XJ900の爽快チューン
2012年9月8〜9日 - 夜会の翌日、XJ750E&XV750Eで今どきのタイヤの操安を味わう
     
 毎月第1または第2土曜の夜9時から、京都・滋賀・大阪・奈良・和歌山あたりから集まりやすい場所で開いているバイク乗りオヤジ(例外あり)の定例夜会。終身幹事長の“
っちゃん”と相談して、今回の会場は大阪市平野区の“ブリリアント
に決めた。午前3時まで営業。夜会にふさわしいメニュー。わかりやすい場所。これらが決め手だった。
 今回は、17日(月曜祝日)のツーリングの相談がメインテーマとのことだが、結局うだうだ話をするだけで、ツーリングに関しては(いつものように) ぎりぎりになってBBSで相談して決まるのは火を見るよりも明らかである(笑)。だから、17日のツーリングについては、調べない、考えない、提案しないの3ないのままで夜会に臨むことにした。
 心配なのは、17日のツーリングよりも今日の天気。大気の状態が不安定らしく、日中はずっと雲が多く、ウチのあたりでも、今にも降りそうな空模様が続いていた。しかし、いつものように、何度も雨雲レーダー画像を眺めているうちに、ヤバいのは生駒山地の北縁あたりだけで、そこを避ければ濡れずに平野区まで行けそうな気がしたので、 国道163号

や阪奈道路ではなく、25号で奈良県から大阪府に入ろうと決めた。
 出発は20時ごろ。もう真夏とは異なり、暖機に時間がかかる。私はもともと停車状態でエンジンをかけたままの“暖機もどき”はせず、エンジンを始動したらすぐに走りだす正しい暖機(または害の少ない暖機)に務めているから、わずかな気温の低下でも、それによるエンジンの反応の違いには敏感なのだが、ここ最近のXJ900にとって、 暖機には、もうひとつ“キャブを暖める”という重要な目的が加わっている。
 去年の7月21日に完成した夏用のキャブ&点火時期セッティングは、当然のことながら、暖機が完了したエンジンからの排熱で暖められたキ
ャブが、真夏の大気(温度が高く気圧が低い)を吸ったときに最良の結果が得られる仕様だから、始動後、キャブが暖まるまでの間は反応が悪い。 真夏なら、1kmも走れば何ともなかったのに、 9月に入り、その距離が徐々に伸びてきたようだ。
 今夜の夜会会場へは、ウチから府道を6〜7km走った後、国道24+25号で南〜西へと向かう簡単なコース。王寺〜柏原あたりで、ついさっきまで降っていた感じのウェット路面に

