XJ900の爽快チューン
2012年3月20日 - 山道を味わいつくした400km。前後ショックは極上の仕上がり
     
 毎月第二土曜の夜、近県のバイク仲間が集まる“夜会”の終身幹事長こと、テクニカルスペース・パドックの“もっちゃん”の休みに合わせて、火曜祝日の春分の日に決まったツーリング。いつぞやの夜会で「暖かい南のほうがええなあ…」てなことを言ったのが通って、和歌山県橋本市をスタートし、紀伊半島南西部の山をぐるっと回り、奈良県五條市に戻ってくるルートに決まった。山あいの3桁国道をつないだ、リアシ
ョックの評価に好適なコースだ。
 今回は、もっちゃんのおかげで、メンドクサいことは何も考えなくていい“ついていくだけ”ツーリングで、 しかも、kei-1さんが途中から集合場所まで先導してくれたから、まったくのお気楽参加者となった。

 もう少したくさん集まるかな…と思っていたのに、橋本に集まったのは6台。来るはずの薬師丸さんを見捨てて出発しようとしていたら、道を隔てた向こう側に停まっていた3台のバイクが動き出し、われわれよりも一足先に別方向に向かって行くのが見えた。な〜んか、薬師丸さん一行に似てるなあ…と思いつつ、も
っちゃんの先導で行軍を開始した。
 橋本からは 国道370号を西へ、海南を目指す。もっちゃんの先導ペースは、私がツーリングの先導役のときよりもかなり速く、ひとりで気ままに山道を楽しんでいるときの走りに近いから、リアショック(+フロント)の評価に最適である。
 評価項目を、乗り心地/安定性/運動性の3つに無理やり分けると、

乗り心地が優/安定性が良/運動性が可といったところ。とにかく乗り心地は素晴らしく、前のバイクの揺れ具合を見て“ドドンと来るぞ!”と身構えても“あれ?”で終わってしまうことが多々あった。
 海南市のどこかで、交差点を直進しようとすると、薬師丸さん一行が横で信号待ちをしていた。まるで待ち合わせをしていたようなタイミングの良さ。海南市内のコンビニ駐車場で合流し、ここで総勢10台に。
 続いて、 国道424号に曲がる交差点のところで、がまドカさん他、和歌山勢3台が合流。 あとは延々424号を走り、道の駅“水の郷日高川龍游”で小休止。この区間は、タイトで荒れた山道あり、改良の済んだ高速コーナーありのバラエティーに富
朝はかなり冷え込み、始動直後は水蒸気もくもく。走りだした直後にアイシングに悩まされ、停車して解凍後に再スタート。
okaken将軍(右)の命令により、コンビニのコピー機の上に売り物の地図を広げて合流地点を確認する世話役もっちゃん。
なっしょさんのR1100Sに貼られた梵字。この文字とハンドル名から、お仕事は推測可。走りっぷりは想像を超えていた(笑)。
んだコース。もっちゃんのペースはさらに上がり、13台の隊列は縦に伸びるが、うまい具合に片側通行の信号待ちで差が詰まる。それを何度か繰り返していると、龍游までの道のりは、あっという間だった。
 龍游に20分ほど停車の後に出発。ここから道の駅“奥熊野古道ほんぐう”までは、あとで地図を見ても、どこを通ったかわからない(笑)。この区間で二番手につけた私は、直前を走るもっちゃんと、そのまわりの路面しか見ずに走っていた。
 彼の走りと比較すると、自分の走りやマシンの状態がよくわかる。も
っちゃんとの間隔がぐっと詰まるのは右コーナーの立ち上がり。逆に、するっと離されるのが左コーナーの入り口。これは変だ。もともと自分

