XJ900の爽快チューン
2012年10月24日 - 滑りの生じたクラッチを点検。他機種のパーツ流用でスプリングを強化
     
クラッチプレートの表面はきれいなもの。強く当たった痕跡が輪になっているが、これは以前からあり、今回の滑りとは無関係。フリクションプレートは新品のように美しい。念のため厚さを測定してみたが、全点新品基準値(3.0mm)と変わらなかった。
 ダンロップ・ツーリングステーシ
ョン@瀬の本高原への出発当日、メインジェットを絞ったら、クラッチ滑りが起きるようになったのは既報のとおり。トップギア 7000rpm以上で走行中に全開にすると滑りだし、スロットルを戻すと止まる。
 同じ状況で2〜3回試してみて、同じ結果だったので、テストはそこまで。あとは、滑らさないように走ってきた。低いギアでのテストや、スロットルの開け方を変えたテストなどはしていない。特定の状況で滑るとわかれば、その時点で異常=要対策なのであり、他にも滑る状況があるかどうかを調べても意味はない。
 原因は、ダイアリーにも書いたように、もともと容量ギリギリのところで使っていたところに、メインジ
ェットを絞ったことによるトルクア
ップが重なったためと推測した。
 で、九州から帰ってきた翌々日、クラッチカバーを開け、中身を点検した。クラッチプレート/フリクシ
ョンプレート/プレッシャープレートはいずれも異常なし。異常があったほうが簡単に対策できるのに、なければしかたがない(笑)。

 続いてクラッチスプリングの自由長を測定。結果は50.8、50.9、51.0
mmがそれぞれ2本ずつ。マニュアルによると、このスプリング(90501-
224A8)の 基準値は51.8mmだから、0.8〜1.0mm減寸していると判明。
 新品に交換すれば直るだろうが、特効薬にはなり得ない。前みたいにワッシャをかませてプリロードを増すというテもある。が、それも急場しのぎにすぎず、もう少し抜本的な対策をしたいところである。
 そこで、去年の秋にクラッチを改造したとき、アッセンブリーで落札したYZF750SPのクラッチパーツの中で、使わなかったスプリングが残っているのを思い出した。さっそくそいつ(90501-225A9)を 引っ張り出してきて、 STDと両方を測定・計算して、セット荷重を比較した。
 ここで使ったのは、フロントフォ
ークセッティング
のところに書いたのと同じ、コイルスプリングの“ばね定数”計算式(↓)である。

    横弾性係数×線径の4乗
K=−−−−−−−−−−−−−−
  8×有効巻き数×中心径の3乗

 測定の結果は、XJ900のSTDスプリングがd=12.5、D=17.0、巻き数11、YZF750SPがd=12.1、D=16.9、巻き数11で、そこから求めたレート(ばね定数)は、STDが0.9kgf/mm、YZF750
SPが1.2kgf/mmである。
 だが、レートが高くてもプリロードが小さければセット荷重は減るから、自由長とセット長の差を求め、それにレートを掛けたセット荷重を比較しなければならない。測ってみると、 XJ900のクラッチアッセンブリーは、スプリングセット長が30mmとわかり、 STDスプリングの自由長(新品基準値)との差は21.8、現状との差は20.8〜21、YZF750SPの実測自由長との差は19.2mmと判明した。
 それぞれの数値をそれぞれのレートに掛けたところ、セット荷重は、STDが19.6、現状が18.7〜18.9、YZF
750SPが23.0kgfとなり、YZF750SPのスプリングに交換することにより、1.2倍程度 セット荷重を増やせることがわかった。組み立てたあとでクラッチレバーを握ってみると、確かに少々重い。が“ええとこ”で滑るよりはマシである(笑)。しばらくこれで走ってみることにしよう。
出てきたクラッチスプリング(51251km使用)の自由長を測定。バラツキはあったが、50.8〜51.0mmの範囲内に収まった。
内径12.5mmのSTDスプリングに合わせて作ったリテーナーだが、12.1mmのスプリングにも無理なく嵌まり、そのまま使用。
減寸したSTDスプリング(右)とYZF750SPのスプリング。自由長が違うので、セット荷重を比較しないと代用できない。


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