このテの長穴がたくさん並んだブレーキディスクは、経験上、丸穴が開いたタイプよりも歪みやすいような気がする。XJ900(4BB)のフロントはこのタイプで、部品番号からするとRZ250Rと共通のようである。 コイツの歪みには、長いこと悩み続けていた。以前のダイアリーに書いたように、長穴の縁に面取りをしたり、表面にオイルストーンをかけたり、ちょっとヤバいので書かなか った対策としては、振れた箇所をモンキーレンチで挟んで戻す(曲げ直す)といったこともしていた。 だが、どの対策も、引きずりがマシになるのは一瞬で、しばらく走ると、また、もとのように振れが生じて、引きずりがヒドくなる。 もう、こんなイタチごっこはやってられんわい…と、業を煮やし、フロントの2枚は2009年型T-MAXのディスクに交換した。効果はテキメン。あれほど悩まされた歪みから開放され、交換後6000kmを超えても歪む気配はなく、引きずりもまったく気にならない状態を維持している。 ならば、 リアもT-MAXのに交換…と、簡単に済ませたのでは面白くない。以前にも書いたように、 T-MAX |
| のディスクで唯一気になるのが厚さである。 STDの5mmに対してT-MAXのは4mm。 薄い分、熱容量が小さいはずだ。フロントで6000km使って問題がないからといって、放熱の悪いリアで問題がないとは限らない。 STDのXJ900が、フロントはRZ250Rと共通なのに、リアにはベンチレーティッドディスク(RZV500RやFZ750などと共通)を装着して熱対策をしているのを見ても、ストリートバイクのリアディスク(リアブレーキ周辺)の熱的な苦しさがうかがえる。 でも、 STDのベンチレーティッドディスクに戻す気はない。重すぎるのと、今のキャリパーと組み合わせて使うには厚すぎるからだ。将来的には別のディスクを使うことも視野に入れつつ、とりあえずしばらくは現状のディスクでなんとかしたい。 そこで考えたのが、熱容量や放熱は措いといて、今のディスクを歪みにくくするための切り込みである。 上の写真からもおわかりのように1978年型YZR500(OW35K)や 1982年型KR500に見られたのと同手法だ。1983年に三浦昇が乗った TZ250にも同様なスリットが入っていた。もちろん施工者は私である(笑)。 |
| フローティングディスクが出回る1983〜84年以前のレーサーには、このテの歪み防止策は珍しくない。 KR500のディスクを 観察すればわかるように、最初は外周ギリギリのところに開けた小さな丸穴〜内周にある大きな丸穴の間を結ぶスリットだったのを、外周部に切り込みを追加して開放している。非開放構造だと、私のと同じように、スリットのこっち側と向こう側が左右にズレるような歪みが生じたからだろう。 で、今回の施工にあたって、悩むことはほとんどなかった。金ノコで切れるのはわかっていたから、ただ単に(バイスがないから、マシンに装着したまま)長穴を通して鋸刃をセットし、ギコギコと、外に向かって切っただけ。3箇所で長穴を開放した後、切り口に軽くオイルストーンをかけてバリ取りをした。 ここまでの施工は、実は、かなり前に済ませていた。施工後の走行距離は、すでに1000km近い。意識してリアブレーキを多用しても、以前のようにすぐに引きずりがヒドくなることはない。同様な悩みをお持ちの方は、真似をせず、もっと安全な方法で解決していただきたい(笑)。 |