2月24日発売予定の 次号RACERSのテーマは初期型NSR500(NV0A=1984モデル)である。もてぎのホンダコレクションホールに展示されているこのマシンを、同ホール展示車両のメンテナンスをしている会社の整備室に搬入し、分解〜組み立てをしてもらいながら撮影し、全貌を明らかにしようというのが取材の目的だ。 撮影現場は、もてぎから遠くない栃木県の某所だった。隠しているわけではなく、編集長運転のクルマで現場に往復する道中、ずっと寝ていたので、よくわからないのだ(笑)。 よくわからないと言えば、撮影を終えた今や過去形とはいえ、このマシンのこともよくわかっていなかった。過去に記事を書いたときはカウルつきしか観察できず、中身については写真を見たり話を聞いたりしてわかったことしか書けなかった。 このマシンが世界GPを走った1984年に、各地のサーキットで見るチャンスはあった。だが、実際に見たのは1回だけ。それも、人ごみの中でウォームアップしている光景をチラ見しただけだった。走っているシー |
| ンなど一度も見たことがない。 そんなわけで、今回が初めて、自分の目でNV0Aの中身を観察するチャンスだったにもかかわらず、燃料タンクや排気チャンバーを外し、エンジンを降ろし、シリンダーから上や左クランクケースカバーを外してもらい、各部をじっくり観察できるという幸運に恵まれた。ご協力いただいた担当各社の方々にお礼を申し上げたい。ありがとうございます。 撮影は、初日に外装つきと外装なしの4面および斜め全景写真、そして、外した燃料タンク/排気チャンバー/キャブレター/エンジンコンプリートまで。2日目の午前中にシリンダーから上と左クランクケースカバーを外し、個々のパーツと、それらを外した状態のエンジン、午後には組み立てシーンと完成像を前にしての記念写真…という順に滞りなく進み、クランクケース内部以外で見たかったところはすべて観察し、カメラマンに撮影してもらった。 初期型NSR500というと、燃料タンクをエンジン下に置き、排気チャンバーを通常の燃料タンクの位置に取 |
| り回した特異なレイアウトと、それに合わせた変わった形のフレームに目を奪われがちである。しかし、このマシンは、ホンダ初の2スト4気筒エンジン搭載車であり、2002年まで続くNSR500のルーツとして、エンジンの基本構成も押さえておきたか ったので、エンジンとそのパーツの撮影にはかなり時間を割いた。 見ただけで4つの気筒の燃焼順序がわかるカット、逆回転クランク・4軸構成エンジンの軸配置が想像できるカット、排気デバイスATACの構造と作動が理解できるカットなど、次号RACERSにご期待いただきたい。 私にとって、取材とは別に大きな収穫だったのは、整備室内を自由に見ることができたおかげで、耐熱アルミ粘着テープ/シール用フォームラバー粘着シート/ガスケット&ジ ョインティングコンパウンド、そしてホットガン(暖房器具)などのメ ーカーと商品名がわかったことだ。こちらのほうは、同じ物を入手するようなことがあれば、ダイアリーまたはバイカーズステーションの連載ページで紹介していきたい。 |