XJ900の爽快チューン
2009年8月14日 - ラ・パラに参加し、マシンとライダーの実力を探る   
     
1周中最も得意の左コーナーへのアプローチ。フロントをしっかり沈ませることができるコーナー前半では、思いどおりに走れた。
の走行が可能なので、午前中にセッティングを詰め、午後に仕上がりの確認を兼ねて走り込むことにした。
 で、まずは、9時台と10時台の2セ
ッションを終えた後、右側のフロントブレーキディスクを交換した。ストレートから1コーナーへ、180km/h近辺からのフルブレーキで、心配していたディスクの歪みによるチャタリングが出たからだ。予想していたこととはいえ、このテストはさすがに公道ではできず、気になる症状が出れば交換しよう(出なければ交換したくない)と思って、ディスクと工具を積んできたのである。
 結果は大正解で、不快な振動を伴わないスムーズなブレーキングが可能になり、フロントタイヤからの情報がノイズに埋もれることなく伝わ
ってくるおかげで、さらに強力で正確なブレーキングが可能になった。
 続いて11時台の走行を終えた昼休みに、 上から2.5段目だったジェットニードルのクリップ位置を 3段目に変更した。30℃以上での街乗りに合わせた2.5段では、2速で回るコーナーでエンジン回転が 5000rpmを割
ったときなどに、全開にするまでの加速が鈍いと感じたからだ。
 同時に、リアショックスプリングのプリロードを、アジャストダイアルを2回転締め込み、3mm増やした。
 いや〜まさかこの歳になって、27年ぶりにサーキットを走るとは思わなかった。私の場合ラッキーだったのは、メカニックと取材者、合わせて20年間サーキットで仕事をしていたから、妙に場馴れしていて、何の緊張感も感じなかったことだろう。
 着替えが面倒なのと荷物を減らしたかったのの両方で、家からツナギ姿で走っていったから、初回のコースインでさえ、まるでツーリング中に休憩の後、再び走りだすのと変わらないリラックスした状態だった。

 もちろん、ひとたびコースを走りだせば、集中力はできる限り高めなければならない。ところが、それもまた、心身ともリラックスしていたおかげで、とてもうまくいった。
 ラ・パラのクラス分けは、スポーツHi/スポーツLo/エンジョイの3種で、私が走るのはスポーツLo。目安ラップタイムは1分15〜30秒、1分15秒より速い走行は禁止で、最高速は180km/h以下と決まっている。
 時間割によると、午前中に20分×
3回、 午後に15分×1回+20分×3回
鈴鹿ツインサーキットのコース図。全長1.3kmの時計回り。全長の割りに直線が長く、200km/h超のマシンもあるはず。
得意の左コーナーに向かってブレーキング中。クリップにつくまでブレーキをかけっぱなしのまま、絶大な安定感が得られた。
 そして、13時20分からの午後最初の走行の直前までタイヤが冷めるのを待って空気圧を測定。少々減っていたので、普段の自分の基準値である前230/後ろ250kPaに合わせた。
 午後は、ポンダーと呼ばれるラップタイム計測器を借りて装着し、いよいよ走り込み開始である。ジェットニードルクリップ位置の変更は正
解で、コーナーからの立ち上がりだけでなく、ストレートを加速中も、シフトアップ直後に回転が落ちたときの加速が良くなっているようで、なぜか8000rpm以上9500rpm近くまでの吹け上がりも俊敏になっていた。
 自分で9万km以上走り、 前オーナ
ーの走行距離を合わせると軽く10万kmを超えるマシンを、レッドゾーンの9500rpmまできっちり回し、 今のマシンに混じって走らせるのは、自虐めいた楽しみといえようか。
 周回を重ねるにつれ、コーナーによる得手/不得手がはっきりしてきた。6月6日の和歌山利宏のライテクコーチングの後に体験走行したときには感じなかったことだ。
 最も得意なのは裏の短い直線の終わりにあるタイトな左コーナー入り口である。その手前の、シケイン状の小さいS字も気持ちよく走れる。

逆に、不得意で全然うまく走れないのが、最初のヘアピンに続く、このコースでは最も半径の大きな左コーナーだ。苦手ではないのに、入り口がうまく決まらず、その後もうまく曲がれない。距離の長いコーナーだから、ラップタイム向上には、ここの走りの改善が効果的に違いない。もっと加速して車体を寝かせればいいと思ってスロットルを開けても、なぜかここでは加速もかったるい。
 入り口が決まらないのは、おそらく、このコーナーにはブレーキをかけずに入っていくからだ。フルブレ
ーキから倒し込む他のコーナーとは違い、入り口でフロントフォークが沈まず、前上がりの姿勢のまま倒し込んでいるのが原因に違いない。
 午後の4セッション、合計35周のベストラップは1分17秒484だった。このタイムについては何とも言えな

い。今のマシンを今の私が気負わず安全に走らせた結果であり、今後の基準ができたということだ。
 途中で3周、仕事の合間の和歌山さんに乗っていただいた。旋回中に前が高すぎるということを指摘された。いつもていねいにブレーキをリリースできるとは限らず、それができない状況ではフロントが動きすぎる(作動速度が高すぎるのではなく作動量が多すぎる)のを何とかすべきだろうとのこと。最も簡単な解決策は、沈み込みが浅い範囲でのバネレートを高くし、荷重変化に対するたわみ量の変化を小さくするとともに、プリロードを減らす方向だ。
 確かに、それをすれば、苦手の左高速コーナーの旋回力不足も解決するに違いない。次にラ・パラに参加するときは、フォークスプリングを替えて走ってみようと思う。
上の写真のコーナーの立ち上がり。この先にある2個目のヘアピンで1速に入れなくてよいラインどりも研究課題である。
 もうひとつの問題は、同じ左高速コーナーにおける加速力の不足だ。ストレートでは 8000rpmを超えてもぐんぐん加速していくのに、ここでは本来最も伸びの良い 7000rpmから開けているのにダルな加速しか得られない。乗り方をも含めて、この原因の究明/対策もしてみたい。
 とにかく、マシンにもライダーにも新たな課題が見つかり、有意義な走行だったし、少なくともブレーキングについては、このコースでまったく破綻することなく、これまでや
ってきたフロントフォークの縮み側セッティングとブレーキ整備の効果を確認できたのは嬉しい限り。
 いや、それより、一日中楽しく、気持ちよく走れたのが、この日の最大の収穫だったのは間違いない。


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