13 ランブラスの一日(昼)


6月17日。朝7時半に目が覚めた。
夜更かしの国・スペインの影響か、いつもより目覚めが悪い。
朝食を取ろうと1階に下りたら、Mさんがいた。
ツアーの最後の日なので
今日の夕食は、知り合った人たちといっしょ行くことになったそうだ。
ちょっぴり残念だけど、ま、いいや。
バルセロナだったら一日じゅうひとりで歩きまわっても楽しめる。


歩道の両縁に沿った
背の高いマロニエの樹の下に
キオスクや花屋をはじめ
ペットの小鳥を売る店
カフェテラスなどが並び
歩道の真ん中では
さまざまな大道芸人が
得意の芸を披露する。


Mさん一行の乗る観光バスの出発を見送って
まずは、ランブラスの花屋の撮影だ。
去年、半日だけだけどこの通りに来て
花屋がいっぱいあるのにびっくりした。
道の真ん中の歩道の両脇に、20軒以上はあるだろうお花屋さんは
どれも絵ごころを痛く刺激する最高の被写体である。

去年はここで大雨に遭った。
真っ昼間なのに、夜みたいに真っ暗だった。
それはそれで雰囲気のある写真が撮れたのだが
晴れた日の写真も撮りたい。
世界のお花屋さんの写真は、仕事じゃないけどライフワークなのだ。


ランブラスのお花屋さんにも
グレードがあるらしく
ここがたぶん、最高級店。
切り花を売るよりも
店先でアレンジした花を
ホテルやイベント会場に配達するのが
この店のメインの仕事のようだ。


道の両側の高層建築や
それらの建物の3〜4階の高さに達する
枝ぶりのいい街路樹のおかげで
午前中はほとんど光が当らない。
でも、ところどころ、建物の切れ目や枝の隙間から洩れた光が
まるでスポットライトのように
グラジオラスの花弁や
花束をアレンジしているお姉さんの
ブロンドの髪の毛を浮かび上がらせている。
太陽の動きにつれて刻々と表情を変えるランブラスでカメラを構えれば
一日いたって飽きはしない。

露出は、1/30sec・f:5.6だったかと思うと
ちょっと動いただけで1/125・f:13くらいまで跳ね上がる。
難しいが、それだけに撮りがいはある。
北北東〜南南西に延びるランブラス通りと
平行に光が差し込む午後2時までねばり
お昼の部を終了した。

昼メシは、ランブラスに面したカフェテラス。
偶然にも女子大の正門前にあったので
眺めていて飽きることはない。(^_^)
まず“Agua Mineral Natural Con Gas”を頼み
次にカタルーニャ風サラダとスペイン風オムレツを注文した。
英語では“Spanish Omlett”だが
メニューには“Tortilla a la Espan~ol”というスペイン語と
“Tritta a la Espanyol”というカタルーニャ語の両方が書かれていた。

カタルーニャ風サラダとは
野菜の上にサラミやハムとゆでタマゴが乗ったもの。
野菜はレタスが中心で
トマトとピーマンがまわりに飾ってあった。
トマトは、昔、実家の近所の畑で盗んで食べた
あのなつかしい味がした。


典型的なカタルーニャ風サラダ。
写真には写っていないが
あの美味しいハモン
(スペイン風生ハム)が
載ってくることもある。
昼食はランブラスよりも
ちょっと足をのばして
港の横にできた歴史博物館脇の
レストラン街がオススメ。
夕食は、さらにもう少し先の
Port Olimpicに、ぜひどうぞ。


トルティーリャは、有名なスペイン料理のひとつ。
茹でたじゃがいもがいっぱい入ったオムレツだ。
ホットケーキみたいにまん丸に焼いてあったのが珍しかった。
どちらもとても美味しかったのだが
食べているうちに気分がおかしくなった。
まるで酔ったような感覚なのだ。
ワインは飲んでいないし
アグアにアルコールが入っているわけはない。

脈拍を計ってみると100回/min近かった。
飲んでもいないのに酔っぱらうなんて
元々体調が良くない証拠だ。
ふらふらとランブラスを北上し
カタルーニャ広場に面したカフェの椅子に座ったボクは
そこで脈拍が正常に戻るまでの1時間あまり
アグア・コン・ガスだけでねばった。


ランブラスを北に歩くと
カタルーニャ広場に出る。
東側をデパート、北側を銀行
西側をホテルに取り囲まれた
この広場の西縁に沿って
カフェテラスが軒を連ねている。
ここに座って
脈拍が正常に戻るのを待った。