XJ900の爽快チューン
2012年10月21日 - 2012年第4回ダンロップツーリングステーション@瀬の本高原(当日)
     
 今回のスタッフ宿舎は、瀬の本高原から南西に、直線距離でも20kmほど離れた内牧(うちのまき)温泉にあった。昨夜は近所の居酒屋で(苦手の)もつ鍋に四苦八苦しながらも特産の馬刺しに舌鼓を打ち、かなり酔ったうえ、もともと早起きだったのが重なり、早々に寝てしまった。
 そんなわけで、今日も朝風呂からスタート。24時間いつでも入浴可能な源泉掛け流しの温泉だそうで、ゆ
っくり温泉に浸かった後、ビジネスホテルとしては異例に豪勢な朝食をいただいてから会場に向かう。
 他のスタッフは、開店準備のために、すでに出発しており、今朝の会場への出勤もまた、 XJ900でのソロツーリングである。ここで残念なことがひとつ。それは、このあたりの地理を充分に把握しておらず、瀬の本高原まで、昨日来た道を逆走するしか(遅刻の心配なく)会場入りするルートを知らなかったことだ。

 内牧温泉から北に向かえば、大観峰〜ミルクロードを経て“やまなみハイウェイ”の途中に出られるのは何となくわかっていた。だが、どれくらい時間がかかるか、途中で迷うようなところはないのか…。そのあたりが心配だし、時間的余裕も充分ではないので57号経由にした。
 で、昨夜の逆コースをたどったはずなのに、ホテルを出て間もない街中で道を間違ったらしく、気がつくと豊肥本線・内牧駅に来てしまい、そこから難なく57号に出られたとはいえ、JRでひと駅ぶん遠まわりをするというおまけつき。この区間ではさらに、朝霧のために進行方向がわからないという想定外の事態にも見舞われ、少々心細い思いもした。
 57に出たあと、豊肥本線と併走しながらしばらく走ると、宮地駅の手前に[別府←11]の標識。これだけかよ。見落としたらどないしてくれんねん…と悪態をつきながら(笑)、

とりあえずそこを左折すると、あとはもう、悩みも迷いもせず、昨日の下見のときよりもハイペースで11号
“やまなみハイウェイ”を快走。8時すぎに、ツーリングステーション会場の三愛レストハウスに着いた。
 今回の敷地は細長く、長手方向のど真ん中に受け付けとタイヤ展示テントを設営したおかげで、タイヤ空気圧チェックと足まわりセッティングアドバイスのスペースは、会場の入り口脇という晴れがましさ(笑)。
 自分のバイクを置く場所に困り、とりあえずテントの裏手に停めておいたら、知らぬ間にスタッフのだれかが動かしたらしく、気がつくと一番目立つ位置で晒し者に…。おまけにボスの田村さんが譜面台を持ってきて、そこにバイカーズステーション11月号 “XJ900の爽快チューン”
のページを開いて載せるという厚遇ぶり。主催者にここまでしていただくと、正直言って少々恥ずかしい。
開会した途端、お客さんが続々入場する“タイヤ&空気圧点検サービス”。ロスマンズカラーはCBR250RR(4気筒)である。
小川選手によるトライアル・デモ走行。ウイリー編。
同じくトライアル・デモ走行。ジャックナイフ編。
 着替えを済ませ、コーヒーを飲みつつ軽く打ち合わせをしていると、オレンジのYMUSカラーの後方排気と白/赤のBanco SantanderカラーのV型、新旧2台のTZR250を皮切りに、続々とお客さんのバイクが集まってくる。私にとって、去年のマキノから数えて5回目のツーリングステーションとなる今回は、これまでで最も国産車比率が高い印象だ。
 2スト250ccの多さ、オフ車比率、1980〜90年代のバイクの多さなども今回の特徴…というか、昨日、ここまでの道中にも感じたから、九州の地域色なのかもしれない。
 自分の持ち場(自車の近所)のとなりのタイヤ&空気圧無料チェックのコーナーは、朝から大賑わいなのに、なぜか今日は“足まわりセッテ
ィングアドバイス”にやってくるお客さんが少ない。 そのくせXJ900のまわりには常に人が集まってきて、細部を覗き込んだり、譜面台に広げ