は左コーナーの進入が得意で、右は全般的に苦手だったはずだ。
 で、この区間はずっと、いろんなコーナリングを試し、なぜ変なのかを考えながら走った。ライテクは措いといてサスセッティングの話をすると、このときのセッティングは旋回性が悪く、入り口で向きが変わらない〜小回りが効かない〜二次旋回感がなくなった〜旋回半径を途中から小さくする方向のコントロール性が悪化…と、不満が並ぶ。
 逆に安定感は増しており、ブレーキを強めに残したままコーナーに入れるのはいいが、それができるせいで突っ込みすぎになり、初期旋回の足りなさに輪をかけ、とくに左コーナーで悪循環に陥っていたようだ。
 これらの不満の原因は、リアの沈

みこみの足りなさだと思う。ヘタっていないスプリングに以前と同じだけプリロードをかけ、ショックの全長も以前と同じ、それに加え、ガス圧を正規に調整したことで反力が増加しているはずだから、以前よりも相当“ケツ上がり”の状態で走っていたに違いない。安心して思い切り開けられる右コーナー立ち上がりで不満がないのは、それをしてようやく、充分なリアの沈み込みが得られるからではないだろうか。
 道の駅“奥熊野古道ほんぐう”で昼食の後は、 国道168号を一気に五條まで北上する。昼食前の区間よりもタイトなコーナーが多く、このセ
ッティングでは充分に楽しめないとわかったあとは、二番手から中団に下がり、 テレレバーBMW軍団に混じ
海南市内のコンビニで運よく合流できた薬師丸さん一行(RZ-R×2+バンディット1250)が加わり、ここで総勢10台に。
大塔で最後の休憩。中央がもっちゃんのスポスタ、手前ががまドカさんのポールスマート。BMWは6台中5台がテレレバー。
424号に入るところで、ポール・スマート、K1200S、YZF-R1の和歌山勢と合流。道端でみかんを買うのは薬師丸さん。
って走行。こういった、山あいの荒れた3桁国道でのテレレバーはめっぽう速い。そのうちの1台を追走していると、十津川あたりでガス欠の症状。トリップメーターを見ると、まだ297kmしか走っていない。 満タンから17〜18リットル消費したあたりでリザーブになるから、このときの燃費は17km/L前後。前半の“開け開け”のせいか、異様に悪い。
 リザーブに切り替えてから20kmち
ょっと走ったところで、道の駅“吉野路大塔”に入る。地元の人たちに聞くと「五條までスタンドはないやろなあ…。そやけど、下り坂ばっかりやから大丈夫ちゃうか…」と、け
っこう無責任に突き放され(笑)、集団走行中にガス欠になって置いてけぼりを食うのは嫌なので、一人だけ

先に出発し、長い下り坂ではニュートラルに入れてエンジンを止めるなど、徹底した省燃費走行で五條を目指した。これはこれで、エンジンにじゃまされない前後ショックの動きがよくわかり、参考になった。
 最初に見つけたスタンドは五條のJA。 ENEOSじゃないが、背に腹は変えられん(笑)。満タンにして、道端で後続を待っていると、BMW R100CSのokakenさんが1人、先に到着。タイヤがヤバいので、ゆっくり走らなあかんから、先に出てきました…とのこと。どんなタイヤだったのか、彼のブログの写真を見て驚いた。
 しばらく待って、後続が到着。ここまで来たら、もう、帰ってきたも同然である。最後尾まで揃わないのに出発し、京奈和道五條ICまで走っ

て分散。それぞれの家路についた。
 このツーリングにより、オーバーホール直後のリアショックと、それを待つ間に施したフロントフォークの新しいセッティングの評価は、充分にできた。大ざっぱには、先に書いた“乗り心地が優/安定性が良/運動性が可”であり、中でも乗り心地の改善には驚いた。 総行程400kmの長丁場で、一度も不快な挙動がなかったのである。矩形波のような入力に対しても、根元と天辺の角に丸みがついているのがわかる。
 あとは“良”の安定性を損なわないように気をつけながら“可”の運動性を高めるのが課題。これは、プリロード/ショック全長/調整ダイアルによるダンピング調整の3つで何とかなりそうな気がする。


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