XJ900の爽快チューン
2009年4月25日 - フロントフォークの隅を突く(その1)組み立てボルトまわりの問題
     
フロントフォーク底部の、かなりいい加減な断面図。黒く塗った部分の隙間によるパーツのズレをどう配分するかが問題だ。
底部の組立ボルト(六角穴つきボルト)と、陥没した銅ワッシャ。今回もまた裏に軽くオイルストーンをかけ、裏返し使用。
フォークシリンダー底部端面の接触により陥没しているテーパースピンドル内側底面。鉄のワッシャを乗せて陥没対策とした。
 XJ900をはじめ、 多くの筒穴式フロントフォーク底部の構造は、上の図のような感じである。組み立てボルトと書いた、アウターチューブの底にある六角穴付きボルトが、アウターチューブにフォークシリンダーを固定し、左右それぞれのショックユニットを組み立てている。
 が、実はこのボルトは、テーパースピンドル(オイルロックピース)の取りつけをも兼ねている。このボルトの頭と、ナットに相当するフォ
ークシリンダー底部のメネジの間に生じる締めつけ力は、アウターチュ
ーブだけでなく、テーパースピンドルにもかかっているのだ。
 で、ここでの問題は、大きく分けて2つ。締めつけ力がかかる部品の座面の陥没と、隙間の偏りによる偏心である。座面陥没自体は大した問題ではない。しかし、座面が陥没したところに締めつけ力がかかると、ボルト頭が“ズルッ”と凹んだ部分に入り込み、望ましくない位置に固定されてしまうことがある。
 フロントフォークの組み立てにおいては、通常、組み立てボルトの首

下に入る銅ワッシャの座面陥没が問題視される。これによって、アウタ
ーチューブの中心とボルトの中心を一致させるのが難しくなり、結果としてフォークシリンダーとアウターチューブの中心がズレてしまう。
 ところが、座面陥没は、テーパースピンドルの内側底部でも起きている。このため、銅ワッシャだけ新品にしても、テーパースピンドルの座面陥没により、締めつけ時にフォークシリンダー端部が凹みに引っ張られ、ズレてしまう可能性がある。
 4月22〜24の3日間にわたって念入りに組み立てたフォークを、今日再び全バラして組み直す気になったのは、なぜか以前よりオイルロックの効きが強くなったような気がする原因を追求したかったのと、ここをはじめとするいくつかの箇所に細心の注意を払っていなかったと気づいたからであり、今度こそ、全知全霊をもって組み立てようと決意した。
 で、その第一弾が、フォークシリンダーとテーパースピンドルの芯出しであり、偏心の原因となる座面陥没の排除だったのである。
 個々のパーツに施した作業は、組立ボルト:洗浄のみ、銅ワッシャ:軽くオイルストーンを当てて裏返し使用、テーパースピンドル:上端面縁に軽く面取りと上端面に軽くオイルストーンがけ+内部の洗浄+底面縁に軽く面取りと底面に軽くオイルストーンがけ、フォークシリンダー
:底部端面とそれに接する45度面取りの面の間の糸面取りと底部端面に強めにオイルストーンがけ、テーパ
ースピンドル内側底部の陥没対策:外径がフォークシリンダー底部外径よりも大きく組立ボルトが通る最小の中穴径のプレーンワッシャを座面上に設置、上記ワッシャによるストローク延伸分の調整:リバウンドスプリングと重ねて 1.5mm厚のワッシ
ャを挿入…などである。
 ところで、上に“偏心”と書いたが、これらのパーツの中心がアウタ
ーチューブの中心と一致しているのが必ずしも正しいわけではない。仮にアウターチューブに対してインナ
ーチューブが偏心していれば、これらのパーツはインナーチューブの中心に合わせるのが正解である。
テーパースピンドルの左側に見えるのが、今回追加した陥没対策ワッシャ。M8のワッシャの中穴をリューターで広げて制作。
端面の縁に糸面取りを施した後、端面に強くオイルストーンをかけ、陥没対策ワッシャとの間の滑り(締めつけ中)を良くした。
テーパースピンドル底面にも、縁に面取りを施した後、面全体に軽くオイルストーンをかけ、面の荒れと歪みを修正した。


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