写真だけアップしたところで、さ っそく電話がかかってきた。「バイス、ありますやん!」 いや、まあ別の用件の“ついで”ではあったのだが、ウチにバイスがあるのは似合わん…と、彼に言われなくても、本人が一番よくわかっている(笑)。 このバイスは、知り合いからの頂き物である。もらったときの紙袋に入れたまま放置されていて、やがてパーツの山に埋もれて完全に忘れ去られていた、かわいそうなヤツだ。 これをくれたのは、SDR(200)に乗る京都のKさん。2009年3月7日のツーリングに参加されたリンドバーグ京都店のお客さんで、同店が店じまいしてからは会っていない。人車ともお元気だといいのだが…。 これの存在を思い出したのは“バイスがあればいいなあ…”と思ったから。これまで思い出さなかったのは、バイスプライヤーやモンキーレンチがあれば充分で、とくに必要性を痛感していなかったからだ。 で、バイスも出てきたことだし、ここで、23日に書いた“ロングスパン”の作業で一気に組み立てようとして、マニュアルを見ながら、ひとつひとつの手順をシミュレートしたところ、整備台上や床がオイルだらけになりそうな気がした。 あふれたオイルはバットで受けるとしても、そのオイルを再使用したくはない。何か、もっといい方法はないものか…と、あれこれ考えた。 |
| オイルがあふれないようにするのと合わせて、できるだけエアを混入させずに組み立てたい。ダンパーオイルを満たした水槽を用意し、その中で組み立ててれば、エアの混入防止は完璧に近いが、2本のショックを組むのに何リットルものオイルを使うなど、もったいなすぎる。 水槽の代わりに、袋を使うことも考えた。これは名案…と最初は思った。水槽よりははるかに少量のオイルで済みそうだ。しかし、それとて1缶では足りないだろう。 こうして袋案も却下。マニュアルを見ていると、あふれたオイルを受けるドーナッツ状の樋のような(ババロアの型のような?)容器をシリンダーの口のところに取りつけている。ふむ、なるほど、こいつを上に引っ張り上げたような形なら、あふれ止めだけでなく、エアの混入防止にも使えるんじゃないか。 それなら、2本の筒(ダンパーシリンダーとリザーバータンク)に、それらより少々太めの筒を取りつければ何とかなりそうだ。シールには古いOリングが使える。…というわけで、さっそくシリンダーの外側にシールヘッド用のOリング、リザーバータンクの外側にフリーピストン用のOリングを、それぞれ強引に広げて装着し、Oリングの外径にぴったりの内径の筒を探した。 リザーバータンク用の筒は、すぐに見つかった。ガレージに使った縦 |
| 樋である。だが、シリンダー用のほうはなかなか見つからず、あきらめかけていたところで、台所用の塩の容器を発見。幸い空だったので、黙 って台所から持ち出し(笑)、適当な寸法に(金ノコで)切断した。 リザーバータンク用の筒は、タンクの端面よりも上に溜めたオイルの中でフリーピストンを傾け、裏側のエアを逃がしてからリザーバータンクに挿入できればいいだけだから、そこそこの長さで充分である。 これに対して、シリンダー用の筒は、中でロッドのピストンを回したり上下に往復させたりしてエア抜きをしたいから、それに充分な長さが必要で、かつ、シールヘッド挿入時にじゃまにならないように、容易に縮められるのが望ましい。塩の容器は、この点でも最適だった。 こうして、リザーバータンクとシリンダーに筒を取りつけ、オイルを入れずにシミュレーションをした。 筒の中でオイルに浸かった状態にすることができるとはいえ、逆さにはできないので、ダンパーピストンの圧側通路内に入ったエア(上面を圧側シムで封止されている)が抜けにくそうである。これには、テフロンの切れ端を噛ませてシムをリフトさせてやればいいのではないか…と考え、3つの扇形の穴のところにテフロンの切れ端を噛ませてみた。オイルに浸け、エアが抜けたところでこいつを引き抜けばいいはずだ。 |