XJ900の爽快チューン
2012年11月25日 - ヤマハ車新旧5台の交換試乗会にて操安性の変化を味わう
     
 前週のダンロップ・ツーリングステーション@マキノ・ピックランドの後、雨天走行後のマシンを掃除する間もなく1週間が経ち、久しぶりに掃除と整備ができそうな感じで迎えた週末、かわぐちさんから“北山会”のお誘いメールが来た。
 件名:明日朝から北山会。内容:タイヤ交換後の村上号試乗などなどです。七時半−8時に東インターマクドナルドに集合。(原文のまま)
 う〜む…。 ブリヂストンのBT023に交換したばかりのXJR1200 むらかみ号には先々週乗せてもらったばかりだし、ここでまた出かけると掃除と整備があとまわしになる。しかし今シーズン北山を走れるのは、おそらくこれが最後になるだろうと思うと、居ても立ってもいられず“参加します”の返事をし、掃除は先送りにして(笑)、リアのブレーキパッド交換だけ昨夜のうちに済ませた。
 今朝は、かなり…というか、この秋で最も冷え込んだのではないだろうか。クルマのガラスがバリバリに

凍っていたから、明け方の気温は0度を下まわっていたはずだ。2009〜
2011年の電装系大改造により始動性良好な我がXJ900は、 こんな日でもスターター(チョーク)レバーをい
っぱいまで引き、2速ギアでクラッチレバーを握ったままガレージのゲ
ート(スロープ)を駆け下り、着地した瞬間にクラッチをつなげば百発百中でエンジンは始動する。
 エンジンがかかれば、半クラのまま左に270度旋回しつつ スターターレバーを半分ほど戻し、ギアをニュ
ートラルに入れてマシンを停め、スタンドを立て、スターターレバーをさらに戻しながら 2000〜2500rpmで回転を落ち着かせ、走りだすのに必要な最低限の暖機をする。そのときに撮ったのが左下の写真で、寒さのほどがおわかりいただけよう。
 さすがにまだ、路面の凍結を心配するほどではないにせよ、交通量の異様に少ない高速コーナーをすっ飛ばす気にはなれず、いつもの山回りではなく、国道24号〜城陽〜宇治〜

山科のルートで名神・京都東ICへ。
 マクドナルドに入ると、すでにみなさん朝マック中。私も話の輪に加わり、しばらく歓談ののち、かわぐち隊長の先導により、京都市内を縦走して鞍馬から花背峠を越え、佐々里をめざす。 このときのXJ900の仕様は、10日の朝練のときと変わらないが、この寒さではタイヤの温度が上がらず、走行中の空気圧も低いままだろうと考え、タイヤの空気圧のみ、 前後とも普段より20kPa高めの250/270kPaにしていた。
 佐々里峠に着いて、いよいよ交換試乗…のはずが、9月9日と同じあたりのコーナーが、落ち葉のせいで走りにくい状態。これでは試乗にならないので場所を変えるべく北に向かい、由良川沿いのロードパークをスタート&フィニッシュに、美山高校あたりまで往復することにした。
 ここで試乗させてもらったのは、トモキ・オータさんのXJ750Eを除く3台のマシン。前後のタイヤを2セ
ット目のミシュラン・パイロットア
北山会の朝は厳しい冷え込みだったが、パイロットジェットを1ランク濃くしていたせいか、アイシングには見舞われずに済んだ。花背の奥、大布施あたりの道路標識。結露した水が凍りつき、それが朝日によって融けだしたのだろう。冬の眺めである。
クティブに替えて間もないXV750Eかわぐち号は、なぜか9月9日の試乗で絶賛した私好みのハンドリングではなくなっていて、少々とまどう。
 おそらくこれは、車体のロール方向への入力(体重移動)に対するマシンの反応が、より敏感になったからだと思われ、ここまで乗ってきた自車と比べて、あまりにも小さい入力で済むのが原因だと思う。
 逆に言うと、この状態のXV750Eに乗り慣れたかわぐちさんにとって、私のマシンは鈍感に感じられるはずで、どのあたりに基準を置くかによ
って評価は変わるということだ。
 続いて、むらかみさんのお連れさんのBT-01に乗せてもらう。 発売されたときから気になっていたマシンなのに、試乗は初めて。見た目とは裏腹に、走らせてみると非常に友好的な性格に驚く。エンジン特性にも操安性にも、クセのないまとまりのよさが感じられ、タイトコーナーをリズミカルに駆け抜けるといったことが苦もなくできてしまう。

