伊賀の道の駅を出発したのは9時半ごろだったか。隊列を組んで針を目指す。先週の鯖街道修理ツーリングでキャブの不調から脱し、その後にカムチェーンの点検と調整をしたtetsuさんのルマン3に試乗するチャンスではあったのだが、それより気になるのは自分のバイク。キャブと点火時期が、ほぼ満足とはいえ、もう少し微調整をして、現状のハードウェア仕様の最良セッティングを出したいので、高速走行が可能な名阪国道では自分のバイクに乗った。 ここでは、パイロットスクリュー戻し回転数は2に仮固定しておき、ASウオタニのSPIIフルパワーキットの進角度数調整ダイアルを、進角度数が減る側で6→10→8度と変えてみて、4000rpmからの加速感、6000rpm以上での回りっぷり、全閉時の4500〜3800rpmでの振動の出具合の3点に的を絞ってテストをした。が、やはり、あちらを立てればこちらが立たずで、富士山の九合目をぐるぐる回りながら、頂上への道を探っているようなもどかしさを感じる。 反面、リアショック取り付け部の潤滑が良くなった車体まわりは言うことなし。わざと舗装の継目に乗って走ったり、延々と路肩の白線上を走り続けてみたり、急速な車線変更をしたときの入力に対するレスポンスの良さと、入力をやめたときの安定性の回復ぶりを確かめたりした結果、いずれも満足できた。あとは、伸び側減衰力調整ダイアルを、1〜2ノッチ締め込めば良いはずだ。 針テラスには10時に到着。駐車場には、もうすでに10台近くのTZR250が並んでいた。後方排気友の会が主 |
| 催だから、 数では3MAが他を圧倒している。それらのマシンをひととおり眺め終わったところで、ちっちさんの質問責めにあう。 質問に答えたというよりは、現役メカとして2スト250ccレーサーをいじっていた頃には知らなかった現象や対処法について、いろいろ教えてもらったといったほうが良い。エンジンまわりの外気流のコントロールについては、私も興味を持っている分野だから、現車を前に、ちっちさんといっしょにいろいろ考えさせてもらい、有意義な時間をすごせた。 各自ここで早めの昼食をとり、12時頃に、がんちょさんの先導で、青山高原に向けてプチツーリングを開始。気温が高くなってきたからか、わがXJ900は、PS戻しが2回転ではクラッチミート時(1500rpmあたり)のスムーズさに欠けるような気がしたので、1.75にして好結果を得た。 小倉で名阪を下り、広域農道〜国道165号経由で 名張市内を抜け、青山高原へ。思ったより標高が高いらしく、上るにつれてチョイ開け時のエンジンの反応がダルくなった。 頂上の駐車場に着いたところで、20台あまりのTZR250を並べての記念撮影、持ち寄った賞品によるじゃんけん大会などが行われる一方で、私はルマン3と900SSに試乗。10万kmを超えている 900SS・okaken号の、慣らしが終わったばかり…といったフ ィーリングに感心した。こつこつとメンテナンスを続けてきたマシンならではの、動きの良さとダイレクト感が同居した、これもまた“奇跡の個体”の一員ではなかろうか。 TZR250軍団のセッティング、交換 |
| 試乗、バイク談義などが延々と続く中、4スト組の5人は一足先に帰路につき、がんちょさんの先導で名阪国道大内ICを目指す。 青山高原でPS戻しを1.25にまで減らしていた私は、加速シフトアップ時の回転の落ちが悪く、ミッションが壊れそうだったので、途中で1.75に変更。停まったついでに、ここから先、念願のSRX・Oh!磯号と交換試乗。ハイコンプのキックが下りず、エンジンをかけてもらったのは情けなかったが、ひとたび走りだすと、さすがはレプリカキラーの異名をとるマシンだけのことはある。 とにかく加速が良く、スロットル操作に忠実で、低回転でもぐいぐいと前に押し出されるが、決して暴力的ではない。さすがにキャブセッテ ィングにウルサい人のマシンだけあ って、セッティングのレベルの高さは群を抜いている。足まわりは、XJよりもうんとローリングセンターが低く、ダイレクトではあるが、動きやすさを追求して安定性につなげているあたりに私のXJとの共通性を感じた。とにかく、このマシンは欲しくなった。が、 仮にSRXを手に入れたとしても、これとはまったく別物であり、がっかりするだろう。たまに借りて乗るのが良さそうだ。 …と、冗談はさておき、もうちょ っといろんなシーンでこのバイクを味わいたいと思う。こういう発見ができるのが交換試乗の醍醐味だ。 ただみんなで走って、休憩して、ダベるだけではもったいない。ツーリングは、自分のバイクいじりを充実させてくれるヒントに満ちた交換試乗のチャンスである。 |