さらに、担当ページのレイアウトの到着は、7日の深夜にまでズレ込んだ。
 このときの私は、10〜11日のCLUB
XVの全国オフ会に参加すべく必死でXJ900の 腰上オーバーホールをして

いた。月末〜翌月1日に出る3誌の原稿は1文字も書いていない。おまけにバイカーズステーションの12月号には、通常の連載に加えて2010年型YZ450Fの紹介記事を書くことにな
っていたので、帰ってきてから大変な目にあうのはわかっていた。
 そんなわけで、腰上オーバーホールは現実逃避、全国オフ会に至っては敵前逃亡みたいなものだった。だが、仮にオフ会をキャンセルしたところで、10〜11日に執筆が進み、あとで楽をできるかというと、決してそんなことはない。この稼業を20年以上やっていて、何よりもよくわか
ったのは自分の性格である。
 仮に早めに書き始めても、結局ギリギリまで読み返しと書き直しを続け、最初に書いたモノとは全然違った原稿になってしまう。で、最初のも最後のも気に入らない。最初のには迷いが感じられるし、最後のは手を入れすぎた臭いが鼻につく。
 やはり雑誌原稿というヤツは、追いつめられた状況で一気に書き進めたほうがいい。…とか何とか、言いわけをいっぱい考えて、全国オフ会から帰ってきた私は、14日の早朝にP.17までの本文を書き終えると同時に送信して時間稼ぎをし、その間にバイカーズステーションの奥付を書き飛ばし、翌日昼すぎにはロードライダーの連載原稿を完成させ、16日の昼にP.33までの本文を全部書き終えた。これでRACERSの担当ページは


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