XJ900の爽快チューン
2012年12月3日 - 東名〜伊豆で佐藤編集長に試乗してもらい、沼津から高速で帰宅
     
 11月30日に書いたように、筑波の帰り道に都内で1泊し、今日はバイカーズステーションの佐藤編集長といっしょに箱根〜伊豆を走り、そのまま京都まで帰る予定である。
 8月末のダンロップ・ツーリングステーション@猪苗代からの帰路、編集部に立ち寄ったついでに簡単に試乗してもらってはいたが、あれはどちらかというと、スタジオ撮影
“オマケ”みたいなものであり、夜間、編集部から川崎市のオザワR&
Dまでの市街地を走っただけだったから、このマシンの良さを充分に味わってもらったとは言い難い。
 しかも、あのときは、バイカーズステーション2012年11月号の“試乗後記”に書かれたように“回して面白いのは7000rpmまでで、 そこから上限の9500rpmに至る間は、 意外にも回転の上昇に表情が乏しく、単に出力が増していくだけ”といった状態で、 5000rpmから上の回転域での力感と快感は雲泥の差…というか、

そもそもあのときは“快感”などなかったのだから、メインジェットを
#135→115にしただけで、ここまでエンジンが激変するということを、しっかり確認してもらいたい。
 操安性のほうは、スポーツデーモンを履いた状態を知らない編集長には、あのときも決して悪くなかったようだが“ツーリングでの気合いを入れすぎない走り”における爽快感には歴然たる差があることを知ってもらい、 私好みに仕上げたXJ900の操安性を充分味わってほしい。
 そんなことを考えながら、明け方まで降っていた雨が上がったばかりのハーフウェットの道を編集部に向かう。 今日もまたCBR1000RRか、あるいはCB830Fと2台で走るのか…と思っていたら、何と、平野カメラマンがハイエースを運転してついてきてくれるとわかった。寄り道ついでの遊びが、ちゃんとした雑誌の企画に昇格したということで、嬉しいやら申しわけないやら複雑な心境だ。

 ハイエースが同行とわかって、小田原あたりまでは 私がXJ900を運転するか、またはバイクも人間もすべてハイエースに積んで行くのか…と思ったら、さにあらず。とても乗り気の編集長は、嬉しそうに冬用ツーリングウェアの用意をし、そのインナーの背中に私が“貼るカイロ”を貼って準備完了。編集部から市街地を走り、途中で給油のあと東名に乗り、とりあえず海老名まで編集長がXJ900を走らせることになった。
 編集部近くのガソリンスタンドで満タンにし、一昨日の海老名からここまでの燃費23.8km/Lを確認したあと、 環七〜玉川通り(国道246号)
〜環八を経て東名用賀へ。前を走る編集長は、とくにハイエースを待つわけではなく、すいすいと進路変更をしたり、たまにはすり抜けをしつつ、ごく普通に走っていく。
 用賀で東名に上がった後の編集長は、ハイエースと離れないよう、明らかに速度を抑えて走行している。
環七から玉川通りに向かう途中、ハイエースの助手席から見た編集長とXJ900。この姿にもベテランの風格が感じられる。撮影ポイント近くにマシンを停め、ライダー交代。平野カメラマンの合図で立体交差下のカーブを往復して撮影してもらった。
そして、料金所をくぐったところで2台とも停車し、軽く打ち合わせ。その結果、海老名までは編集長が先に(好きなように)走り、その後、私と運転を交代することになった。
 東名での編集長の走りは、残念ながら、ほとんど見ることはできなか
った。まわりのクルマの流れよりもはるかに速いハイエースの助手席から見えていても、ぐんぐん離れていくから、何度かメーターの針を振り切る程度は出ていたはずだ。…かと思えば、数台前に姿が見えたりもする。ときおり雨がパラつく不安定な天候にもかかわらず、高速〜低速、加速〜減速〜定常…と、いろんな走行パターンを試していたのだろう。
 海老名から厚木を経て小田原までは、 私がXJ900に乗り、ハイエースを追走する。このエンジンの最も美味しい 5000rpm前後での走行だから淡々とした走りでも退屈な思いはしない。しかし、料金所で止まったり前車のペースが落ちたりして、3000

