XJ900の爽快チューン
2012年8月30日 - 編集部での撮影、編集長とのナイトランを済ませ、帰宅の途に
     
 28日夜に泊まった東名高速上り線足柄サービスエリア内のホテル“時の栖(ときのすみか)”は、予想以上に良かった。クルマで行って、部屋に運び込む荷物が少ない人にはおすすめ(バイクの場合は、二輪パーキングから遠いのが難点)である。
 建物は新しく、広めの部屋はシンプルで清潔。期待していなかった高速有線LANも備わっていた。午前0時以降チェックイン限定の特価3000円(半額)につられて予約しただけなのに(笑)、ここなら通常価格でも値段以上の満足感が得られるはず。
 だが、まあ、この評価は、広さと飾り気のなさを重視する(ついでに言うと、静かで上層階で見晴らしがよく、水回りが清潔で、足を伸ばして入れるバスタブで、部屋の窓が開けば文句なし)私の好みに合っていたというだけで、あまり信用しないほうがよいかもしれない(笑)。
 一般道ではなく、わざわざ東名に入ってアプローチしたために、翌朝チェックアウトしてからは、まず、最も近い(これが思ったより遠かった)大井松田ICで東名を降り、そこから246で引き返してFISCOへ。
 あ、そうそう、大井松田で通行料金を払うとき、徴収係のオサーンに「御殿場から入らはったのに、なんでこんな時間かからはったんどす?(原文は現地語)」と聞かれた。疚しいことは何もしてないから「足柄で泊まっとったんや、われ、文句あ
っか?(原文は丁寧語)」で一件落着。いちいち小賢しくチェックしと

るんやなあ…ごくろはん(笑)。
 FISCOに来たのは、 ハーレー・ダビッドソン2013年モデルの発表試乗会があるからだ。バイカーズステーションからはライターの大屋雄一くんとカメラマンの平野さんが参加しているので、平野さんに自分の走り写真を撮ってもらい、大屋くんには試乗してもらおうというわけだ。
 ハーレーの発表試乗会は、会場がFISCOとはいえ、 本コースを走るわけではなく、パドックに整列したマシンを借り出しては敷地内の道路で試乗したり、パドックの一角で撮影したりする。本コースでは、平常営業のスポーツ走行が行われており、ときおり、本コースを走るマシンの排気音が聞こえてきたりする。
 そんな環境の中で、ロードライダ
ー誌の編集長と立ち話(次号連載企画の打ち合わせを含む)をしたり、某誌編集長と名刺交換したり、BS誌のマシン撮影(置き撮り)を見物したりしながら、昨日とは打って変わ
って緩やかな時間の流れ…。
 平野さんの手が空いたので走りの撮影ポイントに移動。え〜っ、ここかよ〜! 背景がシンプルで、少々俯瞰気味の位置から撮影できるのは良いとして、カメラの前を通りすぎてすぐに急制動しないと、次のT字路で止まりも曲がりもできない。
 が、まあ、文句は言わず、指示どおり、下り坂の途中の3速で曲がる右コーナー(逆行して上る場合は左コーナー)で撮影してもらった。
 その後、大屋くんに、何機種もの

ハーレーの合間に XJ900にも試乗してもらったのに、結局コメントは聞けずじまい。私がスポーツスター2機種とダイナ1機種に試乗している間に、彼も再びハーレーの試乗に戻
ってしまったからだ。彼には、4年前に同じコースで試乗してもらっただけに、 4年ぶりのXJ900をどう感じたか、ぜひとも感想を聞きたい。
 さて、これにて、予定していた2件、走り撮影と大屋くんの試乗が終わったので、暗くなる前に編集部に着きたい私は、 FISCOをあとにし、246で都内に向かった。 昨夜はすいすい走れた246も、 さすがにこの時間帯は交通量が多く、至るところで渋滞。上馬で環七に曲がるまで3時間あまり、走った距離の半分以上がすり抜けだったかもしれない。
 遊風社(バイカーズステーション編集部)で、今日すべきことはほとんどない。明日の撮影の軽い打ち合わせと今夜の宿の手配くらい。今夜は編集長が忙しく、いっしょにメシにも行けそうにないので、早々に退散し、近くで編集長おすすめの“チサンホテル品川ウエスト”にチェックイン。部屋に入ってから30分くらいは起きていたような気がするが、その後の記憶はなく、次に気がついたのは翌朝7時前だった(笑)。
          ●
 起きてすぐ、昨夜のうちに書かなければならなかったウェブマガの原稿と広告コピーが残っているのを思い出し、空腹を我慢しながら慌ててデスクワーク。1時間少々で何とか
バイカーズステーション編集部の奥にある常設スタジオ。1/12をはじめとする同誌スタジオ写真はほとんどここで撮影している。帰路、国道1号の道の駅富士にて。向こうに停まっているのはバリオス、その足元にシュラフ入りのライダーが転がっていた。
両方片づけて、荷作りを済ませてチ
ェックアウト。1を戸越3丁目まで行って左折すれば、あとは道なりで武蔵小山駅前に出る。駅西口から中原街道まで延びる武蔵小山商店街なら、飲食店はよりどりみどり(笑)。
 久しぶりにサンマルクカフェにしようと思ったのに、駐輪スペースが狭すぎて断念し、セカンドベストのミスドにした。昨夜は晩メシ抜きで寝てしまったからか、猛烈にハラが減っていたので、ハニーチュロ、フレンチクルーラー、オールドファッション、チョコファッション各1個とホットコーヒー。 BBSでコンプライアンスさんに“それは食べ過ぎでしょ”と言われてしまったが、アンタに言われとうないわ(笑)。
 編集部に着くと、みなさん総出で10月号の発送作業中だった。半地下のフロアーにバイクを運び込むのを手伝ってもらったあとは、仕事のじ
ゃまをしないように、持参したウエスとコンパウンドで各部を掃除。だが、もともとあまりきれいな状態で出発しなかったうえ、1週間のツーリングの汚れが溜まっていて、なかなかきれいにならない。
 そうこうするうちに発送作業が終わり、迫田さんが手伝ってくれた。これはスゴい! ホイール、キャリパー、リアフェンダー、フレームなど、簡単にはきれいにならないはずのところが、わずか30分ほどでピカピカに…。迫田メイクが終わるころにはライティングの準備もでき、いよいよスタジオでの撮影開始だ。

 ワークスマシンの撮影など、ここでの撮影には何度も立ち会ったことがあり、自車でも2回目なのに、前回よりもはるかに緊張する。それはおそらく、このたびのモデルチェンジにより、どこからどう撮影しても必ず、自分が手を加えたところが明瞭に写ってしまうからで、この期に及んで“ここをこうしとけばよかった…”というところがいくつかあった。が、もう手遅れだ(笑)。覚悟を決めて隅々まで撮影してもらった。このときのスタジオ写真は、バイカ
ーズステーション11月号のP.94〜98に掲載されるので、お楽しみに。
 続いては測定である。1/12写真の横についている“本誌実測データ”
というヤツだ。ガソリンを空にして前後輪を体重計(誤差調整済み)に載せて計測後、ガソリンを満タンにして同じことをする。マシンを支える係、前後それぞれの測定値を読み取る係、記録係の4人作業だ。その他、ハンドル幅、キャスター角、ホイールベースなども測定した。
 これにてめでたく編集部内での撮影〜測定は終わり。スタジオを片づけたあと、長い道板を階段にセットし、バイクを表の道に出す。 XJ900と編集長の愛車CBR1000RRだ。
 出発シーンを迫田さんに撮ってもらい、いよいよ交換試乗ナイトランのスタートである。どこに行くのか私にはわからず、 ただCBR1000RRに跨がってついていくだけである。編集部を出てから、どこを通ったのかはまったく記憶にない…というか、

知らない道だから覚えようがない。
 編集長の試乗は、さすが業界の古狸というか(笑)、昔から都内でバイクを楽しんできた人というか、どこに行ってもクルマだらけの品川界隈にも“ここ”という場所があり、その手前でいったん止まってタイミングを見はからえば、2〜3個のコーナーは連続して気持ちよく走れる。
 そのうち1箇所は、新幹線の車窓から見た覚えのある山手通りのS字
で、もう1箇所は1で多摩川を渡ったあとの、工場だか貨物駅だかの跡地のような感じのところ。他にも何度か、後ろの信号が赤になってクルマの流れが途切れるのを待ち、単発のコーナーを勢いよく駆け抜ける…といったことを繰り返しながら、オザワR&Dにやってきた。
 ここでの編集長は、なじみのバイク屋に顔を出した常連客といった感じ。それも、近所のスーパーで買ってきた弁当を、連れてきた私といっしょに店内で食べるといった、けっこう迷惑な部類の客だ(笑)。
 オザワR&Dに1時間ほど滞在してからナイトランを再開。今度は都内向きの、交通量の減ってきた1を軽く流し、編集部からそう遠くないところにあるファミレスに入る。走るだけでなく、どこかでお茶してこそナイトランですよ…と私が言ったのを思い出してくれたのか…。
 ところが、ドリンクバーで飲み物を持ってテーブルに着いたとたん、編集長はポケットからメモ帳とペンを取り出し、取材の態勢に…。聞け
パンツも乾き、浜名バイパスを快走。前方左手に丸く大きな月が見えたのだが、走りながら写真に収めるのは無理だった。
ば、インプレを書くにあたって、私の話を聞いておきたいというのだ。さすが業界の古狸である(笑)。
 結局、そのファミレスには2時間ほど滞在し、編集部に戻ったのは午後10時ごろだった。さて、これからどうするか…。ここでようやく“これから”の予定を考えた(笑)。どこかに泊まって、明日の昼間、ゆっくり遠まわりをしながら帰るのがいいな…と一瞬思ったが、残念なことに明日が月末だと気づき、支払いやら何やら雑用があるのを思い出した。
 そうとわかればこれから帰るだけだ。「これから帰ります」と告げると、編集長は「そうか。わかった。では気をつけて」と、別に驚くふうでもなく見送ってくれた。1に出るのは、さっき戻ってきた道を逆に行くだけだから簡単だ。あとは豊橋近辺で23に入り、四日市で再び1に、そして亀山から25に乗ればいい。
 ナイトランはしょっちゅうしていてもナイトツーリングは久しぶり。とりあえず豊橋までは、ずっと1を行くだけで、途中、大磯からは4月のツーリングステーションの帰路に走ったばかりだから安心だ。
 ナイトツーリングで都市部以外の幹線道路を延々と走るときは、ペース配分が難しい。だがそれは、一定速で走ろうとするからだと気がついた。で、気がついたあとは、往路2日目の117のときと同じく、 加速して気持ちよさそうなところでは加速し、高めの速度が気持ち良さそうなところは速めに走る…という、緩急

とりまぜた走りでいくことにした。
 途中の休憩は、かなり多かった。大磯町消防本部前、芦の湖畔元箱根の鳥居前駐車場、道の駅富士、道の駅掛川、ラグーナ蒲郡近くのコンビニ、東海市内のガソリンスタンド、伊賀市のマクドナルドで止まった。
 さすがにこの時間帯になると、バイクはほとんど見かけないのに、沼津バイパス〜富士由比バイパスで併走した女性ライダー(富士山ナンバ
ー)と、道の駅富士の駐輪場でシュラフに入って路面で寝ていたライダ
ー(練馬ナンバー)が、2人ともバリオス乗りだったのには驚いた。
 道の駅掛川には、今回もまた立ち寄り、おしっこ&水分補給。このあたりは雨の降りやすい地形なのか、ポツリ…ポツリ…と降り出した。山と反対向きに走るから大丈夫…と考え、急いで出発したら、数百メートルほど走ったあたりで大雨に。10秒ほどでパンツまで染みてくるほどの激しい雨だ。たまらず次の出口で出て、本線下に避難。バイクから降りてよく見ると、バイパスの南側は大雨なのに、北側はほとんど降っていない。な〜んだ、これならすぐに止むはずだ…と、根拠はないがそう思い、しとしと降りに変わったのを見はからって本線に上がった。数百メ
ートルほどで雨は上がり、さらに数百メートル走ると路面は完全なドライ。あそこで出ずに、突っ切っていたほうがよかったかもしれない。
 浜松バイパス〜浜名バイパスあたりでは、パンツも乾き、前方に大き

な丸い月を見ながらの快適なクルージング。その後、豊橋で[←国道23号]の標識に従って左折し、海を望むコンビニで休憩したところまではよかったのに、その先で23号を見失
ってしまい、ときには国道でも県道でもない道に入ってしまいながらも
“背中に朝日の当たる方向”をキープしていると、どこをどう走ったのか、ようやく、名古屋との位置関係がわかる(笑)東海市に入った。
 ここで久しぶりの給油。車重測定に備えて、昨日の朝、編集部直近で満タンにしたあと、 412km走行して17.21Lの消費。 23.94km/Lって燃費は、決して大人しい走りだけではなかったから、まあ予想どおりだ。
 東海市から23に入り、四日市で1へ、亀山で25へ…と、快調に走り続けたのに、ウチまであとわずか30数kmの名阪国道・鈴鹿越えの長い下り坂を(けっこう飛ばして)走行中、コツコツコツ…と数回、軽い振動を感じたのでペースダウン。あとはゆ
っくり走りながら、伊賀一宮で降りて、よく行く伊賀上野のマクドナルドで朝マック(笑)。残り30kmも粛々と走り、10時半ごろに帰宅した。
 最後の振動は、路面の不整によるものか、エンジンに何か異常があったのか、実のところはわからない。後日、ガソリンコックを点検したところ、フィルターのネットが、目詰まりとまではいかないにしても少々通りが悪くなっており、それによる一時的な混合気の過薄化による異常燃焼が原因だったかもしれない。


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