シムの手入れが終わればいよいよ組み立て…と、初体験の作業がそんなに澱みなく進むわけがない(笑)。 最低でも組み立ての練習はしておきたいし、それと合わせてダンパーの構造をしっかり頭に叩き込んでおきたい。それができれば、あとでセ ッティングをするときに、ひとりで悩むにせよ、諸先生がたの指導を請うにせよ、理論と実践を結ぶ懸け橋になってくれそうな気がする。 そんなわけで、表面処理に出したパーツが戻ってくるまでの間に“サンコニ”で余ったパーツを使い、組み立てながら細部を観察した。 最初に気づいたのは、圧側シムのすぐ下に大きなプレートがあり、少し開くと当たりそうなのに、互いに接触した痕跡がないことだ。つまり圧側シムは、下のプレートに当たる |
| ほど大きく開かない、または、開いてはいけないもののようである。 これに対して伸び側シムは、もっと大きなリフトが可能であり、シム自体も薄く、しかし枚数は多く、プログレッシブな特性になっている。 ダンパーピストンに設けられたオイル通路も、圧側と伸び側では形状が異なり、圧側(扇形)は断面積が大きく、伸び側(丸穴)は小さい。 これらのことから、圧側は最後までシムが仕事をし、伸び側は作動速度が設定以上になると丸穴(オリフ ィス)の仕事になり、シムはそれ以上開かないのではないだろうか。 だからどうなんだ? うん、まあそれだけのことよ(笑)。 もうひとつ、バラしてみて良かったのは、いわゆる“伸び側”ダンピング調整について、その仕組みがは |
| っきりわかった点だ。これはただのニードルを用いたバイパス調整にすぎない。ダンピング調整ダイアルを締め込むと、ロッドの中のニードルが上がり、ピストン下部の横穴を通るオイルの量が減る。ダイアルを緩めると量が増える。これによりピストンの上側〜下側間のオイルのバイパス流量が増減すれば、バルブ(シム)に回るオイルの量が減ったり増えたりし、結果的にダンパーの効き具合が変化するというわけだ。 昔から知っていたことでも、知っているのと、実物を見てわかったのでは、理解の深さが違う。最後の聖域だったリアショックのダンパーを分解したことで、ようやく、このマシンのすべての箇所を部品単位で把握し、手を加え、とうとう完全に自分の物になったような気がする。 |