XJ900の爽快チューン
2010年1月31日 - クランクケース内圧について考える - 逆止弁による差圧利用の減圧   
     
 クランクケースの減圧には、いくつかの方式がある。スカベンジポンプを用いた強制減圧、排気や吸気の負圧を用いた強制減圧、エアクリーナーボックス内圧との差圧を利用した自然減圧などが知られている。
 これらの中で、最も簡単なメカニズムで大きな効果が得られ、装着が簡単、コストも(他と比べて)安いなどの理由で、ストリートバイク用減圧システムの主流となっているのが差圧利用の自然減圧である。
 差圧というのは、クランクケース内圧とエアクリーナーボックス内圧との圧力差であり、クランクケースとエアクリーナーボックスを結ぶブリーザーホースの途中に逆止弁(チ
ェックバルブまたはワンウェイバルブとも呼ばれる)を設け、エアクリ
ーナーボックス内圧よりもクランクケース内圧のほうが高いときにバルブを開き、逆のときに閉じるのが減圧バルブの役目だ。
 この種の減圧バルブには、大きく分けて2つの方式がある。ひとつはリードバルブ式で、もうひとつはプランジャーバルブ式。 1月17、24日にテストしたマエカワエンジニアリングのレデューサーがリードバルブ式、 AELLAのモーターブレスシステムと NAGの内圧コントロールバルブがプランジャー式を採用している。
 これら2つの方式は、構造は異な

っても作動原理は同じ。リードまたはプランジャーの表裏に圧力差が生じれば開き、圧力差がなくなれば閉じる。そして、逆止弁(またはワンウェイバルブ)の名のとおり、流れるのは一方向のみであり、圧力差が逆転したときは閉じたままである。
 減圧バルブを取りつけない状態のブリーザーホース(ブローバイガス還元ホース)には、ピストンの下降によってクランクケース内圧が高ま
ったときにはクランクケースから出ていく方向に、ピストンの上昇によ
って内圧が低下したときは入っていく方向に、高い速度で空気(ブローバイガス)が流れている。
 この流れの中に逆止弁を取りつけるとどうなるか…。こういった現象を想像/理解するためには、最初は細かな条件を無視して単純化し、極低速(例えば1rpm以下)で動いた状態から考え始めるのがよい。
 で、仮に、クランクケース内容積500cc、排気量500ccのエンジンがあ
ったとすると、ピストンが上死点にあるときの内容積は1000cc、下死点のときの内容積は500ccだから、 上死点にあったピストンが下死点に達する下降行程では、 その差500cc分の空気が流れ込んでクランクケース内の圧力が高まり、エアクリーナーボックス内との差圧によって逆止弁が開き、高まった内圧を逃がす。

 こうして、ピストンが下死点のときのクランクケース内圧がエアクリ
ーナーボックス内圧と同じになったところで、今度はピストンが上死点に向かって上昇行程に入る。このときは、下降行程とは逆に、クランクケースからピストン裏側に向かって500cc分の空気が流れ込み、 クランクケース内の圧力は低くなる。
 しかし、逆止弁のおかげで、エアクリーナーボックスからクランクケ
ースへの(高圧部から低圧部への)空気の逆流は生じず、クランクケース内圧は低いまま保たれる。
 さきほど書いたように、細かな条件(温度変化や燃焼室からのリークなど)を無視すると、極低速で運転中のクランクケース内圧は、逆止弁なしの場合は、ほぼエアクリーナーボックス内圧近辺で推移するのに対し、逆止弁ありの場合は、最高がエアクリーナーボックス内圧、最低がエアクリーナーボックス内圧の半分(クランクケース内容積と排気量が同じと仮定した場合)となる。
 ブリーザーホース中に逆止弁を設けることによってクランクケース内圧の平均値を低く保てる“原理”は以上のとおり。ただ、現実には、上の話の中で無視してきた種々の条件の影響を受けるため、効果的な逆止弁(減圧バルブ)を製品化するのは容易なことではない。


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