XJ900の爽快チューン
2011年1月5日 - SSR/ウインカーリレー/電球の結線を考えつつ8個のSSRをチェック   
     
電源+→SSR→電球→ウインカーリレー→電源−”の結線で作動中。制御側の入力ありを示す黄色のLEDが点灯。
 今回の電装系新作に使うソリッドステートリレー(SSR)は8個。以前からヘッドライトHi/同Lo/ホーン/ストップランプへの給電に使っていた4個のマグネット式リレーをSSRに置き換える他、ウインカー左/同右/イグニッション(イグナイターユニットとイグニッションコイルの一次側)/夜間照明(ポジションランプ他)の4系統にもSSRを使う。
 その狙いは2つ。スイッチを流れる電流を低減させて接点のトラブルを防ぐことと、バッテリーから負荷に至る電源ラインの引き回しを最適

化して電圧降下を防ぐことである。
 8個のSSRのうち6個は、 電源と負荷の間に(既存のスイッチの代わりに)設け、 既存のスイッチはSSR制御側の回路に組み込み、 SSR作動用の低電流のみ開閉させる…という使い方である。これは、リレーの形式の違いを除けば、ごく一般的なDC用パワーリレーを使ったヘッドライトなどの直接給電と同じやり方だ。
 ところが、残る2個のSSRは、左右のウインカー (21〜27W程度の電球×2 +パイロットランプ)への給電に使うため、 電源〜SSR〜電球から

なる負荷側回路のどこかにウインカ
ーリレーを入れなければならない。
 今回の改造のために調達したウインカーリレーは、ヤマハやカワサキのやや古い機種に多用されているフルトランジスター式で、 2線式であるため使い勝手が良い(+〜電球〜スイッチ〜−の回路中に割り込ませるだけで使える)のでこれにした。
 で、今回私が作ろうとしているウインカー系は、乱暴に言ってしまうと、電源の+と−の間に、 SSR/ウインカーリレー/電球の3つが直列に並んだ回路…ということになる。
仕様書に書かれた結線図。“IN+”〜“GND”端子間に制御側電流が流れると“LINE+”〜“LOAD+”端子間が導通する。定格電流の何倍の電流が流れると何ミリ秒でブレーカーが動作するかを示す図。横方向の幅は温度差などによって生じる。
 上に書いた“3つが直列に並んだ回路”が何通りあるか、数学の“場合の数”の中の“順列”に当てはめて考えると、 3×2×1=6で6通りである。ウインカーリレーをR、電球をV、SSRをSとすると…
 1) +→S→R→V→−
 2) +→S→V→R→−
 3) +→R→S→V→−
 4) +→R→V→S→−
 5) +→V→S→R→−
 6) +→V→R→S→−
…という6通りの回路が構成可能である。RもSも単なるスイッチであ

れば、6通りの中からどれを選ぶかは、パーツのレイアウトや配線の都合で決めればよい。だが、電気のシロートかつ SSRの初心者である私には、どれが最適なのかといった高度な判断はもちろん、どれがOKでどれがNGなのかの想像もできない。
 そこで、12月31日のテスト装置を使って6通りの回路(結線)をすべてテストし、その後、8個のSSRすべてで同じテスト結果が得られるかどうかのチェックもすることにした。
 テスト結果は非常に興味深いものだった。OKといえるのは2通りだけ

である。では、残る4通りがすべてNGかというと、そうではなく、NGと言い切れるのは3通り。OKだったりNGだったりするのが1通りあった。
 先に書いた6種類のリストにOKかNGかの評価のみ書き込むと…
 1) +→S→R→V→−:OK
 2) +→S→V→R→−:OK
 3) +→R→S→V→−:OK/NG
 4) +→R→V→S→−:NG
 5) +→V→S→R→−:NG
 6) +→V→R→S→−:NG
…となる。4つのNGは、同じNGではあっても症状が異なっている。
負荷側回路の異常を示す赤いLEDは、過電流によるブレーカー作動時だけでなく、断線時にも点灯する仕様を選んだ。全8個の個体(定格電流10Aが4個、7.5Aが4個)に識別番号を割り当て、1個ずつリレーとブレーカーの作動をチェックした。
 何が原因で症状の違いが生じるのかを追求するのは面白そうだし、その過程で自分に欠けている電気の知識が身につくかもしれない。だが、そんなことをしている時間的余裕はない。他にも考えなければならないことがいっぱいあるからだ。
 この件について真っ先に考えなければならないのは、上記リストの3)において、OKだったりNGだったりする理由である。いや、理由はわからなくても、NGが出ないようにする方法があるのかどうか、あるとすればどういう方法かがわかれば充分だ。

 OKなのがわかっている1)か2)を採用すれば済む話なのに、私が3)にこだわっているのは、3)が最もシンプルな配線でいけるからだ。
 SSRと電球の間に ウインカーリレ
ーが入る1)だと、左右の回路が1個のウインカーリレーを兼用することができず、2個必要になる。では、SSRと ウインカーリレーの間に電球が入る2)はどうかというと、こちらはウインカーリレーが兼用できる反面、電球からの戻り線を(アースとは別に)引き、その先にウインカーリレーを接続しなければならない。

 ウインカーリレーをもう1個追加するのも、戻り線を前後のウインカ
ー〜ウインカーリレー間に這わすのも、今なら大した手間ではない。だが、やはり、できることなら3)でいきたい。…というわけで、3)についてのみ、OKになったりNGになったりする原因を探ることにした。
 そこでまず、8個のSSRに、10-1、10-2…、7.5-1、7.5-2…という識別番号を割り振った。そして、ひとつひとつ3)の回路に挿入していき、作動チェックをした。結果は、 10Aタイプ(ブレーカー作動電流)は4個
     SSRよりも上流側(電源の+側)にウインカーリレーを入れると、ブレーカーの動作が不安定になりやすいようである。
ともOKなのに、7.5AタイプはOKとNGが半々に分かれた。そこで、ウインカー系に(左右各1個)使う7.5Aタイプのみ再チェックしてみた。
 すると、最初はNGだったのに2回目にOKになる個体や、最初はOKだったのに2回目にNGになる個体があった。なんだ、バラバラじゃん…と思いつつチェックを繰り返すと、試行回数の増加につれてNGの出現頻度は低下し、最後には4個とも、何度や
ってもOKが続くようになった。
 こうした、 SSRがリレーとして正しく働くかどうかのチェックと合わ

せて、ブレーカーとしての作動テストもした。それまで負荷にしていた27W×2の電球と並列に、ヘッドライト用H4電球の60Wを接続し、 114Wの負荷(電源電圧が12Vだと 9.5A流れる)でブレーカーが作動するかどうかをチェックしたのである。
 このSSR(ドイツETAのスマートパワーリレー E-1048-8C)の仕様書によると、ブレーカーの通常スイッチングポイントは、 表示電流値の1.3倍(低温時ほど倍数が小さく、高温時ほど大きい)とのこと。これに対して、テストした114W=9.5Aは7.5A

の1.27倍であり、ほぼブレークポイント近辺でのチェックだから、結果がバラつくのは予想できた。
 案の定、テスト回路のスイッチをオンにすると、3個の電球が一瞬光
った後にブレーカーが作動して回路が遮断される場合と、何ごともなく3個の電球が点滅を続ける場合に分かれた。そして、これも試行回数の増加につれてブレーカーの作動頻度が低下し、最後には何度やってもブレーカーが効くことはなくなった。
 思いのほか長くなったので、テスト結果の考察〜対応は項を改める。


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