XJ900の爽快チューン
2011年12月3日 - オーリンズのリアショック(36PRCLB)のシールヘッドを分解/点検   
     
ソリッドブッシュ、オイルシール、ダストシールを内蔵するシールヘッド。10万km近く走ったソリッドブッシュはまだまだ使えそうだ。シールヘッド底部にはダストシールが圧入されている。汚れてはいるが、掃除だけして無交換でもよかったかもしれない。ダストシールの奥に溝が加工されており、その中にバックアップリング(白)とXリングと呼ばれるオイルシール(黒)が嵌まっている。
Xリングの取り出しに使用した自作ピックアップツール。フェンスの金網を留める太い針金の先端を叩き/削り/曲げただけ。4点のパーツを取り外す順番はどうでもいいが、Xリングとバックアップリングは、熱を加える前に取り外しておきたかった。オイルシールというよりは、異形断面のOリングと言ったほうが正確か。4面に凹みがあり、断面がX字状なのでXリングと呼ぶ。Xリングに接しているバックアップリング。Xリングのラジアル方向への変形しやすさをコントロールしているのではないかと推測。
 シールヘッドというのは、一般的な正立型フロントフォークに例えると、アウターチューブ上端付近の外径の太い部分だけをモジュール化したような物だ。この、アルミ削り出しのシールヘッドは、内側に下(外側)から順に、ダストシール、バックアップリング、オイルシール、ソ
リッドブッシュが入っている。
 10月30日に最初の1本をバラして構造を確かめ“このパーツ構成ならこれとこれと…”てな具合に今回の交換部品を決めて注文した。が、中には“普通のオーバーホールでは、そこまで替えませんよ”と言われたパーツもあった。シールヘッド関係

では、必ず交換するのはオイルシール(Xリング)のみで、あとは程度と予算に応じて決めているそうだ。
 なるほど、そう言われてみれば、ソリッドブッシュはまだまだ使えそうだし、ダストシールやバックアップリングも、掃除するだけで問題なく継続使用できたかもしれない。
薄くて工具を引っかける箇所のないダストシールの取り外しには加熱が一番…と、近くにあった雑草焼き用バーナーを使用。
火がついて焼けただれるのを防ぐべく、バーナーで加熱する前に、ダストシールのゴムの大部分をカッターで切り捨てた。
シールヘッド本体を加熱していくと、最初にダストシールが回るようになり、そこから少々加熱を続けると簡単に取り外せた。
 しかし、入手してしまった物を使わないテはない。おまけに3本中2本は、中古品を装着後88408/97110km走っており、追加の1本も中古で装着後8702km走ったから“普通のオーバーホール”では替えなくても、ここまでの、そして今後予想される走行距離が半端じゃない“私の初めて
のオーバーホール”では替えておいたほうが安心というものだ。
 今回、自分でオーバーホールすると決めてから、オーリンズの経験豊富な4人のスペシャリストに話を聞いたところ、1人は「シールヘッドをアッセンブリーで替えれば簡単ですよ」と言っていたし、もう1人は

「Xリングだけ替えるか、シールヘ
ッドごと替えるか、どっちにしても難しくありません」と言っていた。
 だが、手元にあるのは中古のシールヘッド・アッセンブリーと、バラで入手した4つの新品インナーパーツである。新品を組み込む前に、まず、古いインナーパーツを外さなけ
内径14、外径16のブッシュを、φ14.3の穴越しに叩くために作った専用工具。φ15の頭に対辺13程度の2面を加工。
24mmのボックスソケットを作業台にしてハンマーで叩き出す。実作業中はシールヘッド上面をゴムシートでカバーしていた。
Xリングとバックアップリングを除去した溝のおかげで、φ15の頭の一部を削った専用工具を挿入することができた。
ればならない。その方法や大変さについては、パーツを融通してくれた某氏をも含め、話を聞いた4人の誰ひとり教えてくれなかった(笑)。
 まあ、教えてもらったところで、専用工具はもちろん、プレスはおろかバイスさえない環境だから、そのとおりにできるとは思えず、それな

ら、手持ちの道具で可能な方法を考えたほうがいい。というわけで編み出したのがこの方法である。決して真似をしないでいただきたい(笑)。
 3個のシールヘッドすべてのインナーパーツを外し終えたところで今日の作業は終了。すぐに組み立てにかからなかったのは、シールヘッド

本体に手を加えたい箇所があったのと、組み立ては、他のスモールパーツの“サンコニ”の選択が終わった後、一気にしたいからである。
 手を加えるといっても、たいそうなことではなく、面取りと面の修正だけだから、ダンパーピストンと合わせて、ささっと済ませたい。
ソリッドブッシュを抜き出したあとのシールヘッド内壁。圧入物を抜いた後のアルミの穴内壁としては、ごく普通の見た目である。
内蔵パーツをすべて取り去ったシールヘッドと、取り出した4点のスモールパーツ、そしてそれらの補修用新品を並べてみた。
古い2本のブッシュには“GERMANY”の刻印があったが、新しい1本と補修用の新品にはなく、紋章も異なっていた。


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