2011年12月7〜9日 - 子細に観察してわかった“たわみ方”をもとに、シムに手を加える |
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リアショックを自分でバラしたのは初めてだから、当然、シムを子細に観察するのも初体験だ。ルーペを使って隅々まで観察したところ、興味深い発見がいろいろあった。 まず目についたのは、中穴周囲の爪跡(旋盤加工時に円筒形ワークの外周面をつかむ生爪)みたいな模様だ。2000番のサンドペーパーで容易に落ちて痕跡が残らないから、傷や錆ではなく、汚れのようである。 では、なぜこの箇所に、こんな形で汚れが溜まるのか、最初はわからなかった。ところが、続いて外周を観察すると、中心から見て中穴周囲 |
| の爪跡と同じ方向に、エッジの角が丸まった部分を発見した。角の丸まりは、重なったシムと、そこだけ強く擦れてできたものに違いない。 これらのことから、油圧を受けたとき、シムは、皿状ではなく、雨傘状に波うった形にたわんでいるのではないかと想像できる。ダンパーピストンの穴が3個なら、骨が3本の雨傘状に変形しているのだろう。 で、雨傘状にたわむ→平らに戻る →雨傘状にたわむ…を繰り返しているうちに、シムとシムの間にあるオイルの動きが隅の部分で滞り、そこで“にちゃにちゃ”やっているうち |
| にオイル中の浮遊成分がシムの表面に留まったのではないだろうか。 外径の異なるシムが重なったところでは、大径側の外周に近いところ(小径側のエッジのよりも外側)に汚れの輪ができている。最外周部ではなく、少し内側に入ったところに顕著なことから、これもまた、シムの段差の隅に、オイル中の浮遊成分が溜まったものと解釈できる。 ただ、爪跡模様もエッジの丸まりも、そうなっていたというだけで、これらが原因で何らかの不具合が生じるとは思えない。むしろ、3つの爪跡や3箇所のエッジの丸まりが均 |
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等なのは、シムが曲がったり反ったりせず、開いたときには3箇所が同じようにたわみ、きれいな雨傘状になっている証拠だと考えられる。 これらの観察結果をもとに、バラバラのシムをどういうふうに組み立てるかを考えた末、自分なりに決めた“今回のオーバーホールにおけるシム関連の作業基準”は… (1) 両面の汚れを落とす。 (2) 中穴の縁に面取りをし、外周のエッジを丸める。 (3) 両面を、曇りを取る程度のポリッシュ仕上げとする。 (4) すべてのシムを、バラす前の |
| 裏返しにして組みつける。 (5) もとの周方向の位置がわかる物は、60度回転させて組みつける。 (6) バルブ組み立てナットの締めつけによって、積層したシムにねじれが加わらないように気をつける。 …といったあたりである。 上記(1)〜(6)の“基準”設定の理由をひとつずつ説明するのは大変だし、そもそも理由などなく、ただの気分でやってることも(ここに限らず)多々あるので(笑)、理由は、読まれた方のご想像にお任せしたい。 今回のバラし組みの目的がセッテ ィングではなくオーバーホールで、 |
| しかも、新品同様に復元するよりは使い込んで適度にヤレた状態にしたい…というのが大前提である。 セッティングには、以前と比べてどうする…という考えはまったくなく、今後するかもしれない(必要になるかもしれない)セッティングのスタートラインを引くのが今回のオ ーバーホールだと位置づけている。 バルブ完成後の組み立て作業については、ネット上でGeneral Manual for Öhlins shock absorbersなる物を見つけたので、まずはこれを参考にし、わからない点だけ諸先生方のアドバイスを仰ごうと思う。 |
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