XJ900の爽快チューン
2011年12月11日 - 余ったパーツでバルブを仮組み。あ〜だ、こ〜だ…と考えちう   
     
ド・カルボン式単筒ダンパー(ショックアブソーバー)のキモであるピストンとシムによる減衰力発生バルブ。伸び側シムを上、圧側シムを下に配し、伸び/圧のオイル通路を独立させている。
ピストンの上側に積み重なった伸び側シム。直径の異なる0.2mm厚のシムを組み合わせ、プログレッシブ効果を得る。
ピストンの下側にある圧側シムは、0.3mm厚で枚数も少ない。すぐ下に大きなプレートがあるが、リフトが小さく、接触痕なし。
 シムの手入れが終わればいよいよ組み立て…と、初体験の作業がそんなに澱みなく進むわけがない(笑)。
 最低でも組み立ての練習はしておきたいし、それと合わせてダンパーの構造をしっかり頭に叩き込んでおきたい。それができれば、あとでセ
ッティングをするときに、ひとりで悩むにせよ、諸先生がたの指導を請うにせよ、理論と実践を結ぶ懸け橋になってくれそうな気がする。
 そんなわけで、表面処理に出したパーツが戻ってくるまでの間に“サンコニ”で余ったパーツを使い、組み立てながら細部を観察した。
 最初に気づいたのは、圧側シムのすぐ下に大きなプレートがあり、少し開くと当たりそうなのに、互いに接触した痕跡がないことだ。つまり圧側シムは、下のプレートに当たる

ほど大きく開かない、または、開いてはいけないもののようである。
 これに対して伸び側シムは、もっと大きなリフトが可能であり、シム自体も薄く、しかし枚数は多く、プログレッシブな特性になっている。
 ダンパーピストンに設けられたオイル通路も、圧側と伸び側では形状が異なり、圧側(扇形)は断面積が大きく、伸び側(丸穴)は小さい。
 これらのことから、圧側は最後までシムが仕事をし、伸び側は作動速度が設定以上になると丸穴(オリフ
ィス)の仕事になり、シムはそれ以上開かないのではないだろうか。
 だからどうなんだ? うん、まあそれだけのことよ(笑)。
 もうひとつ、バラしてみて良かったのは、いわゆる“伸び側”ダンピング調整について、その仕組みがは

っきりわかった点だ。これはただのニードルを用いたバイパス調整にすぎない。ダンピング調整ダイアルを締め込むと、ロッドの中のニードルが上がり、ピストン下部の横穴を通るオイルの量が減る。ダイアルを緩めると量が増える。これによりピストンの上側〜下側間のオイルのバイパス流量が増減すれば、バルブ(シム)に回るオイルの量が減ったり増えたりし、結果的にダンパーの効き具合が変化するというわけだ。
 昔から知っていたことでも、知っているのと、実物を見てわかったのでは、理解の深さが違う。最後の聖域だったリアショックのダンパーを分解したことで、ようやく、このマシンのすべての箇所を部品単位で把握し、手を加え、とうとう完全に自分の物になったような気がする。
ロッドが上向きに動くと、ピストン上側のオイルが圧縮され、伸び側シムとピストンの隙間からピストン内部の扇形の穴に流れ込み、その穴の底部を塞いでいる圧側シムを開く。伸び側シムの下には大きな圧側オイル通路が口を開けており、伸び側シムの変形を防ぐために突起が設けられている。圧側のオイルの出口に当たる、扇形の穴。ここを塞いだシムを曲げ、隙間を流れるオイルの抵抗がダンピングフォースとなる。
ロッドが下向きに動くと、ピストン下側のオイルが圧縮され、圧側シムとピストンの隙間からピストン内部の丸穴に流れ込み、その穴を塞いでいる伸び側シムを開く。圧側シムの上には伸び側オイル通路が口を開けており、ここから流れ込んだオイルが奥の丸穴に入り、上に向かう。伸び側オイルの出口に当たる3つの丸穴。ここを塞いだシムを曲げ、隙間を流れるオイルの抵抗がダンピングフォースとなる。


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