XJ900の爽快チューン
2009年6月12日 - フロントフォークのオイルレベル(油面高さ)に関する考察(その3)   
     
ホイールを取りつけずに測定したため、伸び切り時のリバウンドスプリングのたわみが小さく、全ストロークは130mmと小さめ。
ルスプリング、ワッシャ、キャップなどの体積を引けば、その2の式のV0(圧縮前体積)がわかるわけだ。
 コイルスプリングの体積は、測定した重量530gを、高炭素鋼の比重を参考にした密度(7.82g/cm^3)で割り、68cm^3と算出した。念のため、線材の直径、巻き径、巻き数から体積を概算したところ73cm^3となったから、68cm^3という数字は大外れではなさそうなので、これでいく。
 キャップのインナーチューブ内部への突き出し長は19mmだったので、体積は13.4cm^3、 ワッシャが2枚で2.1cm^3。 これらの各数値を元にして、V0=162.5と算出した。
 V0がわかればこっちのもの。あとは(その2)の写真の式に、 0から130mmまで、 任意のストローク値を代入して、そのときどきのエアばね反力を求めていくだけだ。
 圧縮前圧力のところは、ゲージ圧が0だから絶対圧は1(kgf/cm^2)となり、インナーチューブ断面積(直径の2乗×円周率÷4のところ)は常に10.75cm^2を用いればOKだ。
 で、まずは伸び切り状態。ここではSTが0だから、大括弧内の分母がV0−0となり、1×1/1−1だから0。0にインナーチューブ断面積を掛けても0だから、Fst=0となる。
 続いて、 1cmストロークした場合は0.75kgf、2cmだと1.61、以下同様に、3cm:2.69、4cm:3.87…と増え10cm:21.0、11cm:28.7、12cmでは41.4、全屈の13cmだと 66.0kgfもの反力を生じていることがわかる。
 常用最大の ST=120mm近辺でのコイルスプリングの反力が115kgf程度なのに対し、 エアばね反力は41kgfもあり、 合計反力の1/4以上をエアばねが発生していると判明する。
 油面高さ(通常の調整値)と、伸び切り状態でフォーク内に閉じ込められた空気の体積を元に、そこから何mmストロークしたときに 何kgfのエアばね反力が得られるかを求める考え方(その1)と計算式(その2)がわかったところで、 XJ900の各部を測定し、計算の元データを得た。
 その2に書いたように、圧縮前体積さえちゃんとわかれば、あとは簡単である。で、まずは、通常の方法(コイルスプリングなし、全屈)で油面高さを150mmに合わせ、 そのまま伸び切り状態までアウターチューブを下げ、そのときのストローク量(伸びた長さ)と、インナーチューブ上端〜油面間の距離を測定した。
 上の写真はそのときのメモで、全屈スキマが全屈時のアンダーブラケ
ット下端〜ダストシール上端間の距離、全伸スキマが伸び切り時の同じ区間の距離、stはそれらの差、そして OIL LEVELは調整した油面高さ、

全伸油面は伸び切り状態でのインナ
ーチューブ上端〜油面間の距離だ。
 ここで気をつけなければならないのは、油面が150mm、 ストロークが130mmだからといって、 全伸油面がその合計の 280mmにはならないということである。実測するしかない。
 続いて、インナーチューブ頂部のキャップを締めつけたとき、インナ
ーチューブの中にキャップの胴部が何mm入るかを測定。それと合わせ、コイルスプリングの上に載るワッシ
ャの寸法も測っておく。
 そして最後に、コイルスプリングの重量を計測。これは、密度を元に計算して体積を求めるためである。
 で、これらのデータから圧縮前体積を求めるには、まず、インナーチ
ューブの内径が3cmだから、その半分の2乗×円周率で断面積を出し、それに全伸油面の34.8cmを掛けて油面上にある空気の体積を 246cm^3と算出。この数値から、中に入るコイ
伸び切り状態の油面位置は、50cmの差し金を用い、5cm単位で深くしていき、油面に達したところで痕跡を読み取った。インナーチューブ頂部のキャップと、その下のワッシャ。これらの体積も、伸び切り時の空気体積の算出結果に影響する。コイルスプリングの重量測定には台所用の秤を使用。測定結果は530gで、これを高炭素鋼の密度で割り、体積を算出。


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