XJ900の爽快チューン
2010年1月29日 - クランクケース内圧について考える - 圧力よりも密度に着目すべし   
     
 クランクケース内圧の低減、すなわち減圧。これについて、その効果や具体的な方法に関する記述が多い反面、減圧すると“なぜ”そういった効果が得られるのかについて、納得できる説明が見当たらない。
 もともと目に見えない空気が、外から見えないクランクケース内で何をしているのか…。見えないものの動きや作用を理解するのは難しい。しかし、ちょっと想像をたくましくすれば“おそらくこうに違いない”
という仮説を導くことはできる。というわけで、以下の話は、私の“想像”に基づく“仮説”である。定説ではなく、検証された理論でもないことをお断りしておきたい。

■目的は空気抵抗を減らすこと
 どんな方法を採るにしても、減圧するためには、クランクケース内の空気を外に出さなければならない。その結果、クランクケース内の空気密度は低下し、圧力は低くなる。
 ここで、圧力にばかりとらわれているとダメである。温度変化がないと仮定すると“圧力の低下=密度の低下”である。圧力ではなく密度に着目すれば、クランクケース内を減圧する効果は理解しやすい。

 空気密度が低下すれば、空気抵抗は減少する。空気抵抗の大きさは、密度と前面投影面積に比例し、速度の二乗に比例する。密度が半減すれば空気抵抗も半減するのである。
 密度=同じ体積中に含まれる分子の数、圧力=壁面に衝突する分子の数と考えるとわかりやすい。
 空気抵抗が減少すれば、ピストンが下がるときには、その下にある空気が押し出されやすくなり、ピストンが上がるときには、その下に空気が流れ込みやすくなる。他にも、クランク室からミッション室への空気の出入りに伴う抵抗や、クランク室内でのクランクの回転に伴う抵抗など、至る所で空気抵抗が減り、結果としてピストンは上下しやすく、クランクは回りやすくなる。
 流行の逆止弁を用いた方式で、圧力のみでは説明できない効果(圧力だけに着目すると損失が増えるような運転状況でも明らかに損失減が感じられるなど)が得られるのも、上記の仮説を傍証しているようだ。
 これらにより、クランクケース内のポンピングロス低減は、圧力のチ
ューニングというよりは気流のチュ
ーニングであり、やみくもに圧力を下げるよりも、いかにしてクランク

ケース内の空気抵抗を減らすか(空気をスムーズに流すか)という点に留意が必要なのは言うまでもない。
 オイルレベルの管理、整備状態や乗り方をも含むブローバイガス減量策もまた、クランクケース内のポンピングロス低減に効果的だということは知っておいて損はない。

■減圧で振動が減るのはなぜか
 例えば、上死点に向かってピストンが上昇するとき、その下側(シリンダー内)には、上向きの空気の流れが生じる。ところが、上死点に達したピストンが上昇をやめた瞬間、その流れが急激にせき止められる。
 流れを急に止めると、大きな圧力変化が生じる。中流で流れをせき止めると、上流側の圧力は上昇し、下流側の圧力は降下する。満員電車が急ブレーキをかけた場合を想像すればわかりやすいかもしれない。
 それと同じように、上死点に達して上昇をやめたピストンは、裏側から、強烈な勢いで空気によって叩かれているはずだ。空気密度が低いほど、このときの衝撃が小さくなるのは容易に想像でき、これが、減圧が進むと振動が低減する原因のひとつではないかと想像している。


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