午後6時頃、ミラノの環状道路に合流した。 
業務連絡メールを読むため 
どこかからアクセスしなければならない。 
こういう場合、頼りになるのは空港だ。 
電話は必ずあるし、電源だって探せばたいていある。 
ということで、ミラノ市内はパスし、リナーテ空港に向かった。 
 
ところが、リナーテ空港の中の電源コンセントは 
すべて特殊な形状をしていて、通常のプラグでは使えない。 
盗電されないようにするためだろう。 
大阪空港くらいの大きさのリナーテ空港内の 
ボーディングパスなしで行けるところをくまなく調べたが 
普通の形をしたコンセントは1個もなかった。 
メールのダウンロードだけならバッテリーでもできる。 
だったら、わざわざ空港からすることもない。 
 
アクセスは後回しにして、夕食にした。 
デパーチャーフロアの上 
3階にあるセルフサービスレストランはすいていた。 
特大のツナの乗ったサラダとラビオリと 
鱈のムニエルっぽいメインディッシュにした。 
味は“期待しないほうがいいだろう”と思ったとおり 
あまり美味しくなかった。 
 
電源を探すのに時間を取られたため 
リナーテ空港をあとにしたのは午後8時をまわっていた。 
とりあえず、イタリア半島の付け根を東西に走る 
アウトストラーダ[A4]に乗り、ヴェネツィア方面に向かう。 
 
この時点では、まだ、夜通し走れば 
ハンガリーのモトクロスを 
見に行けるんじゃないかという期待があった。 
しかし“仕事じゃないから、どうだっていい” 
という気持ちもふくらんできた。 
フォード・モンデオはよく走った。 
ミラノから267kmの区間を、2時間弱で走破した。 
 
  
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ミラノからトリエステまで 
半島の付け根に沿って走るのが[A4]。 
ほとんどの区間が延々と続く直線で 
アウトストラーダの中では 
おそらく、ここが 
最もクルマの流れが速い。 
路面の凹凸が激しいので 
高速走行時は要注意。 
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ヴェネツィアの手前でガソリンを入れていると 
[Motel Agip]の看板が見えた。 
日本でいうと“出光興産ホテル”って感じだろうか。 
あまり泊まりたい気はしない。 
だが、イタリアで Motel Agip といえば 
クルマでのアクセスに便利な高級ホテルチェーンとして人気は高い。 
ちょっと迷ったが、泊まることにした。 
ここなら電話も電源もある、はずだった。 
この時点で、モトクロスを見に行く計画はぽしゃった。 
 
部屋に入り、さっそくPCとカプラーを用意し 
ミラノ、トリノ、ローマの3ヶ所にあるTYMPASのAPにつないでみたが 
どこも“CONNECT 2400”の表示はすれど 
それ以後、ピーピーガーガー言いながら 
化け文字が画面を埋めつくす。 
INFONETや国際電話も試してみたが、結果は同じだった。 
きっと、電話の課金情報の信号か何かが 
回線に侵入しているのだろう。 
アクセスをあきらめたボクは、この旅行記の一部を書き 
次にアクセスできた場合に備えた。 
 
翌、6月20日・日曜日 
いろいろと雰囲気のある形容詞をつけて呼ばれるヴェネツィアには 
クルマで行きにくいこともあって 
ボクはまだ行ったことがない。 
ウチにある“オリエントエキスプレス”というLDは 
ちょっと年増の女優さんが船で市内をめぐり、駅に着いて 
そこからパリ/ロンドン行きの 
列車に乗り込むシーンから始まっている。 
有名な観光スポットはともかく 
あの駅前の光景は一度見たいのだが 
今回もまたヴェネツィアには寄らないことにした。 
いつか、きっと、列車で来たいところである。 
 
モーテル・アジプを出発したボクは 
昨日に引き続き[A4]を東に走り、トリエステに向かった。 
トリエステまでの3分の2ほどのところから 
北に向かうアウトストラーダが分岐している。 
これを行けば、100kmちょっとで 
オーストリア南端のフィラッハ(Villach)の町だ。 
アルプスの雪解け水をたたえた川に沿う道は交通量も少なく 
心地好いドライブが楽しめる。 
フィラッハからは、ツェル・アム・ゼーも近い。 
大好きなオーストリアと、しばらくぶりのクロアチア…。 
どちらにしようか迷って 
クロアチア、ハンガリー経由でオーストリアに行くことに決めた。 
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