6月13日・日曜日。
この日も明け方に雨が降った。
雨は、ときとしてレースをドラマチックに演出してくれるが
やはり、できれば晴天で、乾いた路面のほうがいい。
金曜・土曜の半袖・半ズボンに懲りたボクは
この日は長袖シャツの上にセーターを重ね
その上にカッパ代りのパーカを着込み
下は長ズボンという、一転して暖かい格好をしてサーキットに向かった。
どのクラスも見応えのあるレースだった。
観客の熱狂度では、ドイツは、スペイン、イタリア、オランダと並ぶ。
その中で、観客席に火薬を持ち込むのはスペインとドイツだ。
スペインは爆竹だが、ドイツはもっとスゴい。花火なのだ!
ドイツ人ライダーやトップ争いの集団が観客席にさしかかると
ドカン、ドカン、パリパリ…、と花火が炸裂する。
歓声と鳴り物の音もけたたましく
ライダーとともにコースを周回するから
観客席を背にしてカメラを構えていたって
トップグループの接近がわかる。
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1周約6.8kmのホッケンハイムリンクは
そのほとんどが深い森の中にある
緑豊かな美しいサーキットだ。
森の中を駆け抜けてきたライダーたちは
ここから観客席に取り巻かれた
3つのタイトターンを経て
ホームストレッチに向かう
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250では、日・独・伊の7人が最後までトップを争い、イタリア人が優勝。
次の500では、人気のアメリカ人、ケビン・シュワンツが破れ
オーストラリア人のダリル・ビーティーが初優勝。
ポールポジションからスタートした
日本の伊藤真一は今シーズン最高の3位。
そして、125では、ドイツ人のディルク・ラウディスが独走優勝。
2位から4位までに日本人ライダーが入った。
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最終コーナーに入る
500ccクラス終盤のトップ争い。
先頭はオーストラリア人のビーティー。
2位にシュワンツ、3位に伊藤。
18周(約122km)のレースは
結局この順位でゴールし
ビーティーが初優勝。
伊藤には、初めて表彰台に立った
記念すべきGPとなった。
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レースの後、日本人の取材陣といっしょに
となり街・ヴァルドルフのイタリア料理店に行った。
ホッケンハイムの取材期間中、われわれがよく利用する店だ。
いつものレース後の会食の席と同じく、ここでも
次のレースまでの間、誰がどこで何をするかが話題の中心。
翌々週のオランダGPまでの間、どこにも行くアテのないボクが
シャルル・ド・ゴールから日本に帰るカメラマンのWさんをパリに送り
それ以外のヨーロッパ残留組みは
フランクフルト空港に寄って
ニースに向かうカメラマンのiさんを降ろした後
シャモニーに向かうことで話がまとまった。
食事が終わり、ヴァルドルフから5kmほど一般道を走って
アウトバーンに乗る。
ゴールデンリトリバーの毛並みのような色彩の麦畑が続く
まだ昼間のように明るい農村地帯を走りだして
“ああ、ドイツにいるんだ!”と実感した。
サーキット内で仕事をしている間は
インターナショナルであるがゆえに
なかなかその国らしさを感じることはできないのだ。
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ホッケンハイム〜パリ間は約550km。
マンハイムからドイツの[A6]を
国境の町・ザールブリュッケンまで走り
フランスに入ってからは
メッツ、ランスを経てパリに至る
オートルート[A4]を
ただひたすら西に向かうコース。
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ここからパリへ行くには、ほぼ真西に走り
ハイデルベルクとマンハイムの近くを通過し
ザールブリュッケンからフランスに入る。
なだらかな丘陵地帯を走るアウトバーンの
ところどころで雨が降っていた。
無人の国境を越えてからは、メッツ、ランス、パリと
ヴァルドルフから約550kmのクルージング。
道端の大きなディズニーランドの標識をすぎると
間もなくパリだった。
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