〜4000rpmから 緩い加速をする場面で、尻に伝わる振動の波形がいつもより尖っているような気がした。
 思い当たるフシは、進角調整ダイアルしかない。そこで、小田原の料金所で止まった隙に、4(基準マップより進角度数8度増)から5(同じく10度減)に切り替えてみた。これによって、とりあえず3000〜4000
rpmでの振動波形は いつもどおり滑らかになり、そのままオダアツの残り区間を走り、小田原西で降りてガストの駐車場にマシンを停めた。
 昼食後は、 再び編集長がXJ900に乗り、私はハイエースの横に乗って伊豆スカイラインを目指す。編集長はターンパイク、われわれは箱根新道で伊豆スカイラインを目指す。天候が不安定で、ときおり雨がパラついたりしているから、おそらくターンパイクはハーフウェット〜ドライの微妙な路面状況のはずで、すっ飛ばすのではなく“ほどほどのペースで快走”したときの、このマシンの

良さを味わってもらえるはずだ。
 ターンパイクの出口で待っていた編集長と合流し、熱海峠から伊豆スカイラインへ…。この区間は、風は強いが薄日がさしており、路面もほぼドライ。混んではいない…というより、ほとんど走っていないと言ってもいい交通量ながら、飛ばせばすぐに前車に追いつくので、ここは軽く流して伊豆スカの中ほどへ。
 ここから先は、われわれは併走せず、道端の空き地にハイエースを停めて、先行した編集長が戻ってくるのを待つ。しばらくして戻ってきた編集長によると、このすぐ先から奥まで、ずっと路面が濡れているらしいので、このあたりで撮影することに決め、まずは編集長の走りを見物させてもらった。見えるのは、目の前にある、撮影ポイントとなったひとつのコーナーだけだが、往復とも撮影するので、登りの右コーナーと下りの左コーナーの両方である。
 ここでの編集長は、いつもの試乗
撮影に向けて発進する編集長。最近のシェイプアップのおかげで、体重が減り、フロントフォークの沈み具合も少なくなった。
伊豆スカの奥のほうは雨+ウェットだったらしいが、ここは、風は強いが、晴れ+ドライ。ときおり雲の合間に富士山が見えた。
企画のときと同じく、道路状況とマシンコンディションが許す範囲内で目一杯の走りだ。途中で進角調整ダイアルを5→4→5と切り替え、あとで感想を聞くことにした。
 編集長が数往復した後、私も同じ区間を数往復して写真を撮ってもらい、試乗と撮影は無事に終了。まだ走り足りなそうだった編集長にマシンを返し、4月のダンロップ・ツーリングステーションの会場だった十国峠レストハウスまで引き返し、試乗後のミーティングをした。
 進角調整ダイアルの切り替えについては、5でも充分パワフルで、4だとトップエンドの力がありすぎて車体が負けている感じがするのに加え、 回転の上昇が速くて(9500rpm
〜とレッドゾーンが低いのも一因)運転操作が忙しくなり、走りを楽しむことができない…とのこと。
 言われてみれば確かにそうだ。4が最高…と思ったのは新東名の上でのことで、山道でテストしたわけで

はない。来るときのオダアツで感じた 3000〜4000rpmの尖った感じの振動とも合わせ、どうやら4は、寒い時期の高速道路上で、非現実的なハイスピード走行をするとき以外、5よりも良いところはないようだ。
 おしゃべりに熱中していると、あたりが暗くなってきたので、レストハウスから出、ハイエースに預けていた荷物を出してXJ900に積み、 帰路につく。このときの取材メモには
“16:45 十国峠 53586”とある。53586というのは、 2007〜2008年のエンジンオーバーホールが完成したときに0に戻してからの距離で、それ以前の66445を足せば 120031であり、編集長が走っている間に12万kmを突破していたことがわかった。
 編集長&平野カメラマンとは箱根峠で別れ、あとは沼津まで1で山を下りる。4月、8月に続き、今年3回目の道である。だが今日は前2回とは異なり、沼津から東名に乗る。西日本は深夜から雨の予報で、でき

るだけ早く帰りたかったので、途中で給油しなくていいよう、沼津IC直前のスタンドで満タンに。さすがに今日ここまでの燃費は20.5km/Lと落ち込むが、走りを考えれば望外というべきか。とにかくこれで、あとはただひたすら西に向かうのみ。
 そして結局、途中は新東名の掛川PAでおしっこ休憩をしただけで、そこから先は名阪国道の大内ICまで、亀山出口で通行料金を払った以外、ノンストップで走破した。貼るカイロのおかげで、寒さが辛さにまで至らなかったのと、何より、高速巡航時のこのバイクの気持ちよさのせいで“止まるのがもったいない”とい
った気分になったからである(笑)。
 大内から先は、30分少々の下道を経て、22時すぎに帰宅した。乗り出しから12万kmを超えた今が、エンジン/車体とも過去最良で、走りの楽しさも過去最高。“気持ちよさ”に加えて“タフさ”もまた爽快チューンのテーマになってきた。


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