られたBS誌を読んだりしている。
 う〜ん、これは、マニアックだけどシャイな人が多くて、こちらから積極的に声をかけないとダメなのか
…と思ったとき、声をかけてくれたお客さんがいた。シルバーのXJ750Eに乗る“とんぼ”さんである。彼のバイクを見に行って話をし、いっし
ょに戻ってきて XJ900を前に話の続きをしていると、もう1人から声がかかった。ビューエルXB12SSとMVアグスタ・ブルターレに乗る mamikenさんだ。お二人とも初対面なのに、どちらもBS誌と当ダイアリーを熱心にお読みくださっているらしく、いきなり濃ゆ〜い話で盛り上がる。
 すると今度は「となりで九州2ストミーティングをやっているので見に来てください」との声が…。「おらあ仕事中やけん、なっだけここにおらせやん」と断るわけにもいかず(笑)、同じ三愛レストハウス駐車場の別区画で開かれていたミーティン

グを覗きに行く。以前、顔を出した
TZR250のオフミのような単一機種の集まりとはまた違った楽しさと熱気にあふれたイベントだ。今日はここでのミーティングのあと、最小排気量のロードパルもいっしょに近所を軽くツーリングして、再びこの場所に戻ってくるのだそうだ。
 2ストミーティング参加車両をひととおり観察して持ち場に戻ると、今度は、人だかりの中から私の名前を呼びながら駆け寄ってくる人がいた。安波浩樹さん(注:facebookにリンク)だった。いきなり握手を求められ、話を聞くと、あの“2ストロークレーシングハンドブック”の読者の方らしい。「嬉しくて、涙出てきちゃいますよ」と言う彼は、本当に目に涙を浮かべている。25年ほど前に書いた本のことを、今なおこうして大切に覚えていてくださり、会いに来ていただけるのは、筆者として望外の喜びという他ない。
同じ三愛レストハウスの駐車場内・別区画で行われていた九州2ストミーティング。大小各種の懐かしの2スト車が集結。2ストミーティングで、参加者の自己紹介を司会する代表幹事の有吉さん。彼のマシンはカジバのMITO(125)だった。
 そうこうしているうちに1回目のトークショーの時間になった。今回はトライアル国際A級スーパークラスの小川友幸選手とともに演壇に上がる。このあとすぐに小川選手のデモ走行が控えているので、トークシ
ョーは簡潔に…との指示があり、自己紹介+ひとこと+少々程度で、ぜ
〜んぜんしゃべり足りない(笑)。
 しかしまあ、続きは、個別具体的に、あっちでゆっくりと…ということにして、デモ走行はチラ見しただけで持ち場に戻る。 XJ900の周りには、 さっきのmamikenさん、とんぼさんの他にも数名の参加者の方が集まっている。その中に、一目で“バイク歴が長く、メカに詳しく、仲間うちのリーダー的存在”とわかる、温厚かつ精悍な紳士の姿が見えた。
 残念ながら、その方々のお名前は聞き漏らしてしまったが、リーダーのバイクは、パニアケースを装着した、機外ともに極上といった感じの

GX750最終型。 ドゥカティに乗る娘さんや地元のバイク仲間数名を率いてご参加くださったようだ。
 けっこう鋭い技術的質問に答えているうちに、百聞は一見にしかず…とばかり、恒例と化したストリップショーを披露することに決め、工具なしで外せる外装パーツをすべて外し、この状態にしたところ、さらに多くの人が集まってくる(笑)。
 これはダンロップさんのイベントで、いちゲストにすぎない私がここまでやっていいのか…という思いは常にあるのだが、箱根のときなど、昼メシを終えて戻ってきたら、バラしかたを知ってしまったスタッフのだれかが勝手にストリップにしていたという先例もあるので(笑)、まあそのあたりは、状況に応じて、今後ともうまくやっていきたいと思う。
 隙を狙って、ほとんど流し込むように昼食の弁当を食べたあと、午後のトークショーに登壇。この日は他

