2年ぶりのスキポール空港は
大がかりな改修工事中で
アライバルフロアーまでクルマで乗りつけるのは大変だった。
どこかで間違って空港の外に出てしまったら
アウトバーンに乗るしかなかった。
仕方なく1個先の出口まで行き
そこで下に降りて向きを変え、再びアウトバーンで空港に戻った。
“ヤバい! iさんが着いてしまう…”
大急ぎでアライバルホールに駆けつけ、パタパタを見ると
iさんが乗ってくるはずのフライトが表示されていない。
“うぅぅ…、とっくに着いて
どこかで怒って待ってるのかな?”
しかし、どこにもそれらしい姿は見当たらない。
どうも様子がおかしいのでインフォメーションで聞いてみたら
「その便はキャンセルになりました」とのこと。
“どうしよう…”と、一瞬途方に暮れかけたところ
インフォメーションのお姉さんが
「Mr. ヨシムラですね。AFからメッセージがあります」
…と言うではないか!
びっくりしてお姉さんからメモを受け取ると
「Mr.iはデュッセルドルフに飛び
バスでスキポールに向かう」と書いてある。
突然のフライトキャンセルには閉口するが
この対応はなかなかいい。
お姉さんにバスの到着時刻を聞くと
「午前1時頃でしょう」との返事。
“げ! まだ4時間以上ある…”
われわれは「メシでも食って待ちましょう」ということになって
日曜の夜の予約を兼ねて、近くのHotel ibisに向かった。
予約はすんなり入った。
先週のパリでは、予約したのに部屋がなかったから
しっかりと念を押し、クレジットカードで遅着のデポジットをし
それでも不安なので担当者の名刺をもらった。
ibisチェーンは☆☆クラスの安宿だが
ロケーションが良く、建物や設備が新しいので気に入っている。
たいていは客室数100以下の小さいホテルなのに
スキポールのibisは500部屋以上あるデカいホテルだ。
レストランやバーが何軒も入っているから、メシには困らない。
ただ、どこもヨーロッパの農協さんみたいな団体客でいっぱいで
われわれは空いているカフェバーに入るしかなかった。
ボクは迷わずナントカトーストを頼み、Wさんもそれにした。
飲み物は…、オランダといえば“SPA”の赤ボトルだ。
オランダ中、どこに行っても売ってる
ミネラルウォーターのトップブランドで
青いボトルが炭酸なし、赤いボトルが炭酸入りである。
オランダ料理ってのはどんなものか知らないが
ボクにとって最もオランダ的な料理はトーストなのだ。
“トースト=焼いた食パン”と考えてはいけない。
オランダのトーストは
盛り付けた状態ではパンが見えないことが多い。
皿の上に、焼いた食パンを敷き
その上にハンバーガーやらベーコンやら卵やらがいっぱい乗ってて
まわりには、食べ切れないほどのフレンチフライが添えてある。
味付けは、もちろんケチャップとマヨネーズ。
フレンチフライにマヨネーズをつける美味しさを
知ることができたのは
1984年の半年間のオランダ生活のおかげだ。
日本ではマクドナルドのフライポテト
(なぜかフライドポテトではない)が
オランダで食べたフレンチフライに一番近いので
フライポテトだけ買ってきて
家でマヨネーズをつけて食べるのが好きだ。
お腹がいっぱいになっても、まだまだ時間はあった。
眠たくなったWさんは、駐車場に停めたクルマの中へ寝に行った。
ボクはまだ眠たくなかったので
ibisのロビーで掃除器用の電源を拝借して
ノートPCを開き、旅行記を書くことにした。
ここで書いたのが、東欧駆け足ドライブの頃の旅行記だ。
書き終わって、今度はかなりの余裕を持って空港に戻り
デュッセルドルフからのバスで疲れ切ったiさんを乗せて
交通量の少ないオランダのアウトバーンを激走し
アフスルイトダイク経由でグローニンゲンに戻った。
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来たときと同じ
[A7-E22]を逆方向に走って
グローニンゲンに引き返した。
アムステルダム市街を抜け
締め切り堤防近くまで走ると
午前1時をすぎた[A7]には
ほとんどクルマは走っていなかった。
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午前3時だというのに、旧市街の中心の広場では
何十人もの酔った若者が気勢を上げていた。
その脇では、町の清掃係のおじさんが
大きなスチーム洗車機
(最近、コイン洗車場にあるやつの大型)を積んだクルマで
車道や歩道、民家の階段などを掃除して回っている。
タバコの吸い殻、犬のウンチ、ビールの空き缶など
何でもかんでもいっしょに吹き飛ばして
側溝に流してしまう豪快な掃除のやりかただ。
道に敷きつめた煉瓦がめくれあがるんじゃないかと
心配になるとともに
オランダの下水処理場の処理能力って、きっとスゴいんだな…と
妙なところで感心した。
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