 そして XJR1200むらかみ号。振動の少なさと乗り心地のよさの両面で私がXJ900のライバルと考え、 目標にしてきたマシンである。11月10日のダイアリーに書いたように、2週間前の試乗で“差は詰まった”と感じ、以前には感じられなかった“ざわざわ感”を感じるようになってもいたのだが、今日は全然そんなことはなく、以前と同じような好ましいフィーリングに戻っている。
 不思議に思ってむらかみさんに確認したところ「どこも変えてませんよ」とのこと。その返事に納得できない私は、むらかみ号の試乗を中断して、同じコースを自車で走ってみた。すると、何のことはない、私のマシンもまた、ここでは“ざわざわ感”の少ない、上質なフィーリングを味わわせてくれたのである。
 おそらく路面のせいだろう…というのが、そのとき、むらかみさんと私が導き出した結論である。ここと比べると、2週間前にXJR1200に試乗した周山街道は交通量が多く、舗装

の痛みが進行している。ぱっと見にはわからない、そうした痛みによる路面の凹凸(シワと言ったほうが適切か)を通過したときに、タイヤを通して車体に伝わる高周波振動が、例の“ざわざわ感”の原因に違いない。とにかく、これによって2週間前の試乗で感じた“少々残念な気持ち”が払拭できたのは、むらかみ号にとっても、それを目標にしている私にとっても喜ばしいことである。
 私以外の4人も、それぞれ気になるマシンに跨がっては、試乗したり意見交換したりしながら、北山会ならではの濃密な時間が流れてゆく。
 その濃さに輪をかけるように、むらかみさんが、2本のスイングアームピボットシャフトと、それを交換するための工具を、シートにくくりつけてあった袋から取り出した。2本のシャフトは、1本が純正品で、もう1本がスペシャルらしい。ナットを緩め、ナット側から純正品を差し込んでスイングアームの外れを防ぎつつ、今装着されているシャフト
佐々里峠のてっぺんの少し手前。このあたりでは最も大きなカーブが、いつもの待機場所。落ち葉が多く、ここでは試乗せず。
交換試乗会を終え、かやぶきの里近くの、のどかな田園風景の中を走る。路面に映る木影の長さが、この時期ならでは。
XV750Eかわぐち号にもHendrixを装着。エンジン由来か路面由来かは不明だが、振動波形の角がとれたような印象だ。
を抜きとり、続いて反対側(もとのシャフトと同方向)からスペシャルを差し込めば、サイドスタンドで停めたままでも容易に交換できる。
 この2種類のスイングアームピボ
ットシャフトを、純正→スペシャル
→純正→スペシャルの順に4回、同じ区間を同じように走って比較してみた。結果は“どちらが良いかは、何とも言えん”である(笑)。微々たる差とはいえ、無視できない違いは確かにある。リアまわりから伝わる微振動(走行中は、テールライトレンズあたりの震えのように感じる)による“もやもや感”が、純正シャフトの場合はムースのような質感なのに対し、スペシャルだと焼結金属繊維のような質感なのである。
 まあ、この点については、そこにばかり注意を集中していて初めてわかる程度の微々たる差であり、知らぬ間に交換されていたらわからないレベルの違いだが、これとは別に、もう少しはっきりした差も感じた。
 それは、緩い速度で切り返すとき

のマシンの挙動である。純正シャフトだと、起こし〜直立〜寝かしの動きがシームレスで、逆さにした長い柄の振り子が振れるような感触なのに対し、スペシャルのほうは振り子の柄が短く、しかも、起こしの途中で一瞬ライダーの意に反するような抵抗を感じる。なぜそうなるのか、残念ながら、推測する知識も経験もない。ただ、どちらが好みかと問われれば純正シャフトのほうである。
 オータさんは、私がポケットに入れてきたHendrixを XJ750Eに装着してみて「2000rpmあたりで、 じわっと開けていったときの出足が良くな
ったような気がする」てなことを言いつつ、外したりつけたりしながらテスト走行を繰り返していた。
 5人とも、自分のバイクで走っていたのでは決して得られない、こうした貴重な体験を積み重ねながら、昼食のためカモノセキャビンへ向かう。と、店の前に、見たことのあるエキパイが…(笑)。車種がわからないほど離れたところからでも、それ

とわかる、 箱つきさんのH-Dスポーツスター883が停まっていた。
 さっそく、箱つきさんを含む6人でテーブルを囲んで昼会。古くからここの常連である箱つきさんとかわぐちさん、そして今年になって知人の紹介で初めて訪れた私の3人に、マスターいわく「な〜んや、みんなつながってたんかいな」とのこと。
 昼食のあとは、箱つきさんを強制入会させ、6人で京都市内へ。まっすぐ周山街道を南下するかと思いきや、さすがは佐々里の主・かわぐち隊長である。周山の街に入る手前を左折し、桜の名所・常照皇寺の門前
を通り、 国道477号を駆け抜けて再び佐々里へ。そして大布施〜花背〜鞍馬のルートで京都市内に戻った。
 その途中、花背峠を下りきったあたりで、 Hendrixを装着したXV750Eかわぐち号に試乗させてもらい、効果(違い)のあることを確認。メンドクサがらずに(バッテリー搭載位置のせい)自分のマシンに装着し、テストを開始することに決めた。


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