XJ900の爽快チューン
2010年11月4日 - ハンガリーの建築家、マールクシュ・ゲーザの曲線に魅せられて   
     
 たまにはこんなのがあってもいいじゃんか…と、今日は、いつもとはがらりと芸風を変えてみる(笑)。
 RACERS Vol.7の製作が佳境にさしかかったので、改造作業は中断。でも、ダイアリーの更新なら、原稿を書いたり写真を探したりしながらでもできる。…というわけで、 BBSで予告したレヒネル・エデンについて思うところを書き綴ってみたい。
 アール・ヌーボーを代表する建築家のひとりであるレヒネル・エデン(Lechner Ödön)は、ハンガリーに生まれ、同国の首都ブダペストを中心に多くのアール・ヌーボー建築を遺している。それらは、例えばグーグルで画像検索をするとわかるように、装飾性の高い、まさにアール・ヌーボーの真骨頂であり、あのサグラダ・ファミリアの作者として有名なスペインのアントニ・ガウディと並び称されるのも納得できる。
 エデンもガウディも、私にとっては、物見遊山の観光客的興味を超える対象ではなく、建築家なら、もっと後世の、例えばジャン・ヌーベル
(ブレンボのR&Dセンターも彼が手がけた)あたりがストライクゾーンに入ってくる。要は、装飾過多よりもシンプルな機能美を感じさせるデザインが好きなのである。
 ところが、そんな私が、見た瞬間に“ガーン”と頭を殴られたような衝撃を受けたのが、上の写真にあるエデンのドアと窓だった。残念ながら、エデンの作品というだけで、どこにあるどんな建物の一部なのかはわからない。画像検索にも引っかか

中央が問題の“天窓とドア”のページ。女体がモチーフなのは想像できるが、それをこの形に表すのは天才わざという他ない。
らないから、有名ではないのかもしれない。だが、有名だろうが無名だろうが、そんなのはどうでもいい。
 とにかく、この曲線には度肝を抜かれた。以後、エデンの作品を見るときは、装飾ではなく、その枠組みを形づくる曲線に注目するようにな
った。そうすると、このハンガリー人の建築家が、実はガウディよりもはるかにユニークで多彩な、曲線芸術家と呼びたくなるほどの作品を遺していることがわかってきた。
 そんな私が、自分で絵を描いたり工作物を作るときに、エデンの曲線を意識するようになったのは当然のなりゆきである。が、一度も満足のいく結果は得られていない。エデンの曲線は、単純なようでいて、実に巧妙で、無意味なように見えて、実

際は相当に綿密な計算がなされているのではないかと思う。
 最後に、エデンの作品の写真を引用させていただいたカタログは、ワコールの高級ブランド・スタディオファイブの2005年春版である。エデンの作品だけでなく、収録されているスタディオファイブの製品にも、思わず唸る素晴らしいデザインの物があり、目を楽しませてくれる。
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 以上の内容を11/4にアップしたところ、トモキ・オータさんの調査により、このドアと窓の作者はマールクシュ・ゲーザ(Márkus Géza)だということが判明。タイトルを“レヒネル・エデン”から“マールクシ
ュ・ゲーザ”に書き直して再アップした。(2010年11月18日追記)
白熱球のような飾りを持った窓。このあたりの曲線には、騎馬民族国家ハンガリーならではの、東洋の影響が感じられる。
繊細な刺繍が同ブランドの特徴。STUDIO FIVEになる前のCINQFORT時代のカトレアシリーズがお気に入りだった。
興味ある物のカタログは楽しい。自分に下着フェチの気があるのは認めてもいいが、使用済みはご遠慮申し上げたい(笑)。


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