XJ900の爽快チューン
2011年8月11日 - 灼熱の渋滞路とゲリラ豪雨を何事もなく乗り切り、信頼感が増す   
     
 8月9〜10日の川重明石工場での取材に、 XJ900で行ったのは同日のダイアリーに書いたとおり。往路は、奈良の宝来から第二阪奈〜阪神高速東大阪線〜神戸線〜第二神明と乗り継ぎ、玉津まで上を走った。空いていたのは第二阪奈だけ。東大阪線の途中から渋滞が始まり、神戸線に入
ってからは何度も完全にクルマの流れが止まるほどの混みようだった。
 初日は午後の取材だけで、時間に余裕があったので、神戸線に入るまではクルマの流れに従い、照り返しと排熱で灼熱地獄と化した雰囲気中を、ノロノロと、ほとんど20km/h以下の速度で20分ほど走り続けた。
 大改造後、おそらくこれが最も熱的に厳しい走行条件で、オイルクーラーを撤去したりキャブのパイロット系を過去に例がないほど薄くしていることを考え合わせると、エンジンオイルの温度は、このマシンの製造以来最高に達したかもしれない。
 だが、その熱さの中で、エンジンは極めて快調だった。スロットルは開けず、クラッチの断続とシフト操作のみで速度を調整し、20km/h近くまで速度が上がったときはトップギアに入っているという乗り方にもかかわらず、エンストは一度もせず、その兆候もまったくなかった。
 そればかりか、ほとんどアイドル状態と同じ回転数で回り続けるエンジンの振動が、ふだんにも増して心地よいのである。いつもの“ぽろぽろ”が“するする”に変わったと言えばいいだろうか…。とにかく、振動波形の山がうんと低く、裾が広が

阪神高速湾岸線から環状線を経て松原線へ。激しい渋滞を避けて東京に帰るメンバーのクルマを先導中のワンシーン。
続いて今日は、大雨の中を20kmほど走行。熱に続いて水の洗礼を受け、ひときわたくましく成長したような気がする。
ったような感触なのである。
 初めてアッシュのエンジンオイルを入れた2006年の夏、酷暑の高速道路を走った直後に感じた“とろけるような滑り感”を久しぶりに体感して、 今使っている100%エステル化学合成油 FSE MOTOSPEC 10W-50の高温特性の素晴らしさを再確認した。
 しかし、快調そのもののエンジンとは対照的に、ライダーのほうが熱さにやられ、熱中症になるかもしれないと感じたので、神戸線に入ってからは刑法第37条の“緊急避難”に該当すると判断し、渋滞が終わるまで路肩を走行して難を逃れた。
 明石からの帰りは、午後6時をすぎていたので、暑さは少々マシ…のはずだったのに、東京に帰るスタッフのクルマを、各所の渋滞を避けた第二神明〜阪神高速神戸線〜ハーバ

ーハイウェイ〜湾岸線〜環状線〜松原線〜西名阪のルートで先導することになり、軽い渋滞と高速走行の入り混じった、これまたエンジンにもライダーにも厳しい条件だった。
 しかしそこでも、少々疲れ気味かつ眠気と戦いながらのライダーに、渋滞中は心地よい振動で刺激を与えてくれ、ハーバーハイウェイや湾岸線では飛ばし屋のクルマとの高速バトルに気持ちよく応じて、暑さに対するタフさを実証してくれた。
 翌11日は、一転して曇りがちの空の下、所用で京都市内へバイクを走らせた。一昨日〜昨日にかけて熱が入り、燃焼室内のカーボンが焼き切れたからか、前よりもエンジンの調子がよい。気温は摂氏30度を超えているのに、このところの夜走りのときと同じくらいの力感がある。

 そして帰路、この調子よさをもっと味わいたい…と、やめときゃいいのに、黒い雲に覆われた東に進路をとり、往路と同じ(いつもの)ルートで帰ろうとした。そして、前回と同じ場所で大雨に見舞われた。
 だが、もう避難はしなかった。あとは家に帰るだけだから、体は濡れても平気だし、マシンも、防水&排水対策を施したから大丈夫のはず。対策が充分かどうかのテストに最適の条件ではないか…と、そのまま約20kmの道のりを走り続け、ずぶ濡れになりながらも、前回のようなトラブルに見舞われずに帰宅した。
 灼熱の渋滞路に続き大雨という、過酷なテストをノントラブルで終えたことで、エンジン&電装系に対する信頼感と、今後の使用における安心感が高まった3日間だった。


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