XJ900の爽快チューン
2008年5月30日 - 特定回転域での振動について   
     
 目標は振動を低減する(感じにくくする)ことだ。方法は2つ。振動しないようにするか、振動が乗り手の体に伝わらないようにするか、どちらかだ。前者を制振、後者を防振と、ここでは呼ぶことにする。
 防振よりも制振のほうが難しい。防振は、考えつく対策をあれこれや
ってみて効果があったものを採用すれば良いだけだ。簡単ではないにしても、やっているうちに良策が見つかるはず。対する制振は、原因を追求し、特定し、排除しなければならず、とても面倒である。メンドクサいことが嫌いな私には向かない。
 だから今のところ、制振も防振と同じく、思いついたことを手当たり次第にやってみているだけだ。そして、その過程でいくつか効果のある方法が見つかり、少しずつ振動は減
ってきた。まだまだ満足できるものではないが、並列4気筒エンジンを積んだ非SSモデルとして一般的なレベルには到達したと思っている。
 特定回転域での振動対策には、問題の振動が、その回転域でだけ発生しているのか、もっと広い回転域で発生していて特定回転域でだけ何かが共振しているのか、これら2つを区別して考える必要がありそうだ。
 私は最初、特定の回転域でだけ出る振動といえばキャブレターセッテ
ィングのアンバランスや燃焼圧力とクランク角度のミスマッチくらいしか思いつかず、それ以外はすべて共振によるものだと思っていた。

 ところが、某メーカーのエンジニアの方に尋ね(振動解析に詳しそうだと白羽の矢を立て、迷惑をかえりみずにメールで問い合わせ)てみたところ、自分では考えもしなかった意見をいただいた。そして、偶然とは恐ろしいもので、ほぼ同時にその意見を裏づけるような体験をした。
 いただいた返事には、走行抵抗と発生トルクのカーブの交差がはっきりしていない場合に、同じトルクで走っていても勝手にエンジン回転が上下してしまい、それが振動となる可能性があるように書かれていた。
 そして、上記の場合、出力のセッティングが変わったり走行抵抗が変わったりすると振動の出方が変化することがある。エンジン回転数だけでなくスロットル開度も同様で、坂道では出なくなることもある…と続き、さらに、熱間と冷間で中間開度の性能がズレるのはよくあり、出力特性をずらすか、抵抗を変えるか、問題のポイントの下の出力を落とすか、逆に上を出してやると上手くいくが、FIじゃなくてキャブなので難しいですね…と結ばれていた。
 自分がした体験というのは、2ストローク26ccエンジンの草刈り機の振動である。草を刈っていない(通常あるはずの抵抗がない)状態で、徐々にスロットルを開けながら、低回転から高回転へとゆっくり加速していったときに、ある回転数で急激に振動が出、そこでスロットル開度を固定するとさらに強く振動し、最

後にはエンジンと先端の刃物を結ぶロッドが折れるのではないかと思うほど激しく共振しはじめたのだ。
 久しぶりに機械のせいで怖い目に会い、いただいたメールの内容を思い出しつつ、加速させるとか減速させるといった、力の大きさに大差があるときは、その差が安定性向上に寄与するが、差が微妙なときに安定させるのは難しいのではないか…と考えた。話は飛ぶが、私のCDプレイヤーの能書きには、本来垂直なターンテーブルのスピンドルを1度傾けることで安定した動作を得た…みたいなことが書かれている。軸を傾けて重量バランスを崩すことにより、常に一定方向に側圧をかけて安定性を高めようとしたのだろう。
 良好だが完全とはいえないバランスは、ときとして不完全なバランスよりも安定性が低いということはありそうだ。…だとすれば、振動が強く出ている4000rpmというのは、 実は最もエンジンが回りやすいポイントではあるのだが、下からぐい〜っと加速してきたときや、上からず〜んっと減速してきたときに、すっと抵抗が減り、フェイントをかけられてふらついたような状態なのではあるまいか。書きながら笑ってしまうほど観念的だが、このあたりが私の理解能力と作文能力の限界である。もっと限界を高めたいものだ。
 続いて共振についても書くかもしれない。そちらはさらに理解度が低いのでご期待めされぬよう。


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