XJ900の爽快チューン
2008年9月11日 - メッツラー・レーザーテック試用記(その1)   
     
左がリア用の120/90-18、右がフロント用の100/90-18。ピレリと同じく左右ビード間に形崩れ防止の段ボールが入っていた。
黙って交換されていたら気がつかない程度。これは予想外だった。タイヤの銘柄を変えて、こんなふうに感じたのは初めてのことである。
 街中では乗り心地も良好。50km/h程度での2〜3cmの段差越えは、レーザーテックのほうがよくショックを吸収する。しかし、速度が高く、段差が大きくなるとスポーツデーモンよりも衝撃吸収性は低いようだ。速度が高まるにつれ、車体各部が忙しく動いているのがはっきりとわかるようになる。路面からのショックを吸収しきれず、前後サスを必要以上に動かしているのだろう。
 荒れた高速コーナーでは車体の動きが大きく、ブワブワした不安定感を感じる。まるでフレーム剛性が低くなったような感じ。鯖街道の橋の上では、さぞ怖いだろう。スポーツデーモンだと、Mr.グリップマンの有無にかかわらず、こんなに強く車体の揺れを感じたことはなかった。
 コーナー進入のきっかけは、レーザーテックのほうが小さな入力で済む。スポーツデーモンみたいな粘りはないが、同一半径の円弧をキープしようとする性質を感じる。立ち上がりでスロットルを開けたとき、スポーツデーモンよりも起き上がりにくい(旋回半径が自然な感じで増加していかない)ような気がする。
 興味深いのは、どんなコーナーでも、レーザーテックのほうが明らかに舵角が小さいこと。スポーツデーモンが舵角で曲がるタイヤだとすれば、レーザーテックはリーンアングルで曲がるタイヤといった感触だ。
 言うまでもなくスポーツデーモンのほうが好みに合っているが、レーザーテックに合わせたセッティングにも取り組む価値はありそうだ。
 7月20日のダイアリーにも、 本誌2008年10月号にも書いたように、車検直前のタイヤ交換は、けっこうヒヤヒヤものだった。ナップスのおかげで何とかスポーツデーモンを入手できたとはいえ、他のタイヤを試しておくのも悪くないと考え、代替筆頭候補であるメッツラーのレーザーテックをテストすることにした。
 このタイヤに XJ900に適合するサイズがあるのはずっと前からわかっており、ちょっと古めの大排気量スポーツ車用タイヤとしてダンロップK300GPと並ぶ人気商品(ピレリ・スポーツデーモンよりもはるかによく売れている)なのも知っていた。
 にもかかわらず、これまでずっとレーザーテックを使おうとしなかった理由は単純だ。見た目が好みじゃないから。リアはともかくフロントのパターンに色気がなさすぎる。すらりと伸びた足元も、ゴワゴワの毛糸のタイツじゃ興醒めである。

 が、まあ、今回は、パターンには目をつむって、とりあえず試してみることにした。車検直前に新品に交換したスポーツデーモンの走行距離は3399km。K300GPだとそろそろ寿命末期だが、スポーツデーモンならまだまだこれからといったところ。比較にはちょうど良い時期である。
 スペアホイールにレーザーテックを装着し、ブレーキディスクは当たりのついた使用中のものを移植。足まわりのセッティングは変えず、空気圧も同じ前2.3、後ろ2.5kg/cm^2に合わせてテスト走行を開始した。
 クラッチをつないだ瞬間に、後ろが下がっているような気がした。まだ測っていないが、タイヤの高さが違うのかもしれない。無意識に、いつもより1〜2cm前寄りに座っていることに、しばらくして気がついた。
 街中をゆっくり走っている限り、レーザーテックのフィーリングはスポーツデーモンに非常に似ている。


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