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| ていない場所にあった。午前2時に不意に訪問したにもかかわらず、初対面の私を、店主は快く迎えてくれた。同時に、知人がこの店に預けている2台のGX750が目に入った。 ともにクリスタルシルバー塗色のI型とII型。オーナーはI型のレストア用の部品どりにII型を使う予定だそうで、使わなかったII型のパーツは私に譲ってもいい…とのこと。気の長いオヤジ衆(私も含む)の計画だから、この先まだまだ紆余曲折はあるだろうが、すでに“その日”に向かって準備を開始した私は、どの程度のマシンなのか、そして、一目でダメとわかるパーツはどれとどれか…などを早めに知りたかった。 だいたい予想どおりの程度で、フレーム/タンク/マフラーなどはそのまま使えそうだとわかって安心した私は、1時間ほど店主と歓談した後、再びアテもなく走りだした。 夜間走行中は、目から入ってくる情報量が昼間と比べると極端に少ない。そのぶん速度は低めに、車間距離は長めにしているから、加減速に支障はない。問題は左右へのリーンのきっかけだ。これはどうしても遅れがちになる。遅れたタイミングで動作を開始するから、遅れを取り戻そうと慌てて、昼間よりも大きなアクション/強い入力になりやすい。 ところが、Hi−Efステアリングヘ ッドで、この“慌てた動作”をすると、修正に修正を重ね、ラインがと っちらかる。効率が高いあまり、オ ーバーアクションに対しても敏感に反応してしまうのだ。そして、そのつど愛車に“はいはい、もっと落ち着いて”と、たしなめられる。 ちょっと眠くなってきたので、い |
| ったんは家に向かったものの、木津川沿いの国道で涼風に吹かれて眠気が覚め、そのまま南下して奈良市内に入った。24時間営業のマクドナルドでコーヒーを飲んでいたら、あたりがぼんやりと明るくなってきた。 そうだ。日の出を見に行こう…。子供のころ、夏休みにはたいてい、何度か日の出を見ていたものだ。月見草と記憶がダブっている。だが、ここ何年もの間、日の出を見た記憶がない。ひょっとすると15年ぶりかもしれない。記憶にある家の近くの川べりまで行ってマシンを止め、河原に降りる階段に座って、日の出までの数十分を待つことにした。 やがて、山の上に太陽が顔を見せた。が、今日の空気のせいか、赤味のない、いきなり昼間と同じ色の強烈な光線を放っていた。また暑い一日になりそうだな…と思うと、涼しいうちにもう少し走りたくなり、国道163号を東進した。 三重県に入ってすぐの旧・島ヶ原村に、バイパス開通後、交通量が激減した旧道がある。区間距離は短いが、ここもお気に入りのテストコースである。 今日はそこで、切り返し時の操舵系の動きを探り、前後ショックのセ ッティングに問題がないかを確かめた。ショックの縮→伸→縮と操舵系の舵角→中立→逆舵角のリズムが同調しないと、切り返しはうまくいかない。テストの結果は上々だった。 ようやく帰路につき、国道を流しながら、ステアリングの動きから反比例のグラフを連想した。旋回のRが無限に大きくなっていって直線になった瞬間に、無限大の逆Rがつきはじめているといった感じ。直進は旋回の連続なのだと再確認した。 |