XJ650〜900系のクラッチは重めである。もっと重い機種はいくらでもあるとはいえ、もっと軽い機種もたくさんある。同時代車で軽さに驚かされるのはTR-1/XV750E。レリーズ機構が異なるのに加え、ワイヤーの通りがとてもスムーズなのだ。 今回、ヘッドライト裏〜ステアリングヘッドパイプ間にレクチファイア・レギュレターをマウントするのに合わせ、それとの干渉を避け、さらに各部の曲がりを緩くすべく、XJ 650〜900系で最も長いXJ650Specialのクラッチワイヤーに交換した。 そして、 STDとは異なり、ステアリングヘッドパイプの右側を通って燃料タンク内側の空間に達するように取り回す予定だった。4〜5通りの取り回しを試して、最もスムーズなのがこの通し方だったのだ。 ところが、これだと、末広がりの形状をしているインジケーターボックスの右端から下に向かう関係上、右のターンシグナルインジケーターが見づらかったり、キーの抜き差し |
| のじゃまになったりする。さらに、右フルロックあたりまでハンドルを切ったとき、右側ライトステーの内側あたりで曲がりが急になり、少々レバーが重く感じられる。 とはいえ、いろいろ試した中ではこれがベストだし、上に書いた問題点も、あら探しの結果であり、実用上何ら問題ないレベルだから、これを最終案にしようと思っていた。 ところが、バッテリーのマウントを作っている途中で、何度も何度もクラッチワイヤーを脱着しているうちに、バッテリー前端あたりから真上に立ち上げて、トップブリッジの後ろ側からハンドルバーの上側を通し、レバーに向かうのもアリなんじ ゃないかという気がしてきた。 さっそく試すと、650Specialのワイヤーでは長すぎ、900のSTDでちょうどよいことがわかった。レバー〜レリーズ間を単純な3つのRでつないだ、見るからに軽そうな取り回しである。どのRも、150r以上ありそうで、実際、レバーを握る力が低減 |
| しているだけでなく、フィーリングにも節度感があり、好ましい。 ステアリングの中心軸に近いところを縦にワイヤーが通っているおかげで、ロックtoロックまで左右にハンドルを切っても、上の写真で白い針金で縛った箇所よりも後ろのワイヤーは張りもたるみもせず、そこよりも上の部分が寝たり起きたりするだけで、Rが急になることはない。 タンクを載せてみるまで、ちょっと気になった“見た目”も、見慣れない感じはすれど、少なくとも私には“変”だとは感じられない。 私のマシンで、たまたまうまくい ったからといって、他の機種に応用できるかどうかはわからない。が、上に書いた“ステアリングの中心軸の近くを縦に通る”というのは、クラッチワイヤーだけでなく、スロットルワイヤーや配線類にも当てはまる、張りやたるみを少なくするためのワイヤリングの基本である。 クラッチの重さにお悩みの方には一考をおすすめしたい。 | |