XJ900の爽快チューン
2011年9月15日 - オイル交換のついでにエンジン各部を点検。どこにも異常なし   
     
エキパイを外したシリンダーヘッドを正面から見たところなので、これが#4気筒。堆積したカーボンが剥がれ落ちつつある。両側気筒(#4&#1)よりは白っぽく、温度が高めであることがわかる#3気筒。堆積していたカーボンはほとんど剥がれている。#3とほぼ同程度の焼け色を示す#2気筒。これのみ排気バルブが開いており、バルブステム摺動部に異常がないことも確認。#4とほぼ同じ#1気筒。内側2気筒と外側2気筒が同程度であれば、内と外に差があるのは(この程度なら)許容したい。
排気ポートと同様、堆積したカーボンが剥がれ落ちつつある#4気筒のエキパイ内部。オイル下がりや上がりの兆候はなし。#4と比べてみると、そういえばわずかに白いかな…といった程度の#3エキパイ内部。カーボンの堆積はほとんど見られない。#4/#3とはカメラアングルを変えて撮影した#2気筒のエキパイ内部。#3とほぼ同様な色合いながら、少々“まだら”模様あり。まだら模様の目立つ#1気筒。構造上、オイルが下がりやすい#1気筒だからこうなったのか、他に原因があるのかは不明。
 週末からの連休の最終日、19日の月曜祝日に長距離のツーリングに行くかもしれず、さらにその翌週にはもっと長距離を走行するかもしれないので、ここでオイル交換をしても決して“早すぎ”ではないだろう。
 前回交換後の走行距離は、すでに6000kmを超えている。これまで最長の10043kmのときはもちろん、 5000
〜6000km台で交換したときだって、明らかに性能向上(主にシフトフィ

ーリングの改善と高回転時の微振動の低減)が体験できたのだから、上に書いた2つの長距離走行を気持ちよくするために、交換を決定した。
 このところずっと、私にとってエンジンオイルの選択肢はひとつ。ア
ッシュのFSE(100%エステル化学合成油)MotoSpec 10W-50しかない。
 1リットル当たり4000円を超える高価なオイルとはいえ、オイルクーラーを撤去したXJ900には2缶で足り

るし、一般的なオイルの2倍以上持つうえに、何たって気持ちがいいから、結局はお買い得である。
 で、そのオイルを気持ちよく使うために、交換時にはフィルターを新品にするだけでなく、オイルパンを開けて、できるだけ古いオイルを排出するように心がけている。これは美味しい料理をいただくために器をきれいにするのと同じで、儀式ではなく、必要な準備だと考えている。
プラグ穴から覗いた吸気バルブ。シート当たり面の状態は良好で、幅も広がっていない。従来はもっとオイリーだったのは改善。ピストンヘッド。カーボンの堆積はほとんど見当たらず、二硫化モリブデンショットを施したアルミの地肌が見えている。吸気バルブよりも温度が高く、白っぽい排気バルブ。こちらもバルブシート当り面の状態は良好で、当分O/Hの必要なし。
 で、オイルパンを開けるためには
4本のエキパイと4-2-1集合部分を外さなければならない。そして、オイルパンを外せば、あと少しの追加作業(クラッチの取り外し)によってオイルポンプも外して点検できる。
 …というわけで、このオイルを使うようになってからは、それらのパ
ーツがすべて外れた状態にしてからオイル交換に臨むことにしている。
 普段は、オイルパンを外すための

準備&掃除のためでしかなかいエキパイと集合部の取り外しに、今回はもうひとつ目的が加わった。
 過去に例がないほどキャブを薄めに/点火時期を早めにセットしているから、それによる排気ポートまわり(バルブフェイスやピストンヘッドなども含む)の焼け具合とカーボンの付着具合の目視点検である。
 で、それらは、上の写真にあるように、このマシンとしては(トラブ

ル時を除き)過去に例がないほどの温度上昇を示していた。とはいえ、
前回の分解整備時に発見した排気バルブのようなトラブルの兆候ではなく、常識的な“焼け具合”の範囲内に収まるものだと判断した。
 が、もちろん、ストリートユースのマシンでは“ほどほど”が長持ちの秘訣なので、これ以上燃料を絞ったり点火時期を早めたりして温度を上げないように留意したい。
ドレンボルトから出てこなくなってから外しても、オイルパン底部にはこれだけのオイルが残っている。以前よりもさらに色が濃い。
ドレンボルトに圧入されたマグネットに捕らえられた鉄分。へどろ状の微粒子が付着した先端部が、根元よりも太く見える。
オイルフィルター&カバーを外したクランクケース底部前面。こうして見ると、オイル自体の色はそれほど汚くないことがわかる。
 本題のオイル交換については、排出した古いオイルの汚れが、このマシンでの6586kmの走行にしては少々目立った。キャブセッティング中の高回転多用時に頻発していたクラッチ滑りが主な原因だと思う。
 とにかく、新油を入れて少ししか走っていない時期に、レベル点検窓から見えるオイルが黒っぽくなったり、分解点検時には常にクラッチハウジングの内側に黒い微粒状の汚れ

が付着していることからして、そろそろフリクションプレートを交換すべきなのかもしれない。
 厚さは新品時と同じでも、本来は豆腐のように目が詰まっているべきなのに、組織が抜け落ち、高野豆腐のようになっていることは充分に考えられ、その抜け落ちた組織がオイルを汚しているのだろう。
 取り外したオイルポンプは分解して、ローターと摺動面をチェック。

以前のようなトラブルはなく、極めて良好な状態を保っていた。
 ここまでの作業を終えたところで週末の天気が怪しくなってきた。ひ
ょっとすると19日の“ヤマハCP襲撃ツーリング”は、中止またはクルマでの行軍になるかもしれない。そう考えると一気にペースが落ち、新油の注入/取り外した各パーツの掃除
/取りつけなどは翌日以降に回し、この日の作業はここで打ち切った。
O/H時に吸入口をSTDと逆の前向きにし、目の細かいステンレス網に張り替えたストレーナー。異物の付着は見当たらず。
流動性のよいアッシュのオイルは、すぐに落ちるが、最後の一皮は、なかなか落ちない。金属表面への吸着性の高さがわかる。
オイルポンプ内部のローターにもハウジング摺動面にも異常なし。ディバージョンのスプロケットで回転数を高めている。


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