XJ900の爽快チューン
2009年7月18日 - お任せ・お好みツーリング お任せモードでノーマルなツーリングに参加し、楽しさを満喫。
     
 いつの間にやら月例化した“変態オヤジツーリング”またはそのバリエーションの“爽快ツーリング”は今月はお休み。その代わりに(ちっとも代わりになっちゃいないが)25日にサーキット走行会“ラ・パラ”
に参加しようと考えていた。
 その1週間前、つまり今日は、次号バイカーズステーション誌の“爽快チューン”ともうひとつの原稿執筆期間の真っ只中であり、1日くらい体が空く可能性はあっても、いつものツーリングのように目的地を選び、集合場所を決め、ルートとスケジュールを考える余裕はなかった。
 ところが、そんな私の状況を察して(あるいは見限って)密かにツーリングを計画していた人がいた。われわれ変態オヤジたちの間で人間ロ
ードマップ(または走るカーナビ)と呼ばれ、今までのツーリングではしんがりの重鎮として頼りにしていた“となかい”さんと、その奥さんの“とべない豚”さんである。
 1週間前あたりから、まるでこちらの仕事が忙しくなるのに合わせたように案内や参加確認のメールが届くようになった。行くとしても一参加者としてであり、ダメならドタキ
ャンもあり…と気軽に考えた私は、とりあえず参加の返事はしていた。
 このあたりのしんどさ/楽さは、ホストとゲストで全然違う。ホストの場合は、仮に事前の準備や当日の案内を全部投げ出せたとしても、ドタキャンは許されず、最低限、集合場所には遅れずに到着しなければならない。ところがゲストの場合は、ドタキャンもドタ参も自由である。

 前日の昼すぎに、何とか“爽快チ
ューン”の原稿が完成し、夕方には校正も終わった。そして、もうひとつの企画のほうは日曜の夜に打ち合わせ…と、うまく時間が空いた。そこでまず、校正が届くのを待っている間に、昨日のダイアリーに書いたフォークオイルの交換をし、ぶっつけ本番でツーリングに臨んだ。
 案内によると、名阪国道・大内IC脇の駐車場に朝9時集合だ。ウチから30分の大内に集まれば、あとは行き先もルートも知らないまま、となかいさん先導の隊列にぶら下がったまま“お任せ”ツーリングの心地よさを味わわせてもらえそうだ。
 集合場所までの30分で、フロントフォークのテストをした。家から出て数kmは、低速直進時の車体の“安定感が増した”というよりも“無駄な動きがなくなった”といった印象だ。ざわざわした感じがなくなり、ノイズのないクリアな音のオーディオ装置にも通じる高級感がある。
 ところが、京都/三重の府県境あたりからは印象が一転し、速度の上昇とともに、次々と嫌な症状が出てきた。高速走行中に鋭い突起を乗り越えたときの“突き上げ感”と、高速旋回中に路面のうねりを通過したときの“振りほどき感”だ。
 突き上げ感は、文字どおり、前輪が突起に当たった次の瞬間に、車体全体が“ダンッ”と短距離だが急激に持ち上げられる現象で、油断しているとヘルメットが上下に揺れる。
 対する振りほどき感のほうは、フロントフォークが路面のうねりに追従できず、フォークの伸縮以外の方

法(例えばフォークの曲がりやフレ
ームのねじれなど)で衝撃力を吸収し、それがまるで矢を射るときの弓のように急激に元に戻ろうとするときの動きなのではないだろうか。
 どちらも、中高速作動域でのダンピング過剰が原因なのは明らかだ。
…と気がついても、今日はこのままいくしかない。ダンパー調整機構つきのフォークがうらやましい。
 プチ落胆モードで大内に着くと、そこに集まっていたのは、となかい
&とべない豚夫妻が集めたメンバーとはいえ、大半が以前の変態オヤジツーリングに参加された方ばかり。
 そうじゃない2人のうち1人は、 6月27日の“岐阜の山あいに川のリズムを楽しむツーリング”の集合場所まで見送りに来てくれた 赤ドカ1年生さんだし、 もう1人は某バイクシ
ョップで何度も顔を合わせた“たけさん”だから、和気あいあい。プチ落胆モードはすっかり解消した。
 驚いたことに、総勢わずか12人の中に、 今日が誕生日の人が2人もいた。どこかでお誕生会をするのか、当の2人には内緒で、 とべない豚さんがクラッカーを配っている。それを受け取った途端、走っている途中で鳴らしたくなった私は、ハンドルポストとメーターパネルの間にクラ
ッカーを差し込み、走りながら鳴らすチャンスをうかがうことにした。
 大内ICからは名阪国道(自動車専用道路)に乗って小倉ICへ。そこから広域農道を南下する。私にとっては朝練やツーリングで走り慣れた道なのに、今日のペースで最後尾を走
っていると、景色の見え方が違う。
好評だったミックス玉には、海老が2匹も載っていて驚いた。海老アレルギーの私には、何ともグロテスクな食べ物に見える。
 この前の岐阜ツーリングでは“バイクをゆっくり走らせること”を楽しんでいたのだとすると、今日は、“ゆっくり流れる景色”を楽しんでいる…とった感じ。似て非なる感覚だ。今日のほうがバイクの存在感が薄く“道具”に近づいている。
 先頭を走るときの景色は、後ろに何台続いていても、ひとりで走っているときと変わらない。ところが最後尾は、ひとりのときと違うのはもちろん、そのときのメンバーによっても異なり、バリエーションが楽しめるし、その気になれば、お気に入りのコーナーだけ、手前で前車との間隔を開けておき、思う存分攻めることもできる。が、今日はフロントフォークが不調なのを思い出し、大人しく前車に追従していた。
 広域農道に続いて舗装林道的な道を少しだけ走り、国道へ。このあたりからしばらくの間、私には、どこをどう走ったかの記憶がない。気がつけば曽爾高原というところを走っており、小さな道の駅といった感じの施設で休憩することになった。
 施設内の売店で、米でできたパンを買ったり地元の野菜売り場を覗いたりしていると、誰が始めたのか、ここでも交換試乗が始まった。これには驚くと同時に嬉しくもあった。変態オヤジでなくても、いろんなバイクに乗せてもらい、いろんな人に乗ってもらうのは、ウザい話は抜きにして、楽しく、有益である。
 私はここで 2台のドゥカティ・モンスターに乗せてもらった。赤ドカ
1年生さんのM400と、 普段はビューエルに乗るたけさんが車検の代車に借りてきたM800だ。モンスターに乗るのはほぼ1年ぶり。B/S誌やR/C誌のライターをしているMクンの愛車に、去年の夏の東征のときに少しだけ試乗させてもらって以来だ。
 不思議なことに今日の2台は、Mクンのを含む私が知る他のモンスタ
ーとは操安性が異なるように感じられた。原因はすぐにわかった。ライディングポジション、とくにハンドルの影響だ。2台とも、両手の位置が少々高く、少しだけ狭く、わずかに遠く感じるところにあったのだ。
 これまでに乗ったモンスターはこの逆であり、いつも少々違和感を感じていたのに、この2台にはそれを感じず、私にとってはむしろこれが標準のハンドル位置なのではないかと思えるほど自然に感じられた。これにより、たぶん、ハンドルに余分な入力をせず、マシンなりの自然なコーナリングができたからだろう。モンスターの中でもハイパワーな機種は、それよりも確実に抑えが効いたほうが良いのかもしれないが…。
 初体験のM400は、2倍の排気量を持つM800と比べると確かに非力だ。しかし、このあたりの山道ではM800でさえ、下りのタイトコーナー立ち上がりでスロットルを開け始める一瞬など、かなり気を使うのに、M400だとその必要はなく、気分良く開けて引っ張っていける。変速操作を小まめにしてエンジンを回してやる…というライディングの基本を教えてくれる、 初心者の赤ドカ1年生さんにふさわしいマシンだと感じた。
 曽爾高原から先は、再びどこをどう通ったかわからないまま、気がつ

