横弾性係数は、一般的なばね材料の8000、 線径は実測値の4.5、有効巻き数は実測巻き数から両端の座巻き(1×2)を引いた35.7、中心径は巻き外径から線径を引いた24.5として計算すると、0.78kg/mmとなる。 続いてXJ900のSTDスプリングである。こちらは2段レートなので少々複雑だ。ここで間違ってはいけないのは、ピッチがどうであれ、コイルばねを圧縮したときのたわみは均等だという点だ。つまり、細かいピッチのところが1巻き当たり1mm縮めば、粗いピッチのところも1巻き当たり1mm縮むということである。 そして、細かいピッチの部分の隙間がなくなり、線が密着した後は、残った部分(粗いピッチの部分)のみの単一レートとなる。 で、まずは全体を計算してみた。先の式に、横弾性係数の8000、線径の4.5、有効巻き数の57、 中心径の24.5を代入すると0.49kg/mm。 これがいわゆる1段目である。 続いて、何mm縮んだところでピッチの細かい部分が密着するかを求めた。これにはまず、ピッチの細かい部分の長さ(205mm)と、 そこに線が何本含まれるか(30)を調べ、線 |
| 径×本数(4.5×30)から 密着時の寸法を135mmと算出。 これがわかれば、伸び切った状態での隙間の合計は205-135=70mmとわかる。隙間の数は本数より1少ない29だから、70÷ 29の答え2.4mmが、 伸び切った状態での隙間の大きさというわけだ。 2段ばねでも最初は全体が均等にたわむから、 57の隙間が2.4mmずつ縮むためには、 全体で136mm縮めばよいことになり、そこから先は、残りを単一レートとみなし 1.08kg/mmと算出した。XJ900のSTDスプリングは、 伸びきりから136mm縮むまでは0.49kg/mm、そこから先は1.08kg/mmの2段レート…ということになる。これに61mmのプリロードがかかっているから、装着時のばねレート遷移点は、フォークの伸びきりから75mm沈下したところ…と判明する。 一方、乗車1Gの沈下量は、実測で45mmだから、 0.49kg/mmのスプリングを 45+61=106mm縮める荷重は、0.49×106=51.9kg。 これを0.78のスプリングで釣り合わせるために必要なたわみ量は66.5mm。フォークが45mm沈下したときに66.5mmのたわみを得るためは、プリロードを21.5mmかければ良いと考えた。 |