の進行も押せ押せだったらしく、午前中よりもさらに短時間で終わってしまい、続いて2回目のデモ走行。そこで再び持ち場に戻り、集まったお客さんの相手をしていると、ようやく、この日初めての、私のバイクとは関係のない、純粋な足まわりセ
ッティングに関する質問を受けた。
 彼の愛車は現行モデルのZX-10Rで履いていたタイヤはピレリのディアブロ・ロッソコルサ。最初にタイヤの溶け具合と前後ショックの動き具合をチェックし、走り方や気になる点を聞いているうちに、まずは木下恵司さん流のセッティングを試してみるのがよさそうに思えた。
 新生ZX-10Rのポテンシャルは高いが、出荷時のセッティングのままこのあたりの山道をツーリングしていたのでは、せっかくの高性能が引き出せていないはず。リアのプリロードを抜き、フロントは…う〜ん、もうちょっと慣らしをするか何とかし
ひとけがないのはトライアルのデモ演技中だから。駐車スペースに入りきれず、駐車場の別区画から歩いて来た人も多かった。
て動きをよくしたあとで、できればバネレートを少々下げたほうがいいかもしれないな…といった感じだ。あ〜、それと、これから冬場にかけては、もう少し低温でもきちんと仕事をしてくれるタイヤがいいでしょうね…といったあたりが、この場でできるアドバイスの限界である。
 このときすでに終了時刻の14時をすぎており、知らぬ間に閉会のアナウンスがあったらしい。駐車スペースに並んでいたバイクの数が減り、休憩用の椅子とテーブルをスタッフが片づけはじめた。 XJ900のところに戻った私は、まわりのみなさんに見守られながら外装パーツを取りつけて走れる状態にし、とんぼさん、mamikenさん、 そしてショートツーリングから戻ってきた2ストミーテ
ィングの方々と別れのあいさつ(2ストミーティングの旗にはサインをさせていただいた)をしたあと、着替えを済ませ、出発準備を整えた。

 実はこのあと、阿蘇を縦走して山都町に向かい、通潤酒造を訪ねたい
…と、漠然と考えていた。好みの淡麗辛口に分類される日本酒の中でも
これほど気に入った酒は他にない。初めて通潤を飲んだとき、それを薦めてくれたお店のマスターが、旨い酒を探して旅をしながら通潤の蔵元を訪ねたときの話をしてくれ、自分も近くに行く機会があればぜひ立ち寄りたいと思っていたのだ。
 グルメブログじゃないので詳しくは書かないが(笑)、今はなき奈良は狭川酒造の笠置山、和歌山の雑賀、新潟の天神囃子あたりがストライクゾーンに入る危ないお酒が好きな方には(笑)、ぜひおすすめしたい。
 が、今夜は熊本県荒尾市で旧友と会うことになっているから、山都経由では間に合わない恐れがある。それに、さっき、お客さんを連れて、はるばる京都から来てくれたDetans
MOTO+
の赤瀬くんに薦められた“

ァームロード”も走ってみたい。
 そんなわけで、通潤酒造はまたの機会に…ということにして、ファームロードを往復25kmほど試走の後、小国〜菊池〜山鹿〜南関…のルートで荒尾を目指す。恒例の国道番号を覚えるやり方では頭に入りきらず、地名にしたというわけだ(笑)。
 しかし、それでもオーバーフロー気味で、どこをどう走ったか、よく覚えていない。ただ、途中で追いついた2台のバイクを追走中、2番手のGSF1200?が 目の前で側溝に突っ込み、それを避けつつライダーの無事を確認し、気づかずに先を行く彼の友人を必死で追いかけて事故を知らせ、いっしょに現場まで引き返して側溝からの引き上げ〜再始動を手伝
ったのが、いったん大分県に入ってすぐだったというのは覚えている。
 加えて、荒尾市内で道に迷い、やっとの思いで荒尾のホテルに着いたのは19時近くになってしまった。


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