先頭からトモキ・オータ、コンプライアンス、むらかみ、とべない豚、となかい、箱付き、赤ドカ1年生の、最後まで残った7人。
くと見慣れた道を走っていた。国道165号である。そして5月23日のツーリングと同じく、三重県との県境に近い御杖村の道の駅に立ち寄った。
 もらっていたクラッカーは、実はその手前のトンネルの中で、今日が誕生日の人の前に割り込んで鳴らしてみたものの、失敗に終わった。両手離しをせずに鳴らすには、片手で鳴らす練習が必要だとわかった。
 道の駅で休憩していると、何と、ここにもまた、あのyajiさんが現われた。昨夜は京都で飲み会があり、深夜に岐阜まで帰宅したらしい。いったいこの人のこのパワーはどこから出てくるのだろう。おっそろしくタフな、そしていつも、嬉しそうな満面の笑顔でみんなを和ませてくれる、素敵なo-yajiさんである。
 昼食はお好み焼き。三重県に入ってすぐのところにある“雁さん”という名のお店だった。こういうところを見つけ、予定に組み入れてしまうあたりが走るカーナビさんならでは。道の駅から電話でメニューを聞き、人数が多いから、何品かを到着前に焼いてもらうことにした奥さんも、段取り良さでは負けていない。
 いや〜、ここのお好みは美味かった! 雑誌の記事によると“多めの山芋にケーキに使う小麦粉を合わせた生地には隠岐の島のあごだしを加えてある”のだそうだ。ふっくらした食感と、口の中にほんのりと漂う甘さを焦がしたような香り…。ボリ
ュームもたっぷりで、大食いの私にも、お昼には1枚で充分だった。
 確か1時前にお店に入ったはずなのに、ふと気がつけば3時を回っている。御一行12名様にちょうどいい

広さの座敷が貸し切りで、宴会に足りないのはお酒とカラオケのマイクだけといった状態だから、無理もない。誰かが“そろそろ…”と言い出さなければ明日の朝まででも続きそうな、気のおけない仲間ならではのこよなく楽しい昼の宴だった。
 ここでたけさん、川口さんと別れた本隊は次の休憩地となった針テラス(名阪国道・針IC)を目指す。どこをどう通っても知っている道ばかりのはずなのに、なぜか経路の記憶がない。“ついて行きます!”状態のツーリングが、これほどまでに注意力の配分を変えるとは驚きだ。
 針テラスでさらに1時間の延長おしゃべりの後、がんちょさんとyajiさんが一足先に出発。 残り8人は、ここからさらに三重/滋賀両県にまたがる丘陵地帯を駆け抜けて、国道307号から422号へ。本来ならここで離脱するはずの私は、最後に高速走行テストをしたくなり、 422号に入るところで隊列の前に出、いつものテスト区間 6.5kmを高速テストモードで走り切った。結果は“突き上げ感”と“振りほどき感”の連続。早急な対策が必要だと再確認した。
 そしてテスト区間の北の端で隊列の到着を待ち、それぞれの帰宅ルートを確認しあい、散会した。私はここで、北に向かう7人を見送り/見送られ、南に向かう帰路についた。
 気心知れたメンバーだということを差し引いても、変態オヤジツーリングの首謀者であり先導役だった私には、目から鱗の楽で楽しい一日だ
った。お世話いただいたとなかい&とべない豚さんをはじめ、参加のみなさん、ありがとうございました。


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