XJ900の爽快チューン
2009年3月24日 - フロントフォークセッティング(その6)エミュレーターを取りつけて試走
     
 エミュレーターを落とし込むための加工をしたフォークシリンダーとそれに合わせて形状を修正したエミ
ュレーターの装着は、初体験ではあ
ったが、思ったより簡単だった。
 初期セッティングは、23日のところにも書いたように、フォークスプリングはXJ900のSTD、オイルはアッシュの40番、エミュレーターのリリ
ーフバルブスプリングは最もレートの低いもので、プリロードは0、油面はSTDより10mm高い158mmとした。
 さっそく試走した第一印象は“ほとんど変わらず”だった。これだけの異物を入れて、入れる前の状態と比べた結果が“ほとんど変わらず”
というのは、それを狙った初期セッティングとしては大成功である。
 ただ、重箱の隅を突いて快感を得る爽快チューン的には“ほとんど変わらず”と“まったく同じ”の違いは大きいと言わねばならず、その違いを分析すれば、以後のセットアップの方向が見えてくるはずだ。
 エミュレーター装着後の初試乗で感じたのは、以前40番のフォークオイルを入れたときのような動きすぎ感がなく、最近ずっと使っていた58番に極めて近い感触だということ。58番のままでエミュレーターを装着していたら、ひょっとすると減衰過剰だと感じていたかもしれない。
 その他、普通に走っているときの作動性が非常に良好なことも確認した。これは、元々良好な作動性がさらに良くなったわけではなく、遜色のないレベルだということである。
 問題の、強めのブレーキング時の沈下速度の速さは、たいして変わらず、依然としてオーバーシュート感がある。ただ、荷重が釣り合って沈下し終わったあたりでの“張り”が少々出てきたかな…という感じ。

フルボトムさせて油面を調整後、磁石を使ってエミュレーター+ワッシャをセットした後、スプリングを入れてフォークを伸ばす前。
 たったひとつ、しかも無視しようと思えばできる程度だが、気になる点がある。微小な荷重変化に対する反応の鈍さだ。従来なら5速2000rpm
(45km/h程度)で定常走行中(スロ
ットル開度はグリップのツバの外周で3〜4mm)にスロットルを戻したときに、駆動系の遊びが逆に偏るのと同時に、フロントフォークが10数mmすっと縮み、戻したのと同じだけスロットルを開け、再び定常走行に移
ったときには、同じく10数mm、すっと伸びていたのに、その“すっ”が
“ふわ〜っ”に変わってしまった。
 45km/hで流しているときのスロットル操作に対するピッチングモーシ
ョンの“速さ”など、最終的な沈下量が同じなら、どうだっていい、あるいは、そもそもそんな走り方をしない人も多かろう。確かに私も、戻してまたすぐ開けるだけなら、どうだっていいことだと割り切れる。
 ところが、わずかなスロットルの戻しをきっかけに旋回に入ったり、

旋回中にスロットルを開閉した場合に、そこでフォークがどれくらい敏感に反応するかは、私にとっては非常に重要なことなのである。
 この速度/荷重領域でのフロントフォークの作動の遅れは、ステアリング系の舵角の追従遅れとして両手に伝わってくる。リーンアングルと舵角の関係がリニアでなくなったような違和感を感じたのは、フォークが鈍感になったからだと思われる。
 で、初期セッティングの初走行で判明した要改善点は、微小かつ緩やかな荷重変化に対する応答性の向上と、強めのブレーキング時のフォーク沈下速度の抑制の2点である。
 前者は、リリーフバルブのスプリングをいじっても解決しそうにないので、リリーフポート(バルブのプレートを貫通する穴=元からある)の流量を増やす方向で、後者は、バルブスプリングのレートまたはプリロードを上げる方向でセッティングし、次の試走に臨みたい。


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