XJ900の爽快チューン
2009年4月23日 - フロントフォークの念入りな組み立てとスタビライザーの問題(その1)
     
 フロントフォークに限らず、複数のパーツから1個の構造物を組み立てるとき、どこが基準面なのか、どこの寸法を基準にするのか…といったことを考えなければならない。
 私は、フロントフォークの組み立てにおいて、左右のフォークの間隔はアンダーブラケットを基準に、左右のアウターチューブの高さは“アクスルに垂直”を基準にしている。
 これらはいずれも、最低でもインナーチューブ/アウターチューブ/アクスル/アンダーブラケットに曲がりやねじれがないことが条件になるが、この条件を満たしているからといって安心はできない。組み立て方ひとつでいかようにでも変形し、問題を抱えつつも何とか動いてしまうのがフロントフォークなのだ。
 フォークスタビライザーの取りつけは、左右のフォークの平行と左右のアウターチューブの高さ、これらのいずれか、または両方を狂わせてしまう可能性の高い作業である。
 だからこそ慎重に取りつけ、できるだけ緩めないように心がけていたのだが、前日の“衝撃音”の原因を追求するとき、あの音が片側から出ているのか両側から出ているのかを確かめるために、スタビライザーを外してしまったのである。
 いったん取り外すと、元どおりの位置に取りつけるのが非常に困難なのは、スタビライザーつきの(またはフロントフェンダーがスタビライザーの役割を兼ねた)フロントフォ
ークを注意深く組み立てたことのある人ならおわかりと思う。
 後づけのスタビライザーは、左右のアウターチューブが前後左右にズ

レるのを防ぎ、上下のズレにはあまり強く効かないタイプが多い。ところがXJ900のそれは “か細いフロントアクスルなど信用できぬ!”とでも言いたげな、剛性感あふれるアルミの固まり(鋳造)だ。それを、左右のアウターチューブ上端部から2個ずつ横に突き出たヒサシ状のステ
ーに載せて、下から通した4本のM6ボルトでガチッと固定している。
 強固なのはありがたいが、強固ゆえ、取りつけ位置を間違うと、寸法を間違ったまま強固に固定してしまい、同じ間違いでも、それによる悪影響は、ヤワなスタビライザーよりも大きいというべきである。
 で、取り外してしまったものはしかたない。もう一度最初からやり直しである。21日のところに“丸2日経ったのに、まだ完成していない”
と書いたのは、たかがスタビライザ
ーの取りつけに、2日間合わせて数時間を費やしてしまったからだ。
 XJ900のような、 前後左右にも上下にも強固にアウターチューブを固定するタイプのスタビライザーは、まず、左右のアウターチューブの高さが揃っていることを確認(必要があれば調整)した後、前後左右にズレないように固定する…という順序で取りつけるのが効率的である。
 高さは、例えば、インナーチューブ上端〜アウターチューブのダストシール上端間の距離を左右で等しくする…といった方法ではダメだ。アクスルに対して、左右のアウターチ
ューブがどちらも垂直であるのが重要で、これと比べれば、左右のインナーチューブ上端高さが揃っていることなど、大した意味は持たない。

 では、どうやってアクスルとアウターチューブを垂直にするか。これは、アクスルに曲がりがなく、アウターチューブのアクスル穴に傾きがないという前提ではあるが、まず、アクスルを左右のアウターチューブに貫通させる。片側または両側のアウターチューブ下端部に、アクスルを締めつけるホルダーや“すり割り構造”がある場合は、それぞれ、いったんアクスルが動かなくなるまで締めつけた後、わずかに緩め、アクスルが軽く軸方向に動くことができる最小限の隙間を持たせておく。
 この状態でスタビライザーを取りつけ、アクスルをスコスコと軸方向に動かしてみる。ここで動きが悪くなったり、いったん抜き取ったアクスルを差し込むときに2本目のアウターチューブに“スッ”と通らず、引っかかったりすれば、スタビライザーのせいで左右のアウターチューブの高さが狂ったと判断する。
 あとは、アクスルが“スッ”と通り、スコスコと軽く左右に動くようになるまで、高いほうのアウターチ
ューブとスタビライザーの間に入れたシムの厚さを調整する。この点検/調整時は、左右反転してアクスルを通せる場合は反転させてのチェックもしたほうが、より確実だし、アクスルを少しずつ回しながらチェックすべきなのは言うまでもない。
 上記文中のシムを入れる位置については、 XJ900を想定して書いているので、スタビライザーの取りつけ方法が異なる場合は、個々の取りつけ方法に合わせたアレンジが必要である。前後左右の位置調整については次回に詳しく書かせていただく。


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