ヨーロッパでは 
お花屋さんやスーパーマーケットの店員さん 
ホテルの部屋掃除のお姉さんなど 
なぜか白衣を着て仕事をしている人が多い。 
化学の先生が着ているような、あのダボッとしたヤツだ。 
このガソリンスタンドの売店の 
おばちゃんとお姉さんもそうだった。 
最初にヨーロッパに行ったときは奇異な感じがしたものだったが 
最近では、これを見て“あぁ、ヨーロッパだな”と感じる。 
 
ガソリンスタンドの売店の一角で 
コーヒーを飲みながらゆっくりして 
“東欧の観察者”から“オーストリアの滞在者”に 
気持ちを切り替えたボクは 
おばちゃんたちにあいさつをしてパーキングに向かった。 
 
人と人の“あいさつ”に関しては 
ヨーロッパの中でも 
オーストリアから南ドイツを通ってフランスの中部まで 
つまり、アルプスの北縁あたりの緯度に位置する地域が 
最もていねいだと感じる。 
これらの地域では、初めての客や 
ただの冷やかしで店に入った客に対しても 
最後に必ず“ありがとう”と“さようなら”を欠かさない。 
「メルスィ〜ムッシュ〜 オルヴォワ」もいいけど 
「ダンケ」「ヴィダシャ〜ン」も耳に心地良い。 
 
  
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ブリュック〜ウィーン間は 
アウトバーン[A4]で約40km。 
Schwechat空港をすぎると交通量が増え 
しばらく走ると市街地に入る。 
市街地部分のアウトバーンは 
複雑に分岐、合流、屈曲を繰り返すが 
円の中に丸い点が入った 
Zentrumマークを頼りに進めば 
やがて道はドナウ運河に寄り添い 
Schuettelstrasseにつながって 
インナーシュタットに達する。 
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ウィーンに向かう[A4]は 
市内から空港へのアクセス道路でもある。 
空港をすぎると交通量は倍増し 
その後も次々と合流する車で、最後にはかなり混雑する。 
ウィーンには高速の環状道路がない。 
“壁”が厚かった頃、各国のスパイが暗躍したらしい 
プラター(Prater)公園を右に見て 
市内に導かれたドナウ運河の左岸をさかのぼれば 
アウトバーンは自然に街路につながり 
インナーシュタット(Innere Stadt)に達している。 
 
  
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高速の環状道路がないため 
アウトバーンでウィーンに入り 
目的の方向に進むには 
標識を見落としてはならない。 
ヨーロッパではどこでもそうだが 
目的地が進行方向の左手でも 
右に分岐してからそこに行く場合は 
標識には右向きの矢印が出ているから 
自分の方向感覚に頼るよりも 
素直に標識に従ったほうがいい。 
(たまにはだまされることもあるが 
それはそれで楽しいものだ) 
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市内に入って驚いたのは 
走ったり道端に停まったりしているクルマの 
グレードが上がっていることだ。 
ウィーンは、ボクが知っているヨーロッパのどの都会よりも 
メルセデス率が高かった。 
さすがに最高級のSクラスはほとんど見かけないが 
(Sクラスを一番よく見るのは日本の都会である) 
ミディアムとコンパクトは、いっぱいいる。 
 
上下に2本づつ赤の線(国旗の配色)が入り 
都市コードと番号の間に州の紋章がついた 
オーストリアのナンバーだというだけで 
飾り気のないドイツナンバーのような 
威圧感を感じないから不思議だ。 
 
  
  
  
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1990年頃から後 
オーストリアのナンバーは 
白地の上下に赤の2本線が入り 
間に地名(都市略号)で始まる 
黒文字が入ったものになった。 
(それまでは黒地に白文字で 
都市名ではなく州の略号が入っていた) 
上の『W』で始まるナンバーは 
通常のウィーンナンバー。 
下の『SZ』で始まるのは 
よく見かけるが、どこのだか知らない。 
(TirolマークだからSchwaz?) 
こっちは通常の続き番号ではなく 
特に指定して取ったのだろう。 
(日本でも近々、希望の番号を 
取れるようになるらしい) 
都市名略号と番号の間には 
州名と紋章が入る。 
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インナーシュタットで標識を見落として道に迷ったが 
適当に走りまわって[A1 LINZ →]の標識を探し当てた。 
それに従って走ると、シェーンブルン宮殿の前を通過する。 
このあたりには、思わずクルマを停めて泊まってみたくなるような 
古めかしく、格調高いホテルがいっぱいある。 
それらを眺めながら、川沿いの道を西に進むと 
[A1]の乗り場にある巨大なロータリーに出た。 
 
ロータリーに面して、ノヴォテルがある。 
オーストリアに入ったときから、泊まりはノヴォテルに決めていた。 
真っ昼間から遠慮なくチェックインできて 
車でのアクセスが楽で、駐車場が完備していて 
確かめなくても、客室の設備や雰囲気がどんなものか見当がつくから 
旅情は薄いし、部屋代も安くはないが 
徹夜明けの身体を休めるにはちょうどいい。 
ロータリーから少し入ったところにある駐車場にクルマを停め 
レセプションで「今すぐチェックインできるか?」と聞くと 
「シュアー!」との返事。 
“あぁ、これでやっと横になって休憩できる” 
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