遭遇したり、柏原の先で道に迷ったりしたが、大和川と大阪中央環状線を道標に何とか松原ジャンクションに出、そこから北向きに川を渡り、21時すぎにブリリアントに着いた。
 なぜか、店の前に停まっているバイクは、すべて見慣れたヤツ(笑)。土曜の夜とはいえ、いつ降るかわからない天気では、バイク乗りはあまりやって来ないのかもしれない。
 この店は気に入った。ひろびろした店内は、ごちゃごちゃするでもなく、かといってすっきりしすぎでもなく、そして、ウルサすぎることも静かすぎることもなく、いい感じ。
 さらに印象を良くしたのは、お店のスタッフの対応だ。基本は“てきぱき”で、用があるときは親切かつていねい。しかし、それ以外は、無視しているわけでも冷たくしているわけでもなく、心地よく放っといてくれる。うるさく構われたくないくせに、いちいちウルサい客にとって(笑)、これはとても好感度が高い。
 さて、カンジンの夜会は…。やはり、例によってツーリングの相談などはそっちのけで(笑)、いつものダベり。夜会のことはしょっちゅう書いているのに、そこで話している内容について書いたことがないのは、
“ブリリアント”店舗正面の駐車場にて。ふだんはハーレーの多い店のようだが、この日は古ヤマハとBMWがずらりと並んだ。大阪市平野区ということで、普段は乗って来れないポッケやゴリラも参加。もちろん、2台とも変態チックな改造車である(笑)。
書くに足らない他愛もない話だから
…というのが正直なところだ(笑)。この日は、最も多いときは15人くらいで3つのテーブルを囲み、それぞれ別の話題で盛り上がっていた。
 やがて午前0時になり、個別に会計を済ませて表に出る。ここから時間がかかるのが夜会の常。集まったバイクを前に、あ〜だ、こ〜だ…と騒々しい(笑)。まわりに民家があれば迷惑このうえなしといったところだが、ここなら大丈夫である。
 表でひとしきりしゃべったあと、ようやく帰路に。枚方方面の2人といっしょに中環を北に向かい、鶴見で右折して阪奈で帰るつもりだったのに、走りだしてすぐ[奈良→]の標識につられて25号線に曲がってしまった(笑)。すぐに間違いに気づいたが、引き返すのも面倒なので、そのまま25〜24のルートで帰宅した。
          ●
 9日の朝練については、夜会の前後から何度も同報メールでやりとりして、二転三転の末、朝7時半に京都東ICに集合ということになった。
 この朝練の主旨をひとことで言うと、80年代初頭のヤマハ車と“今どき”のタイヤの組み合わせによる操安性を味わう…である。京都東ICに

集まったのは、XJ750Eが2台(ミシ
ュラン・パイロットアクティブ/ブリヂストンBT45)とXV750E(パイロ
ットアクティブ)で、ミシュランのXJ750Eはトモキ・オータさん、BSのXJ750EとミシュランのXV750Eはコンプライアンスかわぐちさんのマシンである。かわぐち号2台のうち1台には、むらかみさんが乗ってきた。
 被験車3台の他は、むらかみさんの友人のGPZ900Rと私のXJ900。合わせて5台/5人で、まずは西大津バイパス〜湖西道路を北上し、鯖街道を目指す。真野で湖西道路を降りたところで、早くも交換試乗開始。ここから国道477号を経て367号(鯖街道)に向けて、XV750Eを走らせる。
 こいつは気に入った! リーンアングルと舵角の関係が、これほど素直なマシンに乗ったのは初めてだ…というのは、降りてからの感想で、乗っているときは、そもそも舵角などということを考えさせない自然さなのである。これよりも舵角の小さいマシンだと旋回中にハンドルを切りたくなるし、大きいマシンだと戻したくなるものだが、こいつはどちらでもなく、まさに、車体の傾きに応じて、自分の感覚に最も素直な舵角がついてくるのだ。あまりにも素

