トゥールーズからのオートルート[A61]は空いていた。 
並行して走る一般道[N113]の整備が行き届いているから 
わざわざ有料のオートルートを通るのは 
バカらしいと考えるドライバーが多いのかもしれない。 
 
確かに、フランスの一般道では 
速いヤツは130km/hくらい出しているし 
信号も、あるにはあるが、日本の比じゃない。 
ずっと下を走って行ったとしても 
バルセロナまで390kmだから 
5時間あれば着くに違いない。 
でも、気があせっていたので 
ずっとオートルートで行くことにした。 
 
  
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トゥールーズから[A61] 
(Autoroute des Deux-Mers)を 
約150km走ると 
地中海沿いのNarbonneに出る。 
そこから[A9]に入って 
Perpignanを通過すれば 
間もなくスペイン国境。 
バルセロナまでは 
アウトピスタ[A7]で 
約200kmの道のりだ。 
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1時間ちょっとで地中海岸のナルボンヌ(Narbonne)に出た。 
ここからは海沿いの[A9]で国境まで行く。 
84年のスペインGPからの帰り 
2台のレーシングマシンやパーツを満載したベンツのトラックで 
キャンパーを牽きながらのろのろと走って以来 
通い慣れた道である。 
 
海に突き出た砂嘴の上にできた 
ポール・ルカトゥ(Port-Leucate)や 
ポール・バルカレ(Port-Barcares)の街が 
干潟の向こうに蜃気楼のように浮かんでいる。 
 
アンドラへの入り口・ペルピニャンをすぎると 
道はやや内陸に入り 
蛇行しながらスペインとの国境に達する。 
国境越えは、ここも簡単だった。 
フランス側の係員は小屋から出て 
“早く行け”と手を振っていたし 
スペイン側の係員は 
小屋の中に入ったまま出てこようともしなかった。 
 
イミグレーションを通過してすぐ 
両替屋があったので停車した。 
スペインはカードの国だから 
街中での飲食・宿代などはもちろん 
ガソリンスタンドや高速 
(アウトピスタ)の支払いなども
カードでOKだ。 
 
  
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アウトピスタの料金所にある標識。 
これだけの種類のクレジットカードが 
通行料金の支払いに使える。 
カードと硬貨専用のゲートは無人で 
読み取り機に差し込んだカードは 
1秒ほどで返却され、同時に遮断機が上がる。 
利用者の利便を優先させたシステムとして 
日本道路公団もぜひ見習ってほしい。 
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街角のいたるところにキャッシングマシンがあり 
深夜・早朝でも使えることもあって 
両替は、とりあえず3万円だけにした。 
YEN JAPON : 30000.00は 
PESETAS : 33025.00だった。 
去年は100ペセタ140円くらいだったから 
この下落はスゴい。 
円高とオリンピック景気の消滅の両方が原因だろう。 
 
両替屋は、各社のスペインの地図を売っていた。 
ミシュランの青表紙、バルセロナ・プランもあった。 
それを見た途端、家に忘れてきたことに気がついた。 
ミシュランの青表紙(シティー・プラン)は 
住所だけを頼りに目的地に行けるから 
買わねばならない。 
 
  
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同じ色、同じ体裁の 
“Paris Plan”は有名だが 
これはそのバルセロナ版。 
縮尺は1/12,000。 
つまり、地図上の1cmが 
実際の120mになる。 
索引は完備しており 
ほとんど毎年改訂されている。 
バルセロナ観光には 
欠かせない地図である。 
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ついでにPCを引っ張り出し 
知人が泊まる予定のホテルの電話番号と住所をメモ帳に控えた。 
“Hotel Royal / La Rambla 117” 
索引で“Rambla, La”を引き、地図を見ると 
そこは、ボクが去年のヨーロッパGP 
(カタルーニャサーキットで開催)の帰り 
半日だけだけどうろうろし、とても気に入った街路だった。 
アウトピスタからランブラスまでの道順を頭に叩き込み 
国境を後にした。 
 
スペインの高速道路・アウトピスタは走りやすい。 
都市部以外は基本的にすいているからだが 
道幅は広く、カーブも、一部を除けばゆるやかである。 
“慣らし運転はもういいだろう”と 
勝手に決めたボクは、180km/h巡航に移った。 
 
一応、スペインでは高速道路の最高速度は120km/hと決まっている。 
誰もそんなにゆっくり走っちゃいないが 
180km/hだと、おもしろいように他の車を抜ける。 
登り坂には40〜50km/hのトラックなんかがいるから 
これはちょっとしたゲームの感覚だ。 
 
午後8時、バルセロナに到着。 
信号待ちで地図を確認しつつランブラスに入り 
Hotel Royalの前に車を停めた。 
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