トップブリッジの取りつけ方法もまた、フロントフォークの作動性を大きく左右する。センターのナットまたはボルトを規定トルクで締めつけてから、左右のフォーククランプボルトを締めつける…と、たいていのマニュアルには書かれているはずだし、私もそう書いてきた。 ところがこれは、正しい方法には違いないが、フォークの作動性を最良の状態に保つための最善の方法とは言えない。フロントフォークの隅を突く(その1から3)に書いた精密組み(またの名を変態組み)をしたのなら、トップブリッジの装着も、それと同レベルの精密さで行うべきであり、その効果はフロントフォークだけでなく、ステアリングヘッドの作動性改善にも大きく寄与する。 で、通常の組み方のどこに問題があるかというと、センターのナットまたはボルトの締めつけによってト ップブリッジが回転したり、フォークがねじれたりする点である。 これらの対策は3つ。まずひとつは、センターのナットまたはボルトを締めつけるときに、左右のフォー |
| ククランプ部の隙間をなくしておくこと。次に、センターのナットまたはボルトを回す力が、なるべくトップブリッジに伝わらないように(締めつけ力のみ伝わるように)すること。最後に、センターのナットまたはボルトを締めつけるとき、インナ ーチューブやアンダーブラケットをストッパーにしないこと、である。 これら3つの対策のためには… (1) トップブリッジをステアリングシャフトに固定する上下の座面を滑りやすくし、センターのナットまたはボルトを“回す力”がトップブリ ッジに伝わりにくくしたうえで… (2) 左右のフォーククランプボルトを緩めた状態でセンターのナットまたはボルトを仮締めしてトップブリ ッジの上下方向の位置を決め… (3) センターのナットまたはボルトを緩めてトップブリッジの前後左右への動きをフリーにした状態で左右のクランプボルトを仮締めし… (4) ハンドルを切らない(ステアリングストッパーが効かない)状態でトップブリッジを支えながら(トップブリッジマウントでもインナーチ |
| ューブマウントでも、ハンドル端を支えるのが良い)センターのナットまたはボルトを正しく締めつけ… (5) 上下方向の位置を決めていたとはいえ、センターのナットまたはボルトの本締めによってわずかに下に移動した分だけトップブリッジに生じたたわみを逃がすために、左右のフォーククランプボルトをいったん緩めてから正しく締め直す… …といった作業順序が望ましい。 私が使っている(TR-1/XV750Eから流用)トップブリッジのように、ステアリングシャフトクランプ部にも“すり割り”の入ったタイプは、どの時点でここのクランプボルトを締めるべきかも考えねばならない。 ここは、上記(3)でセンターのナ ットまたはボルトをいったん緩めた後、左右のクランプボルトを仮締めするまでの間に、正しく(トップブリッジがステアリングシャフトに固定されるように)締めつけ、そこからわずかに(トップブリッジが上下に動くことができる最小の隙間を確保するために)緩めておき、(4)の後に正しく締めつけるのが正解だ。 | |