XJ900の爽快チューン
2011年9月24日 - ドライブ軸まわりにオイル漏れを発見。ピボットベアリングには浸水あり   
     
回転式整備台上でのリアまわり掃除シーン。あまりにも激しい雨のせいで、フロントまわりは汚れが流れ落ち、きれいだった。
スイングアーム、クロスジョイント、ゴムブーツを外した状態でドライブフランジ奥のオイルシールからのオイル漏れを確認した。
ゴムブーツ内に溜まったエンジンオイルのおかげで異常に気がついた。溜まっていた量は20cc程度で、外には漏れていない。
 いわゆる“洗車”は、しない主義だ。あんなに激しい雨の中を走っておきながら、何を今さら…と笑われようと、今回もまた、洗車はしないことに決めた。浸水がどうこう、錆がなんたら…というマジメな話ではなく、要するに水洗いはメンドクサいからしたくないのである(笑)。
 それに、今回はちょっとマジメな理由もある。各部を軽くバラしながら掃除していって、奥まった場所に水気があった場合、それが雨中走行によるものか、洗車によるものかの区別がつかなくなると困るのだ。
 雨中走行と洗車では、水の当たり方が違うし、洗車時にはブラシでこすったりもするから、なおさらだ。

 雨中走行での浸水によるトラブルが出ないようにする気はあっても、洗車での浸水によるトラブルなんて考えたくもない。洗車しなけりゃ済む話じゃん…と、軽く考えている。
 その代わり、掃除はけっこうマメにしている。前後のホイールやディスクを、それ本体の掃除のためだけでなく、フェンダーの裏側やハブの入り組んだ部分を掃除するために外す…なんてのはちっともメンドクサくない。そういえば、マフラーも、ただ磨くためだけに頻繁に外しているし、半年に1回くらいはスイングアームも外して掃除している。
 で、激しい雨の中を延々と走った今回も、当然のこととしてスイング

アームを外し、掃除にかかった。
 ところが、スイングアーム本体やそれを外さないと手が届かないクランクケース背面、センタースタンド取りつけ部まわりのフレームなどの拭き掃除を終えた後、スモールパーツのチェックをしていたとき、嫌なものを見つけてしまった。
 左側スイングアームピボットの奥にあるクロスジョイントをカバーするゴムブーツの内側に、エンジンオイルと思しき液体が溜まっていたのである。こんなところに溜まるのは内側からのオイル漏れが原因としか考えられないから、アウトプットシ
ャフトを中心に観察したところ、オイルシールからの漏れを発見した。
サービスマニュアルに載っているミドルドライブ/ドリブンギアまわりのパーツ配置。赤文字で示した3点のパーツを注文した。
サブアッセンブリーの土台となるベアリングハウジング(丸いアルミパーツ)は、4本のM8ボルトでクランクケースに固定されている。
サブアッセンブリーを抜いた穴の、右手にミドルドライブギア、奥にミッションの5速ホイールギア(シフトフォーク溝部)が見える。
ハウジングの奥からベアリングとミドルドリブンギア、手前からオイルシールとドライブフランジを通し、ナットで組み立てる構造。
脱着時にケース側の穴側面と擦れるOリングは、目視で損傷がなくても交換しておきたいパーツ。装着も慎重にしたい。
 こんなところからオイルが漏れたのは初めてだ。 が、XJ650/750/900系のエンジンは、この部分をサブア
ッセンブリーで取り外すことができるから、簡単にオイルシールの交換ができる。いや、サブアッセンブリ
ーを外さなくても、100〜140Nmで締まったロックナットを外し、ドライブフランジを抜き出すことができれば、オイルシールは交換できる。
 しかし、それをするためには、ロ
ックナットの回り止めをする必要がある。10〜20Nmで締まったM6やM8のボルトとは一桁違うから、ギアを入れただけでは無理。左または右のクランクケースカバーを開け、ミドルドライブ/ドリブンギアかプライマ

リードライブ/ドリブンギアの間に噛ませ物をすればできるかもしれないが、できないかもしれない。それに、そこまでするくらいなら、サブアッセンブリーを外しても、かかる手間は大して変わらない。
 …というわけで、クランクケース背面からマシンの進行方向に向かってねじ込まれた4本のM8ボルトを外し、ドライブフランジを後方に引っ張りながらハウジングをコツコツとプラハンで叩き、ミドルドリブンギア+ドライブフランジまわりのサブアッセンブリーを取り外した。
 ここまでで、いったん作業を中断し、必要なパーツをリストアップした。ヤマハの“部品情報検索”によ

ると、オイルシールと2個のOリングは、いずれも在庫ありで、値段は3つ合わせて987円。さっそく注文を入れ、納期の火曜日までの間に、どうやってドライブフランジのセンタ
ーロックナットを外すか(どうやって回り止めをするか)を考えつつ、他の部分の掃除と点検を続けた。
 その過程で、右側スイングアームピボットのテーパーローラーベアリングに、浸水によるグリスの乳化を見つけた。アウターレースについたローラーの打痕も、浸水のない左側よりは少々目立つ。が、どのパーツも交換が必要なほどではないと判断し、今回は掃除とグリスアップのみで組みつけることにした。
取り外した左右のスイングアームピボットベアリング。左側は異常なし。右側はグリスが乳化しており、浸水歴ありと判断した。
右側よりも大きく駆動力がかかる左側なのに、アウターレースの状態は非常に良好。縞模様は光の加減によるものである。
浸水歴ありと判断した右側のアウターレースには、わずかとはいえローラーの接触痕が認められたが、軽微なので無交換。


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