久しぶりのキャブセッティングである。7月9〜10日に決まった“キャブ+点火時期”のセットは、まさに“決まり”であり、以後4カ月もの間、まったく変更の必要がなかっただけでなく“Fantastic!”な気分を乗るたびに味わわせてくれた。 そうした、過去に例のない出来栄えの良いセットに手を加えるのだから、慎重にならざるをえない。今年の夏セッティングが“薄めのキャブ +早めの点火時期”の組み合わせという、従来とは異なる方向だったから、以前の冬用データはアテにならず、現状のバランスを保ったままで平均気温の低下と平均気圧の上昇に合わせなければならないからだ。 気温と気圧に湿度を加えて“湿り空気の密度”を求める式があり、流体工業さんのサイトでは、面倒な計算の手間を省いてくれるエクセルのファイルが公開されていて、気象条件の違いによる空気密度の変化は簡単に数値を求めることができる。 だが、空気密度が2倍になったか |
| らといって、ジェットの流量を2倍にすればいいかというと、そうは問屋が卸さない(笑)。難しいところでは、温度によりガソリンの気化特性にも差がある。それに、仮に2倍の流量のジェットでOKだとしても、手持ちのセッティングパーツの中にそのジェットがなければ絵に描いた餅で、どうにもならん(笑)。 それと、ここでもうひとつ考えておかなければならないのは、今回のセッティングを“いつ”の気象条件に合わせるのか…ということだ。今だけなのか、来年の夏までずっと保たせるのか、それによって、選ぶジ ェット類のサイズも今後のセッティングの進め方も異なってくる。 そんなことをあれこれ考えつつ、今回は、一昨年の冬セッティングではなく現状(今年の夏のセッティング)をベースに、とりあえずニードルジェット(メインノズル)とパイロットジェットのみ拡大した。 日曜は雨のため試乗できず、月曜に20kmほど走った結果、始動性の改 |
| 善と、そのとき試せた全域でのトルクアップを体感。夏セッティングの“伸び感”に対し、こちらは“押し出し感”が勝っている感じだ。これはこれで、空気密度が高い時期ならではの楽しみとして、悪くない。 唯一の不満は、トップギアでゆっくり走りながら、目で見てもわからないくらいスロットルを開け増ししたとき、 1900rpm近辺の回転域で、一瞬、1800rpm以下および2000rpm以上では感じられない“もたつき”を感じることだ。そのときだけ、どこかから、石けん水に極細のストローで勢いよく息を吹き込んだときのような振動が伝わってくる。これが軽微なアフターバーンによるものだとすれば、 1/16近辺の開度で1900rpmのときだけ、他よりも混合気が薄いか点火時期が遅い可能性がある。 が、まあ、冬用のスタートとしては概ね良好で、これから1月あたりまでかかって、今年の夏セッティングに負けない高い満足度の冬セッテ ィングを煮詰めていきたい。 |