直で、まるで、ハンドルバーでつながっていないグリップだけを握って走っているように錯覚するほどだ。
 XV750Eかわぐち号には、これまでに何度も乗せてもらい、いつも軽快なステアリングに感銘を受けていたとはいえ、以前はもっと大きな舵角がついていたような気がするから、今回の新しい印象はパイロットアクティブの持ち味なのだろう。
 XV750Eの素直なハンドリングを楽しんでいる私とは裏腹に、 XJ900に乗せられたかわぐちさんは苦労していたようである。 このときのXJ900のタイヤはダンロップのK300GP。フロントがSTDよりも1サイズ太い110
/90-18で、リアはSTDサイズながら中央部分のみ摩耗が進行しており、おまけにリアショックのプリロードを増やしていたから、フロントの軽快感は雲泥の差。XV750Eと比べると
“頑固”と言っても過言ではない、アグレッシブなライディングに適合した仕様になっていたからだ。
 さらに申しわけないことに、かわぐちさんが乗ったままで臨んだ久多
の山越え(舗装林道的な道の下り)で、 エンストしたXJ900が原因不明の始動不能に陥ってしまった。XVで先行していた私が引き返して運転を
牛乳広場に佇むXJ750Eオータ号、同かわぐち号、XV750Eかわぐち号、XJ900。自車が新しく感じる取り合わせだった(笑)。佐々里峠にて比較試乗。φ200mmの大径ヘッドライトは、その昔、ヤマハの欧州仕様高性能車の証だったらしい(笑)。
代わり、下り坂の終わりまで惰性で転がし、平坦な空き地に停めてて点検すると、 イグニッション系SSRのトラブルと判明。一時はどうなることかと思ったが、 ソケットからSSRを外し、再び差し込んだだけで無事に息を吹き返してくれた。
 後にも先にも例のない、このとき1回きりのトラブルなので、原因はわからずじまい。下り坂を延々と極低回転で走ったために発電量が足りず、 そのくせヘッドライトが55W使いっぱなし、 ストップランプも23W
×2を頻繁に使っていたから、 瞬間的に電圧が降下し、 失火とSSRの誤作動が併発したのかもしれない。
 むらかみさんのお連れさんと広河原で別れ、残る4人は佐々里峠経由で牛乳広場へ。この区間ではむらかみさんがXJ900に、 私がXJ750Eかわぐち号に乗る。BT45を履いたXJ750Eは“ナチュラル”という表現がぴったりの、これも良好な操安性。XVほど軽快ではない代わり、安定感はこちらが上。XVにパイロットアクティブ、XJにBT45というのは、両車の良さを引き出す絶妙の選択だと思う。
 牛乳広場でしばし休憩の後、再び佐々里峠へ。この区間はXJ750Eオータ号に乗せてもらう。同じXJ750Eで

も、BT45のかわぐち号とパイロットアクティブのオータ号では、かなり印象が異なる。乱暴に言えば、オータ号のほうが軽快感、かわぐち号のほうが安定感に優っている。それでいて、2台とも、XVには感じられないフロントまわりの慣性感がある。
 この慣性感は、VツインのXVと直4のXJのエンジン形式の違いによる前輪分布荷重比(当然、XJのほうが大きい)によるものと思えるが、フ
ォークの摺動抵抗やステアリングヘ
ッドベアリングの転がり抵抗が、いずれも2台のXJよりXVのほうがはるかに小さいのも影響しているような気がした。車体まわりの整備レベルは、XVのほうが1枚うわてだった。
 それぞれ午後に別の用事を抱えたオヤジばかりなので、佐々里での交換試乗のあとは早々に家路につく。ここで久しぶりに自車に乗った第一印象は“重い!”である(笑)。
 ひらひら〜すいすいと佐々里峠を下っていく3台に対し、 わがXJ900は、よいしょ〜べったり…てな感じだ。ブレーキをかけたりスロットルを開けたり大きくリーンさせたりしたときの安定感/安心感が、こうした飛ばせないタイトな山道(とくに下り)ではちっとも生かせないばか

りか、足手まといにすら感じる。
 峠を下りきったあとの、カーブの緩い平坦路では、さすがに“足手まとい”とまではいかないにしても、先行の3車ほどリラックスして気分良く走れていないのは明らかだ。
 今日ここまでの走りで溜まったフラストレーションを晴らすべく、花背峠の上りにさしかかるところで先頭に出、久しぶりに“峠道を攻めた走り”をしてみると、さっきまでとは打って変わって、まさに水を得た魚のごとく快走できる。それはもちろん、K300GPのグリップ(路面追従性とは微妙にニュアンスが異なる)の良さに負うところが大きいが、このところの XJ900の足まわりの仕様が、流したときの軽快感よりも、飛ばしたときの安定感を優先する方向に振れていたからでもある。
 さて、これからどうするか…。車体まわりの仕様を、流したときの軽快感を優先した方向に戻せば、少なくとも、今日のようなコースをのんびり走ったときの爽快感は高まるはずだ。だが、運動性と安定性は今のほうが良いから、それを維持したい気持ちもある。二兎を追うものは一兎をも得ず…ではなく、一挙両得を狙うべく、しばし熟考してみたい。


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