沈下量102〜103mmあたりで交差したあとは、純正のほうが高荷重設定ではあるが、このあたりから先はエアばねのレートが急上昇する領域だから、グラフに見える程度の差は、油面の上下によるエアボリュームの調整で充分にカバーできるはず。とりあえず、STDの168mmよりも18mm高い150mmにしてテストを開始した。 第一印象は“ほとんど変化なし”だった。乗車1Gの姿勢が同じになるようにしたのだから、この結果には満足した。続いて、ブレーキがよく効くような気がした。さらに、乗り心地の悪化は体感できず、スロ ットルを戻したときは以前よりもフロントまわりが高く、開けたときは低くなっていることが判明した。 コーナー入り口でのマシンの状態がどうであれ、倒し込んでしまえば一様に、以前よりもやや強めの内向性と、以前よりかなり高めの接地感を感じさせながら旋回していく。 旋回中のスロットル開閉やブレーキングによる変化は、リーンアングル/舵角とも、以前より小さめ。以前は、立ち上がりでスロットルを開けながら、わずかに体重を外にズラ |
| せば自然にRが大きくなるとともにマシンが起きてアウトに向かい、内にズラせばリーンアングルはそのままに旋回力が高まったのに、今度のは良くも悪くも、旋回半径/リーンアングルとも変化しにくい感じだ。 体感的な違いが最も大きかったのは切り返しで、以前よりはるかに小さな入力/短い時間で行える。 重箱の隅に首を突っ込めば、こういった違いがあるとはいえ、自分の体内のフロントフォークセンサーの感度が低いときに、黙って交換されていたら“何かちょっと、いつもと違うけど、何だろう…?”といったレベルの差でしかないとも言える。 だが、 この状態で200km、油面を20mm下げて 200km走り回ってみて、何だか面白くなかったのも事実。エンジンは相変わらず絶好調で、リアサスの動きも過去最高、しかも絶好のバイク日和にもかかわらず、去年の 5月3日や6月10日のような“乗ることで心身が癒される感じ”が得られなかったのだ。そこで、今後の煮詰めの方向を見出すために、もう一度STDスプリングに戻し、 その良さを体感/分析することにした。 |