XJ900の爽快チューン
2008年5月10日 - 出はじめだけでなく、ガソリンの止まりぎわも重要だ   
     
 フロートレベル(油面)を下げたら振動が低減した。これは確かだ。が、その理由が、最初に私が考えた霧化の改善によるものなのかどうかは、正直なところ、わからない。
 ひょっとすると STDの油面高さでは、本来メイン系が(まったく、または少ししか)働かない状況で、メインノズルからガソリンが漏れており、油面を下げたことでその漏れが止まったのが原因かもしれない。
 漏れたガソリンが振動を発生させるかどうか。これまた私には直接確かめようのない現象だが、うまく空気と混ざればきれいに燃焼するのと逆のことが起きると考えれば、振動の原因になる可能性は高いと思う。
 ではなぜ 3500〜4000rpmあたりで振動が顕著になるのか。その前に、メインボアの空気の流量と、それによってメインノズルにかかる負圧の大きさ、そしてメインノズルからのガソリン供給量の関係を推測しておいたほうが良さそうである。
 キャブレターセッティングの解説記事などには、必ずといって良いほど、各セッティングパーツとスロットル開度の関係を表した図が登場する。あれにケチをつける気は毛頭ないが、実際の走行中には10000rpmの全閉もあればアイドル状態での全閉もあるわけで、同じ全閉でも空気やガソリンの流れ方が異なっていて当然である。つまり、減速時のキャブセッティングをする場合、あの図に頼っていたのではうまくいかない。
 CV(コンスタント・ヴェロシティ
=負圧可変ベンチュリー型)キャブレター装着車で、10000rpmで走行中に急激に全閉にした場合、それまで

わがXJ900の現在のキャブは、XJR1300(2000〜2005年式)用のミクニBSR37。樹脂の異型ピストンを持つ最新型である。
勢いよく流れていたメインボア内の空気が瞬断され、バタフライバルブ裏面〜負圧ピストン底部あたりは瞬間的に高圧となるはずだ。そうなれば、負圧でリフトしていた負圧ピストンは瞬時に最も下まで下がる。
 ここに2つほど余談を挟みたいのだが、長くなるので、いずれ別項を立てるとして、急激な全閉時の瞬間的な高圧がなくなった後、恐ろしい勢いでバタフライバルブの隙間から吸入される空気は、負圧ピストン底部の隙間(バタフライバルブ全閉時の隙間よりははるかに大きいが)をも流れており、そこに、弱いとはいえ負圧が生じ、それによってメインノズルからガソリンが押し出されている可能性はある。そうならないために負圧ピストン底部の隙間を大きめにしている(上の写真は負圧ピストンが下りきった状態。バタフライ

バルブは大きめに開け、ジェットニ
ードルは外して撮影)のだろうが、それでも無流出とは考えにくい。
 そこからさらに、エンジン回転の下降に伴い、徐々に負圧が小さくなり、最後にはメインノズルからのガソリン流出は止まる。この“止まりぎわ”が問題ではないか。風呂のシ
ャワーを横に向け、水を勢いよく出した後、徐々に栓を絞っていくと、最初はシャーっと何本もの線状だった水流が、あるところからドボドボ
っと、何本かがまとわりついた流れ方に変わり、やがて止まる。
 この“ドボドボ”が起きるのが、ちょうど 3500〜4000rpm近辺で、うまく空気と混ざり合わない生ガスが燃焼室内に入り、スムーズな燃焼の進行を妨げているのが振動の原因ではなかろうか。いずれにせよ、もう少しテストと考察を続けてみたい。


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