6月16日。朝7時に目が覚めた。 
窓から外を見ると、雲ひとつない晴天。 
湖は、昨日の夕方とは逆方向の光を受けて表情を変えている。 
今日はここからモンペリエに出て 
地中海に沿ってバルセロナまで行く。 
寄り道なしで580kmの行程だ。 
 
ネット上の知人がポルトガルとスペインを旅行中で 
今日からバルセロナに滞在する予定なので 
南仏まで来たついでに会いに行こうと思ったからだ。 
 
フランスの安ホテルの朝食は、はっきり言って物足りない。 
アルカデとかイビス、ノヴォテルなどのチェーンでは 
他の国と差があってはマズいので 
一応、何でもアリのバイキングになっているが 
そうじゃないホテルの朝食は 
パンとコーヒーだけのところが多い。 
ここも同じだ。 
 
カゴに入ったフランスパンを持ってきたギャルソンが 
「ティー or カフィー?」と 
まるでSQの機内みたいな口調で聞き 
陶器のポットに入ったコーヒーとミルクを持ってきた。 
テーブルにあったカップは 
きのうの“グランデ”と同じものだった。 
バターの他、パンにつけるものはアプリコットジャムしかなかった。 
ドイツと比べるとかなり見劣りするが、しかたない。 
ミルクをたっぷり入れたコーヒーと 
焼きたてのパンは、さすがに美味しかった。 
 
  
 | 
建物の南東の角にあるカフェテラスは 
宿泊客の朝食室でもある。 
内部はお世辞にもきれいとは言いがたく 
同じ建物内のレストランより 
雰囲気もはるかに庶民的。 
オートルートが開通する前は 
幹線道路[A9]のサービスエリア的に 
機能していたのだろう。 
 | 
 
 
 
部屋に戻って荷物をまとめる。 
これからしばらく、一人でクルマを占有できるから 
毎日、部屋に運ぶ必要がなくて 
もしも盗られても大丈夫なもの 
例えば、5000リラの雨傘とか1000円のトレーナーとか 
不要になったドイツGPのプレスリリースとか(捨てればいいのに…)を 
クルマに積みっぱなしにすることにした。 
 
それから…、積みっぱなしじゃないが 
ダッシュボードのボックスに短いレンズとストロボとフィルムを入れ 
助手席の上に広角レンズのついたカメラを 
足元に300mmのレンズとカメラバッグを置き 
運転中に発見した景色を、すぐに撮れるようにした。 
 
荷物を積み終え、レセプションで精算すると 
アクセスのためのリヨンやトゥールーズはいいとして 
スペインに何度も国際電話をかけたのに 
電話料金のトータルは37フランにしかなっていなかった。 
しばらくホテルのまわりの景色を撮り 
兄ちゃんと姉ちゃんに出来損ないのフランス語であいさつをして 
まずは湖に沿って走りだした。 
 | 
 
 
 |