XJ900の爽快チューン
2008年4月23日 - それで良いのか、2本ショックのマウント   
     
 TZR250ミーティングの前日“リアショックの上下マウント部に給脂した”と書き、その結果“作動性が驚くほど良くなった”と、ミーティング当日のレポートに書いた。
 ところがどうやら、2本ショックの上下取り付け部が、元々動かないものも多いらしい。動かないと言うと語弊があるが、ラバーブッシュ入りタイプで、ラバーと中のカラーが一体のヤツは、私に言わせりゃ動かないも同然である。ショックの上下を取り付けているボルトやナットの締めつけ力が、ブッシュのラバーと一体化した内側のカラーにかかり、このカラーと軸(フレームに溶接されたボスまたはマウントボルト)の間には滑りは生じないのが、ラバーブッシュ入りショックの一般的な取り付け方式だ。右の図のA寸よりもB寸のほうが長いのである。
 2本ショックというのは、上下のマウント軸とスイングアームピボット軸の3点からなる三角形の1辺をなす。だから、ショックが伸縮すれば、当然、三角形の3つの角の大きさは、それぞれ変化する。つまり、スイングアームピボットと比べるとわずかな角度とはいえ、ショックの上下取り付け部も回転している。
 にもかかわらず、上に書いたように、ラバーブッシュのインナーカラ
ーがフレームまたはスイングアームに固定されてしまっている(回転できない)から、ショックが伸縮したときは、ラバーがねじれて角度の変化に対応している(するしかない)。
 それで良いのか…? 良いわけはないだろう。オーリンズの2本ショ
ックには、エンドアイ(下側マウン

XJ900のリアショック取り付け部。上左の図が上側の左右、右は下の右側、下の図はショックユニット上下マウント部の構造。
ト)にスフェリカル(ピロボール)を用いたものがあったが、それも、上側はラバーブッシュだった。
 スポーツ性の高い機種のほとんどが、今やリンク式モノショック(すべてのピボットが、ちゃんとした軸受け構造のはず)だから、2本ショ
ックのマウント部は、旧態依然のまま放置されているのではないか。
 わがXJ900は、 乗りはじめて間もなく XJR1200用のリアショック(ヤマハ車に純正装着されたオーリンズの中で、唯一カロッツェリアジャパンでO/Hが可能なYA5220/5230)に交換しており、これは上下ともにラバーブッシュ入り。元々どういう取り付け方だったのかは知らないが、XJ900のA寸と比べると、 こいつのB寸は3mm以上も短いのである。
 どうやって取り付けていたかというと、何もしていなかった。つまり

軸方向にはガタガタだったのである(笑)。が、まあ、軸方向に大きな力のかかる部分ではないし、それを言うなら、多くの機種のスイングアームピボットは、隙間こそ小さいものの、軸方向への動きに対して無防備に近いではないか。
 ともあれ、私の場合は、2本のシ
ョックの上下合わせて4箇所が4箇所とも、締めつけ力がラバーブッシ
ュのインナーカラーにはかからないから、内側の軸(上部左右と下部左側は外径14mmのボス、下部右側はボルトとの間に入る内径10・外径14mmのカラー)との間で、回転方向に滑りが可能。これがおそらく、今回の給脂の前から“動きが良い”と言われていた理由のひとつであり、今回の給脂によって劇的に動きが良くな
った原因でもある。実はあとふたつ理由があるのだが、それは次回に。


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