XJ900の爽快チューン
2009年5月15日 - フロントフォークセッティング(その15)プレートを交換しリーク穴を拡大
     
フォーク径に合ったサイズのエミュレーターからリリーフバルブプレートだけ移植した後、そのオリフィスをφ2.65→3mmに拡大。まわりに見えるスプリングシート(ドーナッツ状のワッシャ)との隙間が小さくなるが、伸長時のオイルはワッシャの下をも流れるため、伸び側ダンピングフォースに与える影響はわずかである。
プリングを重ねてセットすれば、単純な2段レートではあるが、できなくはなさそうだ。が、うんとレートが低く、コンマ何mmかで全屈するスプリングってのは、ウェーブワッシ
ャとか、うんと薄いコニカルスプリングワッシャしか思い当たらない。
 カートリッジエミュレーターの特徴であるリリーフバルブ方式にこだわるなら、そういう改造もアリだろうが、結局薄板に頼るのなら、これを機会にシム式を採用してしまうのも悪くないな…とも考えている。
 な〜んだ、結局はシムかよぉ…と自嘲しつつ、筒穴式→リリーフバルブ+コイルスプリング→オリフィス
+シム式…と、ダンパーユニットの数十年にわたる歴史を、わずか1カ月少々の間に追体験できたのは、決して無駄ではなかったし、今後のバイクいじりにとっても、仕事のうえでも、貴重な体験だった。
 また、ここまでやってみて、50点の満足度を80点にまで高める(乗り心地について細かいことを言わなければ、もっと得点は高いはず)製品としてのカートリッジエミュレータ
ーの実力が再認識できた。
 最初のうち、花弁型ワッシャを入れたり、その上にワッシャを噛ませたりしなければならなかったのは、フォーク径に対して過小サイズのエミュレーターを使った(それによりリークホール=リリーフバルブプレ
ート上のオリフィスも小さすぎた)のが主な原因であり、フォーク径に適合した製品からバルブプレートのみ移植した後は(直径2.65mmのオリフィスを3mmに拡大したとはいえ)最初に私が感じたほど大きな問題は出ないだろうと思えてきた。
 今回は、実は5月5日にあれこれ試していたセッティングのまとめである。結論から言うと、正立型で筒穴式ダンパーを持ったフロントフォークとしては、 100点満点中80点くらいの満足度が得られたのではないかと思っている。今から思うと、3月末頃にセッティングを開始する以前の状態は(とくに不満がなかったとはいえ)50点にも達していなかったのではないだろうか。まさに“昨日の最善は今日の次善”である。
 今の80点には及ばないものの、い
ったん75点あたりまで高まった満足度が、フロントフォークの隅を突く(その1〜4)に書いたファインチュ
ーニングの成果である摺動抵抗の低減によって低下し、以前よりもはるかに動きやすい状態に合わせた再セ
ッティングが必要になった。
 以前よりも動きやすくなったんだから、ダンピングを効かせる方向が

良いかというと、そう簡単にはいかない。動きやすい→加速しやすい→流速が高まりやすい→ダンピングが効きやすい…というのは容易に理解できるが、ダンピングを強める→加速しにくくなる→流速が高まらない→ダンピングが効きにくい→ダンピングを強めたくなる…というループに陥ると、まるで泥沼状態である。
やはり、開口面積が一定のオリフィスによるダンピング特性の造り込みには限界があるようだ。
 この問題を解決するには、おそらく、オリフィスからリリーフバルブへの移行ポイントを引き下げ、早い時期からリリーフバルブに仕事をさせるのが良さそうだ。そこでまず考えたのが、リリーフバルブスプリングのプログレッシブ化である。
 現状のスプリングにはプリロードをかけず、もう1本、うんとレートが低く、コンマ何mmかで